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C・ロナウド、ファン・ペルシから分析するストライカーに必要な原理原則とは?

日本サッカー協会のコンサルティングプロジェクトディレクターとして活躍するサッカーサービス社のメインコーチ、ダビッド・エルナンデスは、チーム指導や指導者講習のほかに、選手の個人コンサルティングを行っている。サッカー選手の個人コンサルとは、聞きなれない言葉である。具体的には何をするのだろう。ダビッドが説明する。

「プロ選手に対するコンサルティングは、主に映像を使って指導をし、頭の中に働きかけていきます。プレーの分析をして、考え方を提示することで『頭の中の回路を変える』のです」

ダビッドはバルサの闘将・カルレス・プジョルを始め、リーガ・エスパニョーラのトップレベルの選手や日本代表選手など、様々な選手のコンサルティングを担当した経歴を持つ。今回はダビッドに、『欧州チャンピオンズリーグなど世界のトップレベルで活躍するFWは、どのようにプレーしているのか?』をテーマに、FWの動きにスポットを当てて話を聞いた。

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Photo:George M. Groutas

■ゴールを決める確率の高いエリアを知っている

ダビッドの手元にはパソコンがあり、その中には日本人選手のプレー映像や、欧州選手権、W杯、チャンピオンズリーグなどで、世界トップレベルの選手が見せた『良いプレー』の映像がストックされている。ダビッドはある日本人FWの映像を呼び出すと、眼光を鋭く口を開いた。

「FWの重要なプレーのひとつに『攻撃の深さを作ること』があります。相手の最終ラインと駆け引きをして、オフサイドにならないポジションを保ちながら、味方がプレーするためのエリアを作ります。ここでポイントになるのが、ゴール正面、中央部のポジションをとることです。しかし、多くの選手はしばしば中央部のゾーンから外れて、サイドにあるペナルティエリアの外へと流れてしまう傾向があります。チームの戦術として、サイドのスペースに出ることが求められるのであれば、監督の指示に従うべきです。しかし、そうでない場合はゴールを決める確率の高い、中央のエリアでプレーを続けることを意識することが重要なのです」

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そういうと、ダビッドは資料を見せた。各国リーグの得点場面を分析したもので、どの位置からのシュートが、ゴールにつながったかがまとめられている。

「世界中のどのリーグでも、ゴールが生まれるのは、ゴールエリアのニアサイドと、PKマークあたりです。C・ロナウドは、ゴール前に侵入する場面では必ずといっていいほど、PKマーク付近に入りこんでいます」

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ゴールを決めるには、ゴールを決めやすい位置にいる必要がある。そうはいっても、現代サッカーは選手のフィジカル能力が向上し、プレー時間もスペースも限られたものになっている。ゴール前ともなれば、そう簡単にスペースを与えてはくれない。ではどのように動けば、自らスペースを作り出すことができるのか――。

■自分に有利なスペースとシュートの時間を作り出す

「味方がボールを奪った瞬間、FWが考えるべきは『どこのスペースを狙って、どう進んでいくか』です。この動きに優れているのが、ルーニーとファン・ペルシです。彼らは相手DFを釣り出す動きをし、スペースを作り出します。主体的に動いて主導権を握り、DFを罠にかけるのです。これは1歩、2歩ステップを踏むといった小さな話ですが、世界トップレベルでは、そこがゴールを決めるための分岐点になります」

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ダビッドはそういうとパソコンを操作し、映像を呼び出した。ファン・ペルシのゴールシーンだ。味方が左サイドでボールを持ち、カウンター攻撃に入る。ファン・ペルシの前方には2人の相手センターバックがいる。ファン・ペルシはボールから遠い方のCBの裏のスペースでボールを受けるため、あえて一度、ニアサイドに動いてCBを引きつける。相手がその動きに釣られてニアサイドに動き出した瞬間、相手CBの背後にできたスペースへ走りこんだ。そこでルーニーからのパスを受け、シュートに持ち込むことに成功した。ファン・ペルシが最初から、CBの背後のスペースに走りこんでいたら、相手のマークを受けることになり、優位な状態でパスを受けることができなかっただろう。プレー時間はわずかゼロコンマ数秒、ステップにして数歩だが、その動きで相手CBを罠にかけ、シュートを打つスペースと時間を作り出したのだ。

「ポイントは、一度前に出て相手を釣っておいて、コースを変えてCBの裏をつくプレーです。一歩動くだけで、相手DFの身体の向きを変えられる場合があります。そこで一気にスピードを上げれば、相手は追いつくことはできません。このコンセプトはFWの選手にとって、とても重要なプレーです」

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ルーニー、ファン・ペルシを始め、世界トップレベルで活躍するストライカーのゴールシーンを見ると、ボールのない所で相手DFと駆け引きをし、自分に有利なスペースとシュートを打つための時間を作り出す動きをしている。時間にすればほんの数秒だが、その瞬間にこそ、ゴールを決めるために重要なエッセンスが詰まっているのである。

ダビッドの解説はとどまるところを知らない。次回は「シュートを決めるために必要な4つのポイント」を紹介します。


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ダヴィッド・エルナンデス・リヘロ/ David Hernandez Ligero
2012年より日本サッカー協会プロジェクトコンサルティングディレクターを務めるほか、2010年より、日本のジュニアからJリーガーまでの指導・コンサルティングを実施。カタルーニャサッカー協会副テクニカル・ディレクターやVic大学「フットボール方法論」教授などを歴任し、プジョルのパーソナルトレーナーを務めた経験を持つ。


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