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明治大サッカー部を復活させた『3原則』とは/大学サッカーからの提言

5月のCOACH UNITED ACADEMYは「大学サッカーから逆算で考える育成指導」をテーマにお送りします。前半の講師は、大学サッカー界の名門・明治大監督を11年間務め、現在は7月のユニバーシアード・光州大会出場に向けて全日本学生選抜を指揮する神川明彦氏。名実ともに大学サッカー界をリードする指導者の考えるジュニア世代に必要な育成指導とは何か――。まずは「ピッチ内」の視点でお話しいただいた前編の内容から、一部を抜粋してご紹介します。(取材・文/小須田泰二)

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■『3原則』の上にステップアップがある

長友佑都(インテル)、山田大記(カールスルーエ)、藤田優人(柏レイソル)、丸山祐市(FC東京)......。毎年のようにJリーガーを輩出している明治大学体育会サッカー部を、2004年から11年指揮してきたのが神川明彦氏だ。現在は同サッカー部の総監督を務めながら、全日本学生選抜(ユニバーシアード)の監督を兼務する。そんな大学サッカーを知り尽くした神川監督には、学生を相手に試行錯誤を重ねてたどり着いた、育成指導における独自の評価基準があるという。

「それが戦術面における『3原則』です。どんな選手でも、私が3原則と考える要素が備わっていなければ、それ以上の個性は発揮できないと思っています。逆に言えば、この3原則がバランスよく備わっていることが『いい選手』の条件。みなさんご存じの長友佑都や山田大記などは、まさに3原則がベースとして身についているからこそ、あそこまでステップアップできたのではないでしょうか」

話はふたたび神川監督のキャリアに戻るが、明治大監督就任当初のミッションは「1部に復帰させること」だったという。その目標をわずか1年でクリアすると、4年後には43年ぶりに関東大学サッカーリーグ1部優勝を果たし、2010年の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)では51年ぶりの日本一へと導いた。

そんな"神川マジック"とも称される采配は、オープントーナメントである天皇杯の舞台でも発揮される。2007年に9年ぶりの本大会出場を果たすと、3回戦でJ2の京都サンガを撃破。4回戦ではJ1の清水エスパルスにPK戦の末に敗れたものの、プロクラブと堂々渡り合うサッカーを披露した。さらに2年後の2009年には、2回戦でJ2の湘南ベルマーレを破り、3回戦ではJ1のモンテディオ山形を相手に3-0というスコアで完勝。学生サッカー史上初めてJ1クラブに勝利し、「大学サッカーに明治あり」の強烈なインパクトとともに名門を完全復活させたのである。

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「リーグ優勝できたのも、日本一になれたのも、J1クラブに勝てたのも、先ほどから述べている3原則がチームとして実践できていたからなんです。11人の選手がしっかりと3原則の役割をまっとうすれば、結果はおのずとついてくるものと確信しています」

つまり3原則とは、選手の評価基準であると同時にゲームの評価基準でもあり、まさに神川監督の指導理念というべきもの。2013年からは全日本学生選抜監督という新たなミッションを託されている神川監督だが、今年7月のユニバーシアード・光州大会にも『3原則』ありきの確固たるスタンスで挑むつもりだ。

「近年の大学生のレベルは、高校年代のリーグ戦文化が根付いたこともあり、飛躍的に向上しています。しかしまだまだ改善しなければいけないところがたくさんあるのも事実です。ジュニア年代の指導者のみなさんにもぜひ、この『3原則』を意識して指導していただけたらと思っています」

果たして神川監督が思い描くジュニア年代に必要な育成指導とは何か、そして指導理念の柱をなす『3原則』とは――。その答えはセミナー本編にてご確認いただきたい。

■大学サッカーから逆算で考える育成指導

THEME1 ピッチ内の育成指導

1)大学サッカーの現状
 ①ハード面 ②ソフト面 ③Jクラブとの連携
2)大学サッカーの現状~ユニバーシアード代表
 ①海外経験 ②より高い競争 ③Jクラブからの注目
3)技術面
 ①本質の追求「ゴールを奪う」「ゴールを守る」
 ②対人プレーの強化~1vs1 ③指示の声
4)戦術面
 ①3原則(? ? ?) ②いい守備からいい攻撃へ

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長友佑都が世界と渡り合えるワケ/大学サッカーからの提言>>

神川明彦(かみかわ・あきひこ)
1966年7月9日生まれ。神奈川県出身。鎌倉高、明治大を経て1994年から同校サッカー部コーチに就任。2004年より監督を務める。2007年に43年ぶりに関東大学サッカーリーグ戦優勝、2010年には51年ぶりに全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)優勝へ導く。2013年より全日本学生選抜(ユニバーシアード)代表監督。関東大学サッカー連盟理事。日本サッカー協会公認S級コーチライセンス取得。