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【CUAビルドアップ】「怒り」のセリフは2文字で切り返す

6月のCOACH UNITED ACADEMY(以下、CUA)後半は、CUA会員との共同プロジェクト『CUAビルドアップ』から生まれたオリジナルセミナー「『怒り』をコントロールする」。作新学院大学准教授でプロスポーツメンタルコンサルタントの笠原彰氏と編集部によるアレンジで、指導現場につきまとう「怒り」の感情をコントロールする方法について提言している。引き続きセミナー後編の内容から、実際のトレーニング方法を中心に紹介する。(取材・文/前田陽子)

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<<「怒り」のコントロールは一日にしてならず

■コーチは怒れど"アティチュードコントロール"

「コーチが怒りの感情をコントロールできなくなったとき、ほとんどの場合それは行動を伴って表れます。たとえば『顔にしわが寄る』『口がへの字になる』『腕を組む』『怒鳴る』『地面を蹴る』といった行動です」

しかし、たとえ頭の中は怒りの感情で満たされたとしても、目は冷静に、口は閉じるなど、表情・態度・姿勢が一定に保たれていると、印象はかなり和らぐものだ。せっかくアドバイス自体は的確だったとしても、腕を組んだり顔にしわを寄せていると、選手からは怒っているように見えてプレーが委縮してしまいかねない。あくまで"遠目から見て"で構わないので、怒っているという印象を持たれない態度や姿勢でいることが大切だ。このように、表情・態度・姿勢という「行動」を変えることで「感情」をコントロールすることを"アティチュードコントロール"という。その有効性を裏付けるのが、心理学の理論である「自己知覚理論」だ。

「怒りの感情にかられたときに、それに合わせた表情・態度・姿勢、たとえば『顔にしわが寄る』『口がへの字になる』『腕を組む』『怒鳴る』...といった行動をそのまま出してしまうと、怒りのコントロールはほとんど難しくなってしまいます。それに対して、怒りの感情に襲われたとしても『目元・口元はソフトに』『腕はゆったり後ろに』など、表情・態度・姿勢をコントロールすることを習慣化できれば、怒りの感情に耐えて一定に保つ能力が上がってきます。このメカニズムのことを『自己知覚理論』と言います」

最初は苦しいかもしれないが、サッカーの現場だけでなく日常生活の中でも意識的にトレーニングを行なうことで、怒りの感情は抱きつつも行動まで流されることなく、その状況を制御する力を身に付けられるのだ。

行動のコントロールに加えてもうひとつ、怒りの瞬間に頭の中に思い浮かんだ思考、すなわち具体的な"セリフ"をコントロールすることも必要だ。トレーニングによって行動のコントロールができるようになっても、「あいつ何やってんだよ!」などと頭の中でネガティブな言葉を思い浮かべていたのでは、怒りのコントロールは中途半端に終わってしまう。

「思考のコントロールを行なう際には、思考の置き換えというテクニックが有効です。怒りの感情に襲われたとき、最初はネガティブなセリフが思い浮かんでも構いません。それを無理やり消そうとしても、かえって強く表れてしまうので注意が必要です。これを"逆説的思考侵入効果"と言いますが、それを防ぐためには、ネガティブなセリフが出てきたところで"でも"という逆説の接続詞を入れて、別の言葉に置き換えてあげることです」

怒りの感情に襲われたとき、最初に頭に浮かんだセリフが「あいつ何やってんだよ!冗談じゃねえよ!」だったとしたら、その直後に「でも...あいつならまだやってくれる...」というように、ポジティブに置き換えたセリフを続けてみるのだ。その置き換えた言葉が強がりでも無理やりでも問題はない。最低3ヵ月のトレーニングを続ければ、ネガティブな言葉が出たとしても"でも"と切り返し、自然とポジティブな言葉に置き換えることができるようになる。重要なのはネガティブな言葉を無くすことではなく、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換える習慣を身に付けることなのだ。

ちなみに、ポジティブな言葉は頭に思い浮かべるだけでもいいが、ささやくことでさらに効果が上がるという。「思う」だけでは思考のコントロールにとどまるが、声に出して「ささやく」ことで行動のコントロールも加わるからだ。思考と行動の両方をコントロールすることで、感情のコントロールはより強固になると笠原氏は言う。

■怒りを制した後の効果的な指示出しとは

怒りのコントロールができたら、次は選手への指示出しの方法を考えたい。指示の出し方は大きく分けて「マネージメント」「フォーム」「次への集中」「リラックス」「楽観視」「闘志、挑戦」の6つの方法があげられる。第1の「マネージメント」とは、たとえば「もっと左サイドを使おう」「右からクロスボールを上げよう」のような、戦術的アドバイスのことをいう。また「次への集中」とは、選手が最高の能力を発揮できるような心理状態、いわゆる『ゾーン』『フロー』に入るときの特徴のひとつで、これを促すにはプレー中のミスにとらわれず、次のプレーに集中できる指示が望ましい。文字通り「次いこう、次!」や「まだまだ、ここから!」など、次のプレーを連想させる言葉が効果的だ。逆にミスした選手に対して「なんでそうなんだ!」のように"なんで"という言葉を使うと、選手を過去のミスに執着させ、次のプレーへの集中を妨げる可能性がある。大事な場面での"なんで"は指導者にとって禁句と言えるだろう。

このほか「リラックス」「楽観視」「闘志、挑戦」を促す指示出しの詳しいポイントや、アティチュードコントロールの実践方法はぜひセミナー本編で確認いただきたい。怒りのコントロールとは、説明することは簡単で聞いて理解することも簡単だが、できることとの間には大きな隔たりがある。そのためにはトレーニングが不可欠であり、最低でも3ヵ月続けて習慣化することが重要だ。まずは自分自身の怒りの自己分析から始めよう。

笠原彰(かさはら・あきら)
1968年7月10日生まれ。東京都出身。作新学院大学准教授。日本体育大学大学院卒。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士。プロゴルフ、プロテニスなどのトップアスリートや、中学高校生チームの指導、講演会活動などを行なっている。現場指導は2500時間を超えており、実績豊富なスポーツメンタルコンサルタントとして知られる。Facebook「スポーツメンタルトレーニング」は1週間に3万PVを超える人気ページ。近著に『誰でもできる 最新スポーツメンタルトレーニング』がある。講演依頼などはこちらから。

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