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「0-1で負けている状況も楽しめるのがサッカー」/学ぶ指導者対談 後編

ボールを保持し、パスとドリブルを主体とするサッカーで、栃木県で頭角を表しているともぞうSC。代表を務めるのは、栃木SCでプレー経験のある長谷川具三(はせがわともぞう)さんです。かたや東京ヴェルディの普及やNIKEエリートトレーニング、FC岐阜トップチームコーチを務め、各年代の指導経験を持つ大森FC代表・小島直人コーチ。育成年代の指導者はどのようにサッカーを学んでいるのでしょうか? 対談後編をお届けします。(取材・文・写真/鈴木智之)

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■「僕らが指導しているのは、次の時代の子どもたち」

小島:サッカーが進化していく中で、いろいろな情報が入ってくるじゃないですか。どうやってサッカーを学んでいますか?

長谷川:雑誌やインターネットの記事を見て、指導に取り入れることはありますね。あとは、その時々に流行りの言葉ってありますよね。いまだと「インテンシティ」や「強度」ですか。それについて考えることはあります。

小島:僕はあまのじゃくなので、流行りの言葉が出てくると、その先に行ってやろうと思うんです(笑)。バルセロナが強かったときに、大森FCのスタッフを集めて「どうせ"バルサに勝とう"となってくるから、バルサの真似をするのではなく、バルサに勝つにはどうすればいいかを考えよう。僕らが指導しているのは、次の時代の子どもたちだから」と話をしたことがあります。そのためにどうすればいいか、いまもまだ考えているのですが。

長谷川:僕がサッカーについて考え始めたのは、高校(作新学院)を卒業して、本田技研(当時)に入ったときです。周りには名門高校のキャプテンだった選手とか、すごい選手がたくさんいました。そこで技術面の大切さを痛感しましたね。周りがみんなうまいんですよ。自分は身体が小さかったので、彼らに立ち向かうためにフィジカルを鍛えました。いまは技術の大切さが身にしみているので、選手たちには技術練習をさせています。

小島:技術を身に付けるために、一番重要な練習は何だと思いますか?

長谷川:一番はリフティングですね。うちは100メートルの移動リフティングと、リフティング500回ができないと、高学年の部で練習に参加できないんですよ。いまの高学年はみんなできます。リフティングは努力さえすれば誰でもできる。うちのチームには1000回、2000回できるのが当たり前の選手もたくさんいます。リフティングをすることで、ボールを止めて、蹴る技術は向上しますよね。とくに土のコートだと、技術の差は一目瞭然ですね。

小島:リフティングですか。意外です。僕はそれほど、練習でリフティングをやらせることはありません。そんなに止める、蹴る部分で役に立ちますか?

長谷川:リフティングをやっていればできるようになります。リフティングが良いのは、ひとりでできるところです。自主練で時間をかけてやれば、小学生だったらすぐにできるようになりますよ。

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■サッカーのうまさとリフティングは関係ない?

小島:確かにリフティングをすることで、身体のバランスや軸足の位置、ボールの近くに身体を運ぶこととか、身に付くものはありますよね。中には「サッカーのうまさとリフティングの回数は関係ない」と言う人もいるじゃないですか。一方でともぞうさんのように、リフティングのトレーニングをすることで、ボールコントロールやキックが上達すると感じる人もいるわけで。インステップでリフティングの練習をすれば、ボールの面をとらえるようにミートする場所を覚える効果もあります。

長谷川:トラップもできるようになるんですよ。最終ラインからロングキックを蹴ってくる相手に対して試合を支配しようとすると、ロングキックをピタッと止められる技術が必要です。そこでボールを止めずに跳ね返すと、相手と蹴り合いになってしまいます。ボールをすぐに蹴ってくる相手は、逆に考えるとボールを簡単に手放してくれるわけですから、しっかりと止める技術があれば、全部マイボールにできるわけです。そのために技術を高めて、マイボールにする確率を上げています。

小島:蹴ったボールは浮き球なので、その処理にストレスを感じなければチャンスになりますよね。小学生年代だと、ボールの落下地点の目測を誤ってピンチになることがよくあります。

長谷川:リフティングをすると空間認知を高めることにもなるので、頭上を越えていくこともあまりないですし、トラップもクッションコントロールを練習すればできるようになりますよ。

小島:僕らは2ヶ月ヘディングの練習をしたら、勝率が上がりました。対戦相手がロングキックをゴール前に蹴ってくるチームばかりだったので、ヘディングで跳ね返せるようになればこぼれ球を拾う意識も強くなります。マイボールにしたあとは、それまでやってきたボールをつなぐサッカーをする。それで勝率が上がりますし、パスをつなぐことによって相手が前からプレスに来るので、その瞬間に相手の背後のスペースへパスを出したり。

長谷川:マイボールを前に蹴るとノーリスクですし、楽なのでやってしまうんですよね。でも、その中にサッカーを学ぶ要素はほとんどないですよ。

小島:その方法で勝つと、それが正解になりますよね。

長谷川:僕の考えとしては小学生も中学生も、その年代で身に付けるべきことがあると思っています。結果だけを考えてサッカーをするのではなく、極端な話、勝ち負けは二の次です。ただ、子どもたちには「勝たなくてもいい」とは言いませんけどね。それは絶対に言いません。

小島:僕もむちゃくちゃ負けず嫌いですけど、選手に「絶対に勝とう」とは言わないんです。それを言ってしまうと結果だけにフォーカスしてしまって、点を取られたら「勝てない、負けちゃう」しか思わなくなる気がするんです。別に、もう1点取ればいいだけの話なのに。0-1で負けている状況もサッカーなので楽しめるはずなのに、結果ばかりを考えて楽しくサッカーができなくなると、ちっともおもしろくない。いいサッカーもできないですよね。

長谷川:サッカーは本来、楽しいもののはず。指導者に「ああしろ」「こうしろ」と言われて、選手たちがサッカーをやらされているのと、自ら進んでプレーしてエンジョイするのとでは、うまくなる率、伸びる率が全然違いますよね。

小島:そう思います。また対戦して、いろいろ勉強させてください。ありがとうございました。

長谷川:こちらこそ、ありがとうございました。


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小島直人(こじま・なおと)【写真左】
一般社団法人・大森フットボールクラブ代表。イギリスでの選手経験の後、東京ヴェルディ普及コーチとして、育成年代選手の指導にあたる。2007年よりNIKEエリートトレーニング専属コーチとして、関東・関西地区で毎年1万人以上の中高生を指導。2013年より2年間、FC岐阜のトップチームコーチに就任。日本サッカー協会公認B級コーチライセンス、イングランド協会公認コーチレベル1保有。大森FC公式HP

長谷川具三(はせがわ・ともぞう)【写真右】
栃木県宇都宮市北部地区を中心に活動する、ともぞうSC代表。作新学院を経て、本田技研ルミノッソ狭山、栃木SC(JFL)でプレー。栃木SCのJFLファーストゴールを記録保持者。2002年の引退後、ともぞうSCを立ち上げ、26歳で指導の道へ。ともぞうSC公式HP

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