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「本気で日常を変えよう」JFAフットボールカンファレンス報告

2015年1月、第9回フットボールカンファレンスが開催されました。これは日本サッカー協会の公認指導者資格を持つ人なら誰でも受けられる研修で、日本だけでなくヨーロッパや南米からも著名な指導者が招かれ、日本サッカー全カテゴリのレベルアップを目的に行われています。2年に1度の開催年である今年のテーマは、「ワールドカップ2014 本気で日常を変えよう」。今回はカンファレンスの講演から、育成年代の示唆となる内容をご紹介します。(取材・文/鈴木智之)

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■ワールドカップを逃した育成年代の現状と課題

カンファレンスで注目度が高いのは、海外指導者によるプレゼンテーション。今回はFIFAテクニカルスタディグループのヘッドで、かつてフランス代表やリヨン、リバプールなどの監督を歴任したジェラール・ウリエ氏による、ブラジルワールドカップ(以下W杯)の技術・戦術分析や、メキシコ代表監督のミゲル・エレーラ氏が語るブラジルW杯の準備と戦い方など、ナショナルチームレベルの興味深いトピックスが続きました。さらにそのブラジルW杯で世界王者となったドイツからは、ドイツサッカー連盟インストラクターのラルス・イゼッケ氏が登壇。ドイツ代表の準備からキャンプ地づくり、ワールドカップ前のトレーニングメニューなど詳細が公表されると、参加者からは驚嘆の声が漏れていました。

カンファレンスは3日間に渡って行われましたが、最終日には「日本の将来に向けて」と題して、前U-16日本代表監督・吉武博文氏、横浜Fマリノスユース監督の松橋力蔵氏、四日市中央工業監督の樋口士郎氏など、育成年代で実績のある指導者が顔を揃え、ユース年代の現状と課題について話し合いました。ここでその一部を紹介します。

日本代表はU-17W杯の出場権をかけて争われた、AFC U-16選手権・準々決勝で敗れ、本大会出場の道が絶たれてしまいました。敗退が決まった韓国戦での日本は圧倒的にボールをポゼッションし、ゴール前までは進出するのですが、ラストパスの精度やアイデアの共有が足りず、肝心のゴールを奪うことができませんでした。吉武監督は育成年代の現状と課題をこう分析しています。

「最後にどういう形で点を取るか。崩しのイメージを3、4人のグループで合わせるところまで行きたかったのですが、選手個人にイメージがないのが現状でした。ビデオを見せて、どういう形をつくれば相手が崩れるか、意見を出し合うミーティングをしても、選手からイメージが出てこない。日本の選手たちは、技術的には伸びてきています。代表キャンプで20人集めれば、ほとんどの選手がボールを止めることなど、ある程度はできます。その反面、自立度や自分の意志を持って動く部分が、どんどん低下しているように思います」

サッカーはひとたびピッチに立てば、自分で考え決断し、実行することが求められるスポーツです。しかし日本社会の現状を見ると、自分で考えること、自分で判断し、決断することなどは、それほど求められていません。学校では受け身の教育が大半で、授業も一方通行。外に出れば、便利で快適な生活。成熟した社会という観点ではすばらしいことですが、ことサッカーに求められる「自分で考え、行動する」環境とは相反しています。横浜F・マリノスユースの松橋監督は、U-18世代の選手たちについてこう語ります。

「自立した選手は、全体を見ると減ってきていると感じます。同時に、戦うことや競うことに対してのこだわり、『絶対に負けないんだ』という気持ちが見える子も減ってきている印象を受けます。僕が子どもの頃はプロがありませんでした。情報も少ない中でその後プロになっていく人は、サッカーが好きでサッカーが生活の中心にありました。うまいだけではなく、サッカーに対する気持ちを持ち続けられた。そういう選手がプロになって行きました」

■「本当に大事なことは何かを、気づかされていない」

2011年度の全国高校サッカー選手権で準優勝を果たし、多くのプロ選手を育てた四日市中央工業監督・樋口氏も同調します。

「自分で考えることができて、向上心を持っている選手は伸びます。そういう選手は、うまくいかないときこそ頑張れるんです。勝つために最大限努力できる選手、指導者から信頼される素養を持つ選手は伸びていく印象があります」

四日市中央工業OBで、日本代表でも活躍した坪井慶介選手は入学時、Bチームの一番下のグループからスタートしたそうです。樋口監督は「どんな状況でも100%トレーニングする習慣があり、うまくいかなくても自己分析ができるメンタルの強さを持っていたから、あそこまで行けた」と振り返ります。

「クラス担任をしていると、家庭や地域の大人との関わり方が見えてきます。注意される経験、叱られる経験、我慢する経験が不足している印象を受けます。周りからなんでも与えられる環境があり、親離れ、子離れしていない状況で、サッカーの技術だけがうまくなっている。本当に大事なことは何かを、気づかされていないんです。そういうことが学校現場や社会で起こっているし、サッカーでも同じだと思います」(樋口監督)

『サッカーは国を表す』という言葉がありますが、日本代表の、日本サッカーの現状は日本社会の縮図でもあります。サッカーに関わる人が、多くの課題にどうアプローチしていくのか。カンファレンスの「本気で日常を変えよう」というテーマは、サッカーに関わるすべての人にとって他人ごとではなく、真摯に向き合わなければならない内容だったのではないでしょうか。指導者だけでなく、選手、保護者、メディアを含め、日常をどうやって変えていくのか。その答えは、一人ひとりの日々の取り組みの先にあるような気がします。

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