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毎年プロ選手を生み出す秘密!将来の即戦力を育てる「ボールコーディネーション」とは

※サカイク転載記事(2016年4月18日掲載)

高い技術と個人戦術をベースとした、ポゼッションスタイルで注目を集める大阪府の興國高校。過去3年で4人のプロ選手を輩出し、昨年度は年代別の日本代表に2人を送り込むなど、個の育成は高校サッカー界でもトップレベルです。

なぜ、高校選手権に出場経験のない高校から、プロ選手が毎年のように生まれるのでしょうか。その秘密のひとつが、興國オリジナルのテクニックとテクニックをリズムでつなぐ「ボールコーディネーション」と呼ばれる練習にあります。(取材・文/鈴木智之)

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(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

■ボールの大きさや重さを頻繁に変えることで技術習得が早まる

ボールコーディネーションとは、ドリブルやリフティング、パスなどボールコントロールの練習をリズムでつなぎ、前後左右の動きをつけた、コーディネーションの要素を含んだ技術練習のことを言います。

このトレーニングで使用するのは、3号球の大きさで、5号球と同じ重さのボール。あるいは表面がゴムでできている、柔らかくて小さいリフティングボールです。なぜ、小さくて重さの異なるボールを使って、練習をするのでしょうか? 興國高校サッカー部監督、内野智章氏が説明します。

「脳科学によると、ボールの大きさや重さを頻繁に変えることによって、脳に違う種類の刺激が行くそうです。普段、試合で使っているボールと重さは同じなのに、大きさが違うという刺激を皮膚や筋肉に与えることで、脳を活性化させて、技術の習得を早くする狙いがあります」

ボールコーディネーショントレーニングは、ライフキネティックの要素を入れることで神経系の発達を促進し、身体の動きをスムーズにしていきます。この「身体の動きをスムーズにする」というのが、ボールコーディネーションの目的のひとつです。決して、器用に足技を繰り出すために練習をしているのではなく、どんな状態でもボールを自在にコントロールし、プレーのスピードを落とさないためのトレーニングなのです。内野監督は言います。

「朝練の30分と、放課後の練習時にウォーミングアップとして、ボールコーディネーショントレーニングを行っています。これを始めて7、8年になりますが、選手たちのボールコントロール技術、コーディネーションは随分レベルが上ったと思います」

■「前後の動き」や「斜めの動き」を入れて、技術練習を実践に近づける

興國のボールコーディネーショントレーニングは、ドリブルやリフティング、複数人でのパス回しなど、個のレベルアップにフォーカスを当てたものです。ドリブルでは大きさや重さ、表面の柔らかさが違うボールを使い、足の様々な部位を使用して、リズミカルなボールタッチで進んでいきます。リフティングも両足を使い、足の様々な部位でボールを動かしていきます。

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足の様々な部位でボールをコントロール(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)

一見、オーソドックスな技術練習に思われがちですが、ポイントになるのがドリブルやリフティングに「前後の動き」や「斜めの動き」を入れること。ドリブルは前進だけでなく、後ろに下がる動きも行います。リフティングも、その場でボールをつくのではなく、前後左右に移動をしながら行います。

「前後左右の動きを取り入れているのは、サッカーの実戦に近づけるためです。後ろに下がる動きをするときに使う筋肉は、前へ進むときに使う筋肉と異なります。そのため、それぞれのパターンで、神経系に働きかけるトレーニングを行う必要があります。そして、左右両足を使い、前進と後進を同じようにスムーズにできる状態を目指しています」

■どうすればイニエスタのようにプレーできるのか、辿りついた答え

興國の選手のドリブルを見ていると、上半身が起きていて、リズミカルに足を運んでいます。その動作は、イニエスタの動きに近いものがあります。内野監督は「テクニックとテクニックをリズムで繋ぐのがボールコーディネーション」と表現します。

「リズミカルに、スムーズな動きでボールを扱うことができで、はじめて興國が目指すポゼッションサッカーができるようになります。ジダンもイニエスタもそうですけど、どんなに速いボールやズレたボールが来ても、意図したところにスムーズな動きで置くことができますよね。あの動きが、ボールコーディネーションなんです。彼らは動きに無駄がなく、流れるようにプレーしています。バルサのホーム、カンプ・ノウはピッチに水を撒くので、パススピードがものすごく速いです。でもそこで、シャビやイニエスタはプレースピードを落とさず、正確にボールをコントロールします。実際にカンプ・ノウで彼らのプレーを見て、どうやったらできるんやろうと考えて、彼らの動作を研究した結果、ボールコーディネーションにたどり着きました」


■ポイントは動作とボールコントロールが平行して行われること

ボールコーディネーションの練習で、4人が四角形を作り、ツーステップでパスを回す練習があります。選手たちの動きを見ていると、ボールを蹴る動作と移動の動作がつながっているので、動きが素早く、無駄がありません。


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ツーステップのスクエアパス(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)


「パスを出した一歩目が、走りの一歩目になるという考え方で練習をしています。それができれば、パスを出した動きのまま、味方のサポートに行くことができますよね。単なるボール扱いの練習だけでなく、動作とボールコントロールが平行して行われているところがポイントで、それが、日本人が世界で生き延びるために必要な要素かなと思っています。常に動いていれば、相手にぶつかられる可能性も減りますよね。それをシャビやイニエスタは、自然にやっています。でも、多くの日本人はできません。だから練習するしかない。日本人のストロングポイントは、地味な練習を反復できるところだと思います。努力と反復練習でイニエスタに近づこうと、興國の選手は1年生のときから、ボールコーディネーショントレーニングをしているわけです」


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(DVD「興國式サッカーテクニカルメソッド」より)


興國では、シャビやイニエスタといった、トップレベルの選手の動きを解析し、独自のトレーニングに落とし込んでいます。毎日、実直にトレーニングを続けた成果が、卓越したボールコントロールの技術であり、ハイレベルなコーディネーションなのです。高い技術、コーディネーションを身につけた選手たちが、ポゼッションをベースとした攻撃サッカーを展開する。それが興國高校の強さの一因と言えるでしょう。



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