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ジュニア年代から歴然と違う「キックの質」/JAPANの現在地

7月のCOACH UNITED ACADEMYでは「JAPANの現在地」をテーマに、海外を舞台に戦う指導者から見た日本の現状にフォーカス。後半は「オランダで見つけたJAPANの航路」と題し、オランダのVVVフェンロでトップチームのコーチを務める元日本代表・藤田俊哉氏にご登場いただいた。オランダでの1年半に渡るキャリアを通じて感じた"最先端の指導法"とは――。今回は趣向を変えて、「オランダと日本の違い」に着目した藤田氏の解説をご紹介しよう。(取材・文/小須田泰二)

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<<シンプルかつ奥深い「ポゼッション」の源流

■指導面だけ見れば日本が優れている部分も

オランダと日本。その指導方法の違いについてはさまざまなメディアで語られてきたが、藤田俊哉氏もまた、1年半前から独自の視点でつぶさに観察してきた一人だ。現役時代の藤田氏は天才的なサッカーセンスを持ったプレーヤーであり、一流選手であったがゆえにサッカーの"本質"を見極める能力はきわめて高い。そんな藤田氏が指導者となったいま、オランダサッカーと日本サッカーの違いをどのように分析しているのだろうか。

「いろいろな部分で"本質"の違いは感じます。自分が特に注目しているのは個の強化の部分。オランダではほとんどのクラブが4-3-3のポゼッションサッカーという一貫指導をしていますが、すべてが自分にとって新しいものというわけではありません。新鮮な部分とともに、そうでもない部分もたくさんあります」

サッカー文化や歴史の蓄積は明らかに向こうのほうが上。しかし指導面だけを見れば、むしろ日本のほうが優れている部分がある、というのが藤田氏の率直な感想だ。

「もちろんまだVVV(フェー・フェー・フェー)というクラブでしか教えていませんから、一概には言えませんが、指導法の中にはオランダより日本のほうが優れている部分があると思います。トレーニング理論についてはしっかりしたものが確立されていますが、ウォーミングアップを行なって、パストレーニングをして、ポゼッション練習に移って、最後はテーマ別のトレーニングをこなすといったパターンの繰り返しですから。メニューのバリエーションや、きめ細かな指導という点では、日本でのトレーニングも質が高いですしアイデアも多いと感じます」

その一方で、藤田氏がオランダサッカーの素晴らしさとして挙げるのは、選手の質の高さだ。サッカー戦術大国というよりも、むしろ『サッカー選手輸出大国』という表現がふさわしい。ちなみに人口わずか1600万人の小国オランダに対して、日本は1億2600万人である。

「トレーニングメニューの違いは別として、はっきりしているのは、ふたつの国の実力差を踏まえればオランダのほうが選手育成の点で先に進んでいるということ。言い換えれば、まだまだ日本が選手の"質"という点で格下に位置するのは事実でしょう。本田(圭佑)やシンジ(香川真司)、長友(佑都)といった世界で戦える選手が増えていますが、その絶対的な数はオランダに比べて到底かないません。おそらくオランダは、ブラジルやアルゼンチンに肩を並べるほど、ヨーロッパの主要リーグで活躍している選手が多いはずですから」

■オランダ人のキックに日本人が追いつく方法

オランダと日本。続いて、選手の技術レベルの違いをどの部分で感じているのか。興味深いのは、藤田氏がまず「キックの違い」を指摘したことだった。

「オランダ人のキックは、日本人とは質が違います。それはユトレヒトでプレーしたときにも感じたことではありますが、指導者としてこちらに来て目の当たりにしてみて、あらためてそのインパクトの強さに圧倒されています。日本人とは骨格もパワーも違いますから、それがキックの質として表れるのかもしれませんが、ジュニア年代の子どもたちのキックを見ても、日本人の子どもたちとの差は歴然です」

キックの質を高めることが、必ずしも一流選手になるための条件とは言えない。しかし、藤田氏はこうした基本となる技術力を磨くことの重要性を説いている。サッカー選手の3大要素と言われる"心・技・体"。この3つを頂点とするトライアングルの面積が大きくなればなるほど、サッカー選手としてのレベルの高さを表わすことになる。したがって、"技"の部分にあたる「キックの質」についても当然、高めていったほうがいいというのが藤田氏の持論だ。それはGKのレベルアップにもつながることだと言う。

なぜ強いキックを蹴ることがサッカーでは大切なのか。それは、ヘディングができないよりもできたほうがいい。ドリブルだってできたほうがいいし、フェイントだってたくさん持っているほうがいい。それと同じく「強いキックを蹴れたほうがいい」という。

「誰にも負けないスペシャルな武器を持つことももちろん大切なことですが、選手にとってはたくさんの武器や道具を持っているほうがいいに決まっています。そうした視点で考えると、たとえばゴルフをプレーするとき、飛距離を調節できるクラブをたくさん持っていないと、いろいろなコースに対応することはできないでしょうし、いいスコアを出すこともできません。それと同じで、サッカーでは強いキックも緩いキックも両方必要。ドライバーからパターまで、飛距離を調節できるクラブ(キック)をたくさん持っているほうがいいんです」

サッカーの場合はゴルフと違い、道具を使わずに自分の足でプレーする。そのとき強いキックを蹴ることができれば、自ずと緩いキックも蹴ることもできるようになるという。キックのインパクトが強ければ、その強弱でパスの緩急をつけられるというわけだ。個人能力の高さあってこその大きな利点だが、では、日本人がオランダ人のように強いキックを蹴るにはどうすればいいのか。藤田氏がその改善策を提案する。

「ボールを打つ最適の場所――いわゆるスウィートスポットをしっかり捉えること。オランダ人に比べて日本人は骨格もパワーも違いますから、しっかりスウィートスポットに足をインパクトさせることを意識して蹴る習慣を身に付けてほしいですね。それと、選手それぞれの身体に合わせたキックのフォームを考えることも重要になります」

こうしてキックの質の違いについて見解を述べてきた藤田氏だが、それ以外にも「オランダと日本の違い」を感じる点がたくさんあるという。これからもオランダで見て学んだことを自身の指導に生かしていくとともに、あらゆる情報やデータを集めて自分なりに整理して伝えることが、日本サッカーの底上げにつながればそれに勝る喜びはないと考えている。

「日本が世界のトップに近づくにはどうすればいいのか。その方法論の確立が僕にとっての究極の目標です。それはきっと、日本の指導者みんなの努力によって達成できるものだと信じています。僕自身はまだまだ指導者として歩み始めたばかりですが、自分が学んできたことが少しでも役に立つのであれば、いつでも協力したいと思っています」

藤田氏が見た「オランダと日本の違い」の他、日本の指導者への熱いメッセージも寄せられたセミナー後編は、COACH UNITEDE ACADEMYにて7月27日(月)より公開中。この機会にぜひご入会のうえご視聴いただきたい。

藤田俊哉(ふじた・としや)
1971年10月4日生まれ。静岡県出身。清水商高2年時に高校選手権優勝。筑波大学を経てジュビロ磐田に入団。1年目からレギュラーの座を獲得し、抜群の得点能力とパスセンスで磐田の黄金時代を牽引した。Jリーグベストイレブン3回。2001年にはJリーグMVPを受賞。2003年にオランダのユトレヒトに半年間の期限付き移籍。帰国後は磐田―名古屋グランパス―ロアッソ熊本―ジェフユナイテッド市原・千葉でプレー。日本代表24試合出場3得点。2012年に現役引退して指導者の道へ。2013年7月にJFA 公認S級コーチに認定。同年8月に渡欧し、2014年1月からVVVフェンロのコーチに就任した。ジュビロ磐田アンバサダーも務める。


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