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U-18年代においても「楽しむ」という基本は忘れるべからず / 全国2冠を達成したFC東京U-18の育成論

COACH UNITED ACADEMY、2017年最初のゲストは2016年度のクラブユース選手権、Jユースカップの2冠を達成した、FC東京U-18の佐藤一樹監督。就任3年目で数々のタイトルを獲得するとともに、多くの選手をトップチームに送り出した佐藤監督の指導哲学を紹介したい。(取材・文 鈴木智之)

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■トレーニング冒頭に設ける『デイリー』とは?

前編のテーマは「育成年代の選手に対するアプローチ」。佐藤監督はU-18年代の選手に対してもっとも重要なことは? という問いに「一つに絞るのは難しいですが」と前置きをした上で、次のように語る。

「ベースになるのが、考える力です。主体性を持ってプレーできる、自立した選手であること。それは心の持ち方や人間力に関係してくることだと思います。それに加えて、サッカーの技術力があり、戦術理解力など、インテリジェンスの部分も必要です。人間的な部分とサッカーの部分のバランスが取れていることが、U-18年代の選手にとって重要な部分だと思います」

佐藤監督は現役引退後、サンフレッチェ広島のアカデミー、U-17日本代表のコーチ、FC東京U-18コーチを経て、2014年より監督を務めている。

自身の指導キャリアを振り返り、「私が指導をしてきた選手は技術力があり、サッカーを理解している選手が多かった」と語り、選手への接し方については「こうしろ、ああしろと言うよりは、もうちょっとこうしてみたら? こうした選択肢もあるんじゃない? とうながすことで変わっていく選手が多かった」と話す。

その経験から「良いプレーが出たときには、選手を褒めることで基準を示します。そうして、向上の余地のある部分を指摘することで、選手は変わっていきます」と述べる。

一方で、当然のことながら育成年代を指導する難しさも感じている。佐藤監督は言う。

「昨日できていたことが今日できなかったり、思い通りにならないゲームになることもあります。18歳、15歳の選手達はまだ学生ですので、心の面で揺らぎがあるのは仕方のないこと。そのため、日々、選手の顔色を見ながら、練習や試合に対して前のめりになるような雰囲気づくりを心がけています」

佐藤監督のトレーニングは『デイリー』という、4対2や6対2などのボール回しから始まる。「試合において、戦うメンタリティは絶対に外せませんが、サッカーは遊びでもあります。トレーニングの導入に遊び心を刺激するメニューを入れることで、選手の心のノリを見ます」と狙いを明かす。

■心得ておくべき各年代に合わせた育成のプライオリティ

現在はU-18を主に指導する佐藤監督は、U-15、U-12年代の育成についてはどう考えているのだろうか? 各年代における指導の優先順位について尋ねると、次のような答えが返ってきた。

「12歳頃まではサッカーが楽しくてしょうがない、毎日ボールを蹴りたいという年代ですよね。その中でサッカーのベースである、ボールを奪ってゴールを目指すこと、ゴールを守ること、ドリブルを仕掛けること、ボールを奪うことの連続の中で、楽しくサッカーを表現することが大切だと思います」

小学校を卒業し、U-15のカテゴリーに進むと、技術に加えてサッカーの理解力も重要になる。

「U-15年代に個人戦術、グループ戦術を理解しておくと、U-18のカテゴリーに進んだときにスムーズに適応できると思います。もちろんU-15年代であっても、技術や理解力のレベルが高い集団であれば、勝つためにどうするべきかといった、チーム戦術に踏み込んで行くのも良いと思います」

今季、FC東京U-18から、4人の選手がトップチーム昇格を決めている(注・12月下旬時点)。佐藤監督が指導しているU-18カテゴリーは、プロへの階段を上がる、仕上げの年代だ。

「U-18カテゴリーは、チーム戦術はもちろんのこと、相手の状況を自ら判断して、主体性を持って個人、グループ、チームが機能することが大切です。その中で選手が自分の良い部分、個性を出していくことが重要で、指導者としてはチームのフレームを作った中で、選手に個性を発揮させることを考えています。この年代は、勝ち負けが評価に直結するトップチームではないので、リスクを冒してチャレンジすることができます。そのため、チャレンジを繰り返す中で、選手を成長させていくことが重要だと考えています」

COACH UNITED ACADEMY動画では、ほかにも「モチベーションが落ちている選手への対応」「選手に求めること」「選手と監督が良い関係性を保つために意識していること」「指導におけるフリーズの使い方」など、多くのトピックスについて、佐藤監督に考えを話してもらった。タイトル獲得と選手育成を両立する指揮官の指導哲学をさらに知りたい方は、COACH UNITED ACADEMY動画をご覧頂ければと思う。

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佐藤 一樹/
筑波大を卒業後、横浜F・横浜FM・京都・大分・広島・横浜FCでサイドのスペシャリストとして活躍。引退後は、JFA公認S級ライセンスを取得。広島で幅広い指導にあたり、10年には、U-17日本代表のコーチとしても力を発揮。12年よりFC東京U-18にコーチとして加入し、14年から監督に就任。16年にインターナショナルユースカップと、第40回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の2冠を達成した。


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