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その「パスが巧い選手」がどう巧いのか説明できますか?/スカウト視点の育成指導

10年間、清水エスパルスのスカウトとして活躍してきた興津大三氏。スカウトを始めた初年度に、当時無名だった岡崎慎司(レスター)を発掘し、「キミはゴン中山さんになれる逸材だ」と言い続け、Jリーガーへと導いた。その後、岩下敬輔(G大阪)、藤本淳吾(横浜FM)、大前元紀、本田拓也(ともに清水)など、のちの日本代表選手を見出し、大きく成長させた手腕は"敏腕スカウト"と呼ぶにふさわしい。そんな選手を見抜く目を持つ興津氏は、現在アーセナルサッカースクール市川のゼネラルマネージャーとして、若手選手の育成に当たっている。はたして、プロのスカウトは選手のどこを見るのか? 9月前半のCOACH UNITEDは、育成年代の指導にも活かせる興津氏の『スカウト視点』を紹介する。(取材・文/鈴木智之)

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■スカウト活動で研ぎ澄まされた2つの視点

数々のタレントを見出してきた興津氏が、選手を見る際にこだわる点は突き詰めると2つだという。それが「ファーストタッチ」と「ストロングポイント」だ。

「まずはファーストタッチで、その選手の技術力を観察します。ベースとしての技術力があり、その上でストロングポイントのはっきりした選手をリストアップします。藤本淳吾選手であれば、浮いたボールを使って時間を作るパス。兵働昭弘選手(大分)であれば、ピッチを切り裂くような低くて速いパス。岩下敬輔選手は闘争本能、岡崎慎司選手は泥臭くゴールを狙う姿勢など、細かく分析して見出したストロングポイントを判断基準に選手を見ていきます」

ストロングポイントというのは「誰の目にもはっきりとわかる長所」と捉えられがちだが、実のところ、それだけとも言い切ることができない。興津氏によると「選手自身が認識しているストロングポイントと、私が認識するストロングポイントが違っていることは、実際のところよくありました」という。

「たとえば、筑波大学時代の藤本淳吾選手を見たときに、私は彼の持つ"浮き球を使って時間を作るキック"がすばらしいと感じていました。味方が前を走っているときに、その選手に絶妙のタイミングで、ピンポイントに浮き球でパスを通すことができるのが彼の特長だと見ていたのです。しかし、当の藤本選手はそこが自分の長所だとは気づいておらず、グラウンダーのスルーパスばかりを狙っていました。私の考えでは、グラウンダーのスルーパスならむしろ藤本選手の1学年上の先輩、兵働昭弘選手のストロングポイント。そこで藤本選手に私の考えを伝え、互いに認識をすり合わせていきました」

当時の筑波大、そして後の清水エスパルスには、"浮き球の藤本""グラウンダーの兵働"とタイプの異なる司令塔がいた。これは、当時常勝を誇っていたジュビロ磐田に藤田俊哉と名波浩、鹿島アントラーズにはビスマルクと小笠原満男という、異なる10番タイプの選手がいたことから導いた興津氏のスカウト戦略。一人をケガや警告で欠いても、もう一人の選手がいる――いわゆる"ダブル司令塔"を抱えることが、チームの安定性を考えたときに非常に重要であると分析した結果だった。

■育成は指導者・選手・保護者の三位一体で

選手のストロングポイントを見極められたとして、ではそれをどうチームの強化に活かしていくのか? 興津氏はスカウトとしての経験を踏まえ、指導者の視点から次のようにアドバイスをする。

「一見『足が速い』『パスが巧い』『1対1に強い』など、選手は同じようなストロングポイントを持っているように見えるかもしれませんが、同じ『パスが巧い』でも、藤本選手と兵働選手のような"個性の違い"を細かく分析して選手に伝える。それが指導者に求められる役割だと思います。そしてサッカーは集団スポーツですから、選手同士がお互いのストロングポイントを理解していることが重要になります。その結果として、互いの良いプレーを掛け合せることでチーム力もアップしていきます。さらには、指導者が感じるストロングポイントを選手や保護者に伝え、意識させること。指導者・選手・保護者が三位一体となって、同じ認識のもとに育っていくことが一番大切なポイントだと思います」

ストロングポイントをいかに見抜くか? それが指導者に求められる要素だと興津氏は語る。もちろん、ストロングポイントはピッチの中だけで見分けられるものではない。たとえば、岡崎は持ち前の泥臭くゴールを狙う姿勢に加え、「常に努力し続ける」という長所を備えていた。興津氏によると「プロ入り1年目は試合に出られずに苦労していましたが、全体練習が終わった後に砂浜に走りに行ったり、コーチとマンツーマンでシュート練習をしていた」という。

ここから生まれた、新人は居残りでトレーニングをするという"岡崎イズム"を受け継いだのが、現在の清水エスパルスで背番号10を背負う大前元紀選手だ。技術、フィジカル、戦術面でのストロングポイントに加え、メンタル的な強さを持ち、飽くなき向上心を備える選手こそが、一流への階段を駆け上がることができるのだ。こうした臨場感あふれるエピソード満載の興津氏のセミナー、ぜひCOACH UNITED ACADEMYで本編をご視聴いただきたい。

興津大三(おきつ・だいぞう)
1974年6月15日生まれ。兵庫県淡路島出身。清水商高→筑波大→清水エスパルス→セレッソ大阪。現役引退後、滝川第二高のコーチ、清水エスパルス・スクールコーチを経て、選手スカウトの道へ。10年間のスカウト活動で、岡崎慎司、岩下敬輔、兵働昭弘、藤本淳吾、平岡康裕、青山直晃、大前元紀、本田拓也など、数多くのタレントの獲得に携わる。2014年よりアーセナルサッカースクール市川のゼネラルマネージャーに就任。

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