TOP > コラム > 日韓W杯で韓国をベスト4に導いた知られざる真実とは?

日韓W杯で韓国をベスト4に導いた知られざる真実とは?

世界中で起こっているサッカー界最大の失敗は「トレーニングのしすぎ」』というコラムでご紹介した「サッカーのピリオダイゼーション理論」。指導者に限らずとても多くの反響をいただきました。そこで今回は、以前サカイクで配信したレイモンド・フェルハイエン氏の取材記事を3回にわたってお届けします。

※サカイクより転載※

raymond1.jpg

試合中、最初から最後までスピードが落ちることなく、質の高いプレーを繰り返す。サッカー選手なら、誰もが夢見ることでしょう。そんな選手になるためのコンディショニング理論を開発し、実践している人物がいます。レイモンド・フェルハイエン。フース・ヒディンク監督の右腕として、オランダ代表や韓国代表、ロシア代表などをW杯、欧州選手権で上位に導いたコンディショニングコーチです。

■質の高いアクションを短い休息で、より多く行う

彼が提唱するのが、サッカーのピリオダイゼーション理論。「ピリオダイゼーションとは、すべてのトレーニングと試合を計画することを言います。コンディショニングトレーニングは、サッカーのピリオダイゼーションの一部です」(レイモンド氏)。

レイモンド氏はサッカーコーチとしての視点からサッカーのコンディショニングとは何かを分析し、90分間、質の高いプレーを続けるために大切なことを導き出しました。それが、次の4点です。

1・アクションの質の向上

2・アクションの質の持続

3・プレー頻度の向上

4・高頻度のプレーの持続

「サッカーで重要なのが、質の高いアクションを、高頻度で持続させること。ドリブル、パス、プレス、スプリントなどを、試合の最後まで質を落とすことなく続けることができれば、ハイテンポのサッカーが実現します」(レイモンド氏)

それを体現したのが、韓国代表やロシア代表です。2002年のW杯で韓国代表は試合の最後まで足が止まることなく、イタリアやスペイン、ドイツといった強国を苦しめました。2008年、欧州選手権のロシア代表は低い下馬評をくつがえし、オランダを破ってベスト4に進出しました。躍進の影にいたのが、レイモンド氏なのです。

raymond2.jpg

■サッカーの状況を作った『フットボール・スプリント』の重要性

サッカーのレベルが上がると、時間とスペースがなくなります。つまり、アクションを起こすために使うことのできる時間が短くなり、スペースも狭くなります。そのため、素早い判断とプレーのスピードが求められます。それをコンディショニングの観点から表現すると、「より爆発的にプレーしなければならない」となります。つまり、短い時間で最大限のパワーを発揮できる身体を作るのです。

「爆発的なアクションの頻度を上げるためにポイントになるのが、より速く回復すること。試合の最初は1プレー後に15秒で回復できていたのが、試合の終盤では30秒かかるなど、プレー回数の増加とともに、回復時間は長くなります。言い換えれば、回復のスピードを速くすることができれば、アクションの回数を増やすことができるのです」(レイモンド氏)

それでは、レイモンド氏はどのようにして、爆発的なプレーの頻度をあげ、持続させることができたのでしょうか。そのカギを握るのが『フットボール・スプリント』と呼ばれるダッシュです。レイモンド氏は選手たちがどのような状況下で100%に近いパワーを発揮できるか、15m走を使って実験しました。

1つは素走りで走る方法。次に2人に競争させる方法。3つ目はコーチがボールを蹴り、それを2人で奪い合う方法。どれが一番いいタイムが出たと思いますか? それは3番目の、サッカーの状況を作ったスプリントです。

sprint.jpg

この、フットボール・スプリントこそが、爆発的なプレーをするために重要な部分なのです。

■常に身体が100%の状態でトレーニングする

それでは、フットボール・スプリントを練習に落とし込む一例を紹介します。まず5mのフットボール・スプリントを30秒間の休憩を挟んで6本行います。次に4分の休憩を挟んで15mのスプリント4本を、45秒の休憩で実施。最後にまた4分の休憩を挟んだ後25mのスプリントで60秒の休憩......というように、回数やセット数を設定します。

それと共に、3対3や4対4、8対8や11対11など、人数に対するグリッドの広さ、時間などを細かく設定します。それは、高いプレー強度や頻度を保った状態で練習をするためです。3対3や4対4は頻度をあげるためのトレーニング、8対8や11対11は頻度を持続させるためのトレーニングです。

練習時間と休息にもルールがあります。11対11や8対8は、最初は10分間を2本、ゲーム間の休憩は2分から始めます。6週間のサイクルごとに1分ずつ増加し、15分に達した時点でセット数を増やします。例えば15分2セットの後は11分3セットになります。選手はプレー時間が長くなるごとに疲れて、足が止まってきます。そこでコーチが「プレスをかけろ」など、コーチングをします。これはオーバーロード(過負荷)という状態を作り出すためです。

選手の休息が万全ではない状態で、要求されるプレーを強制する状況を作り出す。それが「オーバーロード」です。身体に過負荷を要求し、適応させることによって強くなる。それがトレーニングの効果です。

これらをプレシーズンやシーズン中に、1週間の中でどの曜日に行い、試合に向けてコンディションを高めていくかという計画を、6週間をひとつのサイクルとして実施します。

これは『選手をやたらに追い込んで強くする』という手法からは、大きくかけ離れたものです。レイモンド氏は「100%の状態でトレーニングをし、オーバーロードを作り出すためにも、しっかりと休息をとり、身体を回復させる時間が必要」と強調しています。

後編はトレーニングにおける休息の必要性と練習しすぎの弊害。そして「持久走は選手を遅くさせるためのもの」と考え、実施しない理由などを紹介します。

raymond3.jpg
レイモンド・フェルハイエン(Raymond Verheijen)
1999年にオランダ代表スタッフに抜擢されて以来、ヒディンクや、ライカールト、アドフォカート、ファン・ハールなどの名監督とともに、オランダ代表、韓国代表、ロシア代表、FCバルセロナなど世界各国様々なチームでサッカーのピリオダイゼーションを実践してきた。サッカーに特化したピリオダイゼーションの分野における先駆者である。

取材協力/ワールドフットボールアカデミー・ジャパン
フース・ヒディンクがアンバサダーを務め、世界各地のコーチ、スタッフ、選手に対して、サッカーにかかわるあらゆる専門知識を育成、共有する機会を提供している。URL:http://www.worldfootballacademy.jp/

※サカイクより転載※

自宅にいながら “プロの指導法が学べる” コーチのための会員制オンラインセミナー コーチユナイテッドアカデミー 充実した講師陣による多彩なセミナー

  • JFA技術委員長
    霜田 正浩 氏

  • 湘南ベルマーレ監督
    チョウ キジェ 氏

  • 大学全日本選抜監督
    神川 明彦 氏

  • アヤックス アナリスト
    白井 裕之 氏

動画1本 無料視聴キャンペーン!

「興味はあるけどいきなり入会は不安」「実際にどんな動画セミナーが受講できるのか見てみたい」,そんなあなたに 簡単なフォームからお申し込みいただくだけで,セミナー動画1本分を無料プレゼント!!

“自ら考え行動する選手”を育てる指導法で、公立校を全国制覇に導いたボトムアップ理論"を全て解説

サンプル動画

【無料】動画のお申し込みはこちらから