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失敗を指摘するのではなく、成功例、解決策を示すのが指導者の役割 / 選手のポテンシャルを最大限に引き出すトレーニングオーガナイズ

COACH UNITED ACADEMYでは、ブンデスリーガの名門1.FCケルンで育成部長を務め、ケルン体育大学で指導者養成、ドイツサッカー協会のU9、U10、U11、U15育成プログラムを作成するクラウス・パブスト氏が、日本の指導者に向けて行った講習会の模様を配信中。今回は、クラウス氏が考えるテクニック(ドリブル、パス、ボールコントロール)の重要性、トレーニング時のポイントを紹介したい。(取材・文 鈴木智之)

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■「考えさせる」ドリブル・パス練習を提案してあげる

クラウス氏が考える、ドリブルのポイントは次のとおり。

・ファーストタッチ
・積極的なドリブル
・体の前でドリブルをする
・切り込むこと
・視野の確保
・効果的なドリブル

「ドリブルをするときに重要なのが、フェイントをかけた後のファーストタッチです。それがうまくいかないと、相手をかわすことができません。指導者は選手のフェイントを見るのではなく、ファーストタッチをまずチェックしてください。私は普段から、子ども達に『ドリブルをしていいよ』と言っています。ですが、ドリブルを仕掛けるからには、相手を交わす等の結果が必要です。それはシュートのときも同じです。そこでは選手自身が『相手に取られないようにするには、どうすればいいか』を考えてプレーすることが大切なのです」

次に、クラウス氏は「パス」について解説する。たとえば、選手が練習や試合でパスミスをしたとき。どのようにアプローチをすれば良いのだろうか?

「指導者は選手に対して、『なぜパスがうまく出来なかったか』を教える必要があります。うまくボールを蹴ることができない選手がいれば、どうやってボールを蹴ればいいかを教えてあげるのです。以前、ある17歳の選手を教えたとき、ビルドアップがうまくいきませんでした。ボールを正確に蹴ることができなかったからです。彼に『ボールを蹴ってみて』というと、軸足の向きが間違っていることがわかりました。そこで、軸足の向きをボールの方向と同じにし、足首を固定して、軸足より前にボールを置いて蹴るという一連の動作を教えました。サッカーのプレーでは、このように細かいところが非常に重要なのです」

さらに、ドイツ人指導者の視点からこう続ける。

「練習ではなるべくボールを下げたり、横に出すのではなく、前に出してほしいと選手たちに伝えています。前方へのチャレンジは難しいことですが、前へのパスが成功したら楽しいですし、選手の自信にもつながります」

ブンデスリーガを見るとわかるとおり、ドイツのサッカーは縦へのスピードが特徴的だ。まずは相手ゴールをめざす。そのために、縦へとボールを運んでいく。その意識づけを、育成年代から浸透させていくという。

テクニックの3つ目が「ボールコントロール(トラップ)」だ。これらのプレーはサッカーの基礎中の基礎ともいうべきで、ボールを思い通りにコントロールすることから、すべてが始まる。

「ボールをトラップするときに、少しジャンプすることで、ボールの上を触ることができます。結果として、ボールがスッと止まります。とくに小さい子どもは、ボールコントロールを失敗すると、コーチの方を見て、やばいという顔をします。しかし、試合中は自分たちで問題を解決しないといけません。小さい子は、どうやって問題を解決すればいいかがわからない。解決方法を教えてあげるのが、指導者の役目なのです」

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■説明→デモンストレーション→観察→分析→修正で構築していく


テクニックの次は「シュート練習」について、クラウス氏の考え方を紹介したい。クラウス氏は「シュートだけを練習するのではなく、パスやドリブルも含めて練習をすることが重要」と語る。つまり、シュートだけを切り取るのではなく、試合と同じ状況(パスもあればドリブルもある)中で、シュートの要素にも働きかけるのだという。

「よくコーンやマーカーをゴール代わりに使う場面を見かけますが、個人的にはあまりおすすめしません。なぜならば、選手たちはシュートをネットに突き刺したいと、本能的に考えているからです。守備側の選手がボールを奪った後も、クリアをするのではなく、ミニゴールにシュートをするようなオーガナイズをします。私は2対2や3対3など、狭いスペースでトレーニングをするときは、小さいゴールを使います。これは、トレーニングセッション時に見て頂ければわかると思います」

クラウス氏はトレーニングの流れについて、次のように説明する。

「サイクルとしては説明→デモンストレーション→観察→分析→修正という流れで、ひとつのトレーニングを構築していきます。選手たちのプレーを観察し、何ができていないのか、何が原因なのかを分析し、デモンストレーションなどを通じて説明し、改善していきます」

選手にアドバイスをするときは、心理学的な観点からもネガティブな言葉を使わないほうがいいという。

「たとえば『ピンク色の象をイメージしないでください』と言うと、あなたの頭の中にはピンク色の象がいますよね。それと同じように、トラップミスをするな、シュートミスをするなというように、ネガティブな情報を伝えると、身体はそちらに導かれていってしまいます。そうならないために『後ろにボールを下げるな』ではなく、『前にボールを蹴ろう』というように、ポジティブな言い方で指示を出すように心がけています」

さらに、こう続ける。

「選手にはシンプルに伝えること。ミスはその場で修正すること。細かいミスではなく、大きなミスに焦点を当ててコーチングをすること。そして、できる限りデモンストレーションをするのが望ましいでしょう。選手個々に指導をするときは、名前を呼んでから言うように心がけてください。私のアカデミーには400人ほど選手がいますが、全員の名前を覚えています。必ず名前を読んで、いまのプレーがどうしてダメなのか、どうすれば良くなるのかを伝えます。コーチがたくさん指導をしても、選手は1つぐらいしか覚えられないもの。なるべくあれこれ言わず、失敗よりも成功例、解決策を伝えてあげることが、指導者の役割だと思います」

コーチユナイテッドアカデミーでは、クラウス氏のトレーニングや指導に対する考え方を映像で公開中。次回はいよいよトレーニングセッション、実技指導へ入っていく。興味のある方は、コーチユナイテッドアカデミーの動画をぜひご覧頂きたい。
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クラウス・パブスト
かつてブンデスリーガの名門1.FCケルンで育成部長を務め、ケルン体育大学で指導者養成、ドイツサッカー協会のU9、U10、U11、U15の育成プログラムを作成。ポドルスキなど、多数のブンデスリーガを輩出。親日家としても知られており、毎年日本でトレーニングキャンプ等を実施している。クラウス氏監修、日本人向け指導DVD「モダンフットボール」(http://www.e-3shop.com/modern_football/)

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