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創部6年で全国3位。京都精華女子を急成長させた2つの企み

2006年に創部したばかりの新興高校ながらも、昨年冬に行われた全日本高校女子サッカー選手権で全国3位となった京都精華女子高校サッカー部。躍進を遂げただけでなく、テクニックにこだわった華麗なスタイルで見る人を魅了し、今、女子サッカー界で注目を集めるチームの一つです。
 
※サカイクより転載※
 
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急成長を遂げた要因が、越智健一郎監督が持ち込んだ“サッカーが好きになる企み”と“サッカーが上手くなる企み”の数々。高校からサッカーを始めた選手も多い京都精華女子の選手たちに自然とサッカーが好きになり、上手くなりたいという気持ちを引き出す仕掛けが隠されています。今回は取材した越智監督の話から、“サッカーが好きになる企み”を紹介します。
 
 

■“サッカーが楽しくなる”から始まった京都精華女子

京都精華女子が強化を初めた7年前から今まで、関西の女子サッカーをリードするのは日ノ本学園、大商学園という全国屈指の強豪サッカー部。大阪桐蔭を含めた3校で、関西代表の少ない枠を争う状態です。
 
彼女たちに勝つため、就任直後は熱を入れて指導を行っていましたが、高校からサッカーを始めた選手も多く、ましてや楽しみも多い多感な女子高生ばかり。少し厳しくするだけで、辞める選手も多かったと言います。
“どうすれば強くなれるのか” そんな悩みを抱えていた時に出会ったのが、全日本高校女子サッカー選手権大会で3度の優勝を誇る聖和学園女子サッカー部の国井精一監督と、鹿島アントラーズの遠藤康選手らを輩出した塩釜FCの小幡忠義代表でした。
 
「聖和女子は個に特化した練習。塩釜FCは“いい加減な練習”に衝撃を受けました。
特に塩釜FC指導のメニューがあるのではなく、頭の中に“こうすれば上手くなる”という方法があって、それを実践している。小さな町のサッカー好きがフラっと集まって、ボールを蹴って帰っていく。そんな状況でプロを出せるのは凄いなと」
 
出会いを機に越智監督の指導は選手たちに押し付けるのではなく、彼女たちにサッカーを楽しんでもらう事が主眼になったと言います。
 
「楽しいから、ボールを触っている時間が長くなったり、ちょっと勝てるようになるからサッカーが楽しくなる。これじゃ世界は目指せないし、全国優勝は厳しいかもしれないけど、一定のレベルまで行ったら、選手たちが勝手にミーティングをしたり、自主練をするようになってくれました」
 
2008年に全国高校選手権京都府予選で優勝したのを皮切りにチーム成績は上昇し始め、個でも2010年にFIFA女子W杯U-17で準優勝したヤングなでしこのメンバーにGK三田一紗代(現・早稲田大)を送り込むなど、着実に成果を上げ始めました。
 
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■“サッカーを楽しむ”ために心地良い環境を与える

そんな精華女子の練習には開始と終わりの合図はありません。選手たちが勝手に集まり、練習が終わるとそれぞれ自由に帰っていきます。取材に訪れた際も、雨に濡れるのを嫌い、ジャージを頭に被ったまま練習をする選手の姿があったり、練習着が汚れる度にテンションを下げる選手がいたり、自由そのもの。他の指導者なら一喝してしまいそうな場面ですが、越智監督は見守るだけです。それどころか、一緒になって、冗談を言い合ったり、サッカー以外のお喋りをする場面も。一見、不真面目に見えますが、こうした練習には越智監督の狙いが隠されていました。
 
“サッカーを楽しんでもらうために、彼女たちの事を知って、心地よい環境を作ってあげよう”
その一つが選手への愛情のかけ方。サッカーの事、私生活の事など練習の合間に積極的にコミュニケーションを取る事で、選手たちの心を理解していると言います。
 
「選手への愛情を0%か100%にしてしまうと贔屓(ひいき)になってしまうので、全員に80%の愛情をかけてあげるのです。どうしても、レギュラークラスの子たちには200%くらいの愛情をかけてしまい、『贔屓じゃん』って言われる事もあるけど、最低でも80%かわいがっているから、“自分の事もかわいがってもらっている”ということは皆分かってくれている。練習の時から、どうでもいい事を含め、全員と話をするようにしています。
 
前日にちょっと調子悪かった選手の所にちょっかいをかけに行ってあげると、『もう、そんなんいらんって』と口では言いますが、『分かってくれているんやな』って思ってくれる。指導者は関西人で言う所の“いらんことしい”であることが大事」。
 
例えば、A選手と話した際に、B選手の話題が出てくるとします。次にB選手と話した際に、「昨日、○○したんやって?」と声をかけると、「何で知っているの?」という驚きとともに、自分に興味を持っている事に喜んでくれます。
越智監督は「悪い占い師がやるホットリーディングと一緒」と苦笑いしますが、そうしたコミュニケーションで選手たちの心を知り、掴む事で“また、サッカーがしたい”という感情を引き出しているのです。
 
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■“サッカーを楽しむ心”を引きだしてあげる 

心地よい練習のためには、心がけているもう一つが“練習の一番最初に来て、一番最後に帰る”こと。グラウンドの鍵を自らが開けて、自らが閉める。誰よりも長くいるという些細な事が、彼女たちへの“見てあげている”というメッセージになり、“サッカーを楽しむ心”へと繋がっていきます。
 
越智監督は話します。
「子どもたちって言い方を敢えてするんですけど、彼女たちは子どもなんです。それを選手とか大人として見ようとすると難しくなってしまう。『サッカーは子どもを大人にし、大人を紳士にする』という言葉があるんですが、僕は『サッカーは大人を子どもにする』と思う。仕事で嫌な事があってもグラウンドに来たら、楽しくて子どもになってしまう。大人だって子どもに戻るんだから、子どもたちを無理して、大人にする必要はないんです。サッカーはゲームだから、駆け引きが大事で、子どもだから、身につくこと、生かせることがあると思います。彼女たちの心を引き出して、子どもらしくいさせてあげたい」。
 
一見、ちょっとハチャメチャな精華女子ですが、選手たちの練習に取り組む表情は笑顔ばかり。子どもらしく、純粋にサッカーを楽しむうちに上達し、向上心も育まれています。京都精華女子にはサッカー好きの子どもを育てる上でのヒントが隠されているような気がします。今回は“サッカーが好きになる”企みを紹介しましたが、次回は、越智監督が行う“サッカーが上手くなるため”の企みについて紹介します。
 
 
京都精華女子高校サッカー部
2002年に附属中学のサッカー部が設立。高校は2006年に創部し、「美しく勝つ」をモットーに技術と判断力を日々、磨き関西を代表する強豪として注目を集めている。3年ぶり2度目の出場を果たした昨年の全日本高校女子サッカー選手権では3位に輝いた。
 
※サカイクより転載※

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