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子どもたちを"後伸び"する選手に育てるには/大学サッカーからの提言

COACH UNITED ACADEMYの5月テーマは「大学サッカーから逆算で考える育成指導」。後半の講師は、昨年まで関東大学サッカーリーグの順天堂大学蹴球部で監督を務め、チームとして数多くのタイトルを獲得しながら、プロとして活躍できる人材を多数送り出してきた吉村雅文氏。大学サッカーの特性を知り尽くした指導者が考える育成・強化の本質とは――。今回はセミナー前編の内容から一部を抜粋してご紹介する。(取材・文/COACH UNITED編集部 写真提供/順天堂大学)

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■大学プレーヤーが抱える理想と現実のギャップ

順天堂大学蹴球部の監督として昨年まで指揮をとり、大学サッカー界で数多くのタイトルを獲得する一方、田中順也(スポルティング)、小宮山尊信(川崎フロンターレ)をはじめ数多くの有力選手を育て上げてきた吉村雅文氏。2013年にユニバーシアード日本代表を率い、堅守からの攻撃的なサッカーで他国を圧倒して銅メダルを獲得したことは記憶に新しい。今年から現場を離れて教職に専念しており、ジャージからスーツに着替えて教壇に立つ姿はすっかり"教育者"の佇まいだが、実際、吉村氏がセミナー前編の柱に据えたのはまさに「教育」だった。まずは冒頭、大学サッカーにやってくる選手たちの特徴を端的に指摘する。

「私が長年、大学サッカーの指導者として携わってきた選手たちの特徴は2つです。ひとつは高校卒業時にプロ契約できず、大学4年間で力をつけてもう一度プロに挑戦したいという思いが強いこと。もうひとつはその反面で、『試合に勝つか負けるか』『選手として上手いか下手か』『チームとして強いか弱いか』など、サッカーという競技の捉え方が短絡的であることです。試合を振り返っても、『あの選手が得点を決めていれば勝てたかもしれない...』『ああいうプレーをしていたら失点を防げたかもしれない...』というように、断片的な表現にとどまる選手が非常に多い」

大学最高峰といわれる関東大学リーグの選手をしてこの評価は手厳しいが、実は高校のときに優秀だといわれていた選手ほど、その傾向が強いという。挙句の果て、「大学に来てもなかなか成長しない」「期待されていたほど伸びなかった」という選手も少なくないのだそうだ。そこで吉村氏は、あえて大学に進学してきた選手が、高校とは違う環境でサッカーをする機会を生かし、成長するためには何が重要なのか、ずっと考えてきた。

「そのひとつとして私がトライしてきたのが、選手にもう一度『サッカーってどんなスポーツなんだ?』『サッカーの特性っていったい何なんだ?』という本質を考えてもらうことです。長年やってきた中でこの"本質の追求"というのが、選手の成長につながるキーワードなのではないかと考えています」

■サッカーの特性をどれだけわかっているか

「サッカーとはどんなスポーツなのか?」と問われたら、皆さんは何と答えるだろうか。日頃からよほど意識していなければすぐには思いつかないし、答えられたとしてもその中身は限られるだろう。吉村氏も長年問いかけてきた中で、「俺はこう思う」とはっきり返答できる選手は驚くほど少ないと語る。だからこそ、この問いについて選手たちとたくさん話すことが彼らの成長に大きく関わるのではないか――とも。そんな氏が考え抜いてきた"サッカーの特性"の数々はセミナー本編でご覧いただくとして、ここでは印象的な答えを3つだけ紹介したい。

「まずは皆さんご承知のとおり、サッカーは『チームスポーツ』であるということです。一人が頑張ってもなかなか勝利には結び付きません。二人が頑張ってもダメだし、三人でもダメなんです。チームとして、組織としてプレーすることが重要であるという点がサッカーの特性のひとつと言えるでしょう」

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「次に、私はこの表現がとても好きなんですが、サッカーは『ミスのスポーツ』と表現されている方がいます。手を使えばもっと正確なパス、正確なプレーができるかもしれません。でもサッカーは足でやるスポーツですので、当然うまくいかないことが起きます。その意味で"間違いなくミスが起こるスポーツ"なんだと。もちろんパーフェクトなスキルですべてがうまくいけばそれに越したことはないですが、必ずミスが起こるスポーツだという認識をもってプレーする、その前提から生まれる想像力の重要性というのが、やはりサッカーの特性のひとつだと考えています」

吉村氏はもうひとつ、趣の違う側面からサッカーの特性に言及する。

「サッカーというのは『○○○○のスポーツだ』と表現されている方もいます。これも私はその通りだと思っています。一人ひとりが個別でプレーしていく集大成がサッカーなのではなくて、集団としていかに○○○○を構築しながらプレーしていくのか。サッカーは戦術のスポーツとも言われますが、戦術を成り立たせるには○○○○が大きなキーワードになりますし、それがサッカーの特性でもあるのではないでしょうか」

吉村氏が順大蹴球部監督としてはもちろん、ユニバーシアード日本代表でも一貫して掲げてきたチーム強化のコンセプトにおいて、重要な意味を持つ○○○○とは? その答えはセミナー後編でも強調される二重のキーワードになっているので、ぜひ本編でご確認いただきたい。

そして、これらの"サッカーの特性"を選手たちがどのぐらい理解しているか、それこそが大学生になってからも選手が成長していくための重要な素養なのではないか――吉村氏が繰り返すこのメッセージは、育成年代の指導者や子どもたちにも通じるものと言えるだろう。サッカーの本質について考えはじめるのに、早過ぎるということはない。日々の練習、試合の中でつねに問いかけていくことが、きっと選手たちの可能性を広げてくれるに違いない。

■大学サッカーから逆算で考える育成指導(2)

THEME1 育成・強化の柱は教育

(1)大学プレーヤーの現状
(2)サッカーの特性を学習する
   ・サッカーの特性「サッカーってどんなスポーツ?」
(3)多面的なサッカー観を育てる
   ・John Woodenの「成功のピラミッド」
(4)教育しあう人間関係

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「あえてベストメンバーを組まない」ことで育まれるもの>>

吉村雅文(よしむら・まさふみ)
1960年6月29日生まれ。大阪府出身。順天堂大学体育学部卒業後、同大学院へ進学。同志社大学、東京電機大学での教職を経て、現在は順天堂大学スポーツ健康科学研究科教授。その間、順天堂大学蹴球部の指導者・監督としても2014年まで指揮をとり、多数の大学タイトルを獲得。近年では田中順也(スポルティング)、小宮山尊信(川崎フロンターレ)をはじめ多くの有力選手を育て上げたほか、2013年のユニバーシアード競技大会では日本代表監督としてチームを率い、堅守かつ攻撃的なサッカーを展開して銅メダルを獲得した。全日本大学サッカー連盟技術委員長、関東大学サッカー連盟技術委員長などを歴任。

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