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「重心の位置」「走りの軸」をビジュアルで読み解く/"間違えない"ためのフィジカル講座

4月のCOACH UNITED ACADEMYは「フィジカル」をテーマに、育成年代のトレーニングを"間違えない"ための基礎知識をお送りしています。後半はフィジカリズムの横原和真氏による、速く走るために押さえておくべき「3つのポイント」を公開中。今回は具体的に身体を動かすときに重心の位置がどう動くか、走るときに軸はどこにあるのか――この2つの仕組みについて横原氏が画像を使って解説します。(取材・文/澤山大輔)

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■「重心」と「軸」が分かれば「走り」が変わる

まず、重心が動かせないとどうなるのか?について説明します。下の画像をご覧ください。こういう形で、座っている人の額に手を当ててみます。あまり力は込めず、触れているだけという状態です。

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私はこのように手を添えることで、重心が動かないようにしています。この状態のまま、座っている人が立とうとすると、実はなかなかうまく立てません。もちろん座っている人が力づくで前へ押し出そうとすれば、最終的には立つことができます。しかし、手を添えられるだけで普通の人はなかなか立つことができなくなるわけです。

これは人が座っている状態から立とうとするとき、わずかに重心が前に動くということです。つまり、最初に重心が前に動き、次に身体が前に進むわけですね。この仕組みは過去3回の記事でもお伝えしてきたとおり、「走る」という動作についても関係することです。

次に、こちらの画像を見てください。

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この画像では、走り出そうとしている人の身体を手で抑えています。人は疾走するときに重心がやや上に移動してつま先立ちになりますが、ここを抑えられると身動きがとれなくなるのです。

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この画像のようにつま先で立とうとすると、重心はわずか数センチですが上に動くわけです。ここでも重心が先に動いて、身体はその後に動くということがわかりますね。

これは、つま先が自分の立ち位置よりも数センチ前にあることによります。ということは、つま先に重心を持っていかなければ前に進めないということになります。これは横の動きについてもまったく同じです。

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横に動くときも、やはり重心が先に移動し、そのあとに身体がついてきます。しかし、これが「くの字」に横移動してしまうと、重心の位置がブレてしまいます。この重心の位置がブレないことが、速く動くための大原則であるといえるでしょう。

続いて、正しい軸の取り方について説明します。こちらも画像をご覧ください。

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斜めにまっすぐになっていますね。正しく軸をとるこの状態から、進みたい方向にむかって脚を上げると、抑えている人が抑えきれなくなるほどの推進力が得られます。これは、実際にやっていただくとよくわかるでしょう。続いては、改善の余地がある軸の取り方です。

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このように腰を曲げて前かがみになり、身体が「くの字」になってしまうと速く走れなくなります。では、なぜ前かがみになると速く走れなくなるのでしょうか? これは、力が2つのベクトルに分散し、前に対する推進力が削がれてしまうことによります。正しく身体の軸を取れれば、前に進む力は減衰せず推進力を得られるようになるのです。

以上、重心・軸・股関節という3つのポイントに絞って疾走時の身体の使い方について解説させていただきました。テーマの性質上、今回の解説も動画で確認していただくことでより正確な理解を得られると思います。COACH UNITED ACADEMYでは実演も交えて解説していますので、この機会にぜひご覧ください。

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横原和真(よこはら・かずま)
1983年11月15日生まれ。フィジカリズム・ランニングコーチ。日本陸連公認コーチ、日本陸連公認ジュニアコーチなど。現役時代はハードル走を専門とし、全国大会の常連に。西日本インカレ優勝、全日本インカレ7位、日本選手権4度出場などの実績を持つ。引退後はスポーツ事業会社に勤務する傍ら、陸連公認コーチ等多くの資格を習得し、陸上のみならずラグビーやサッカーなど他種目でも選手育成・指導に取り組む。その語り口のわかりやすさ、実践的な指導内容には定評がある。
【フィジカリズム】https://www.facebook.com/physicalism