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ビッグクラブと同じやり方ではなく独自のフィロソフィーを築く/ 強豪クラブに立ち向かうための育成術

今季のブンデスリーガで6位に躍進したマインツ。過去には岡崎慎司選手が所属し、現在は武藤嘉紀選手がプレーすることで、日本でも一躍有名になったクラブだ。マインツの哲学は明確。選手を安価で獲得し、育成して高く売るというもの。その生命線となるのがアカデミーを始めとする『育成』だ。マインツはクラブの育成を評価する機関から、9年連続で三ツ星を送られるなど、育成に定評があるクラブとして知られている。

2016年5月、マインツのアカデミーから2人のコーチが来日し、日本の指導者に向けて講習会を行った。COACH UNITED ACADEMYでは、講習会と実技指導の様子を2回に分けてお伝えする。(取材・文 鈴木智之)

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■背伸びはせずに自分たちのチームでできることを理解する

マインツのアカデミーから来日したのは、セバスチャンコーチとヨークコーチ。セバスチャンはかつてブンデスリーガのカイザースラウテルンでプレーし、15歳から21歳まで、ドイツの年代別代表でプレーした経験を持っている。ヨークコーチはマインツでのプロ経験があり、選手時代はユルゲン・クロップ(現リバプール監督)と同時期に在籍しており、マインツではクロップが監督、ヨークがマネージャーという関係性で仕事をしていた時期もあった。

セバスチャンコーチはマインツの特徴をこう語る。

「我々は小さなクラブなので、高価な選手を買ってくることはできません。しかし、トレーニングを通じて、選手を成長させることができます。これこそが、我々のアイデンティティです」

マインツはU8~U13のカテゴリーにおいて、地元の選手しか獲得しない。その理由は「ホームシックなど、精神面での影響があるから」(セバスチャンコーチ)だと言う。そしてU14になると、ドイツ全土から選手が集まってくる。ドイツでもマインツの育成力は知られており、ある3部クラブ所属の選手のもとに、マンチェスター・ユナイテッドから獲得のオファーがあった。しかし、彼はマインツでプレーする道を選んだという。

「なぜかというと、マンチェスター・ユナイテッドのアカデミーに入ったとしても、トップチームでデビューできる可能性が低いからです。最近はマインツのアカデミーからトップチームに上がり、選手として十分に鍛えられてから、国内外のビッククラブに移籍したいと考える選手が増えてきています」(セバスチャンコーチ)

つまり「マインツに行けば、選手として成長できる」と考える選手や保護者が増えているのだという。またそれは、選手だけではなく指導者も同様だ。リバプールのユルゲン・クロップ監督も、ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督も、マインツで指導者としてキャリアをスタートし、経験と実績を積んだ後、ビッグクラブへと旅立っていった。

「マインツは選手を育てて売っていますが、ひとつのファミリーのようなチームを目指しています。その証拠に、引退後はマインツに戻ってきて、コーチをしている人もたくさんいます」(ヨークコーチ)

2008年には、トゥヘル監督がマインツU-19を率い、アンダーカテゴリーのブンデスリーガを制したこともある。彼らは「バイエルンやドルトムントほどのビッグクラブではないが、我々の育成システムは充実している」と胸を張る。

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■育成における「7つの柱」と「1秒」の重要性

では、マインツはどのような哲学で選手を育成しているのだろうか? セバスチャンコーチによると、毎週U8~U19までのコーチが集まり、選手育成についてのミーティングが開かれ、情報を共有しているという。そこでの会話のベースとなるのが、マインツが育成で大事にしている"7つの柱"だ。ヨークコーチは言う。

「マインツの育成には7つの柱があります。ひとつが、サッカーに対して情熱を持って取り組むこと。2つ目が、ボールを奪われたらすぐに取り返すこと。3つ目は正確にプレーすること。4つ目が、なるべく相手ゴールに近い位置でボールを奪い返すこと。5つ目が、プレーすべてを素早く行うこと。6つ目が、パススピードを速くすること。そして最後のひとつが、高いクオリティでプレーすることです」

マインツのサッカーで重要なポイントとなるのが「スピード」だ。かつて、バイエルンの監督を務めたグアルディオラが「ブンデスリーガのカウンターのスピードは世界最高峰だ」と言ったことがあったが、マインツもプレーのスピード、判断のスピードを重視している。それを表すのが「1秒」という言葉だ。ヨークコーチが説明する。

「我々が選手たちに言っているのは『1秒間で全てが決まってしまう』ということです。試合中、1秒の間に判断し、決断をしないとプレーの局面は一気に不利になります。プレーのスピード、判断・決断のスピード、切り替えのスピードなど、スピードを重点的にトレーニングすることが、我々がトレーニングの中で重要視している部分です」

具体的に、どのようにスピードに意識を向けたトレーニングをしているかは、動画をご覧頂ければと思うが、セバスチャン、ヨーク両コーチは単純にプレーのスピードに働きかけるだけでなく、判断や決断のスピードを高めるためのトレーニングメニュー、ルール設定、声掛けを行っている。

最後に、セバスチャンコーチが日本の指導者に向けて、メッセージをくれた。

「我々は、常にひとつの道を信じて、育成を続けています。それは試合の結果によって、ブレることはありません。向かうべきゴールがあり、そこへ向かう道が決まります。指導者のみなさんには、自分で決めたゴールに向かって、ブレずに進んでほしいと思います。頻繁に行くべきゴールを変えるのではなく、愚直に突き進むことが、成功への近道なのです。」

COACH UNITED ACADEMYでは、マインツのコーチが日本のU13年代の選手に対して、指導を行っている動画を公開中。マインツ流「1秒のスピード」にこだわったトレーニングを、チェックしてみてはいかがだろうか。

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セバスチャン シャクター
1.FSVマインツ05 ユースアカデミーコーチ。カイザースラウテルン、SVヴィルヘルムスハーフェンなどでプレーしU15~U20までドイツの年代別代表として活躍する。UEFA- B-Level Coach、DFB ドイツサッカー協会 エリートユースコーチを有しマインツの育成を担っている。

ヨーク コンラッド
1.FSVマインツ05 ユースアカデミー コーチ。マインツでのプロ選手経験があり、選手時代はユルゲン・クロップ(現リバプール監督)と同時期に在籍しており、マインツではクロップが監督、ヨークがマネージャーという関係性で仕事をしていた。

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