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ハイプレッシャーでもボールを失わないために / ヴァンフォーレ甲府U-12が実践する「判断」と「技術」の習得

2016年のダノンネーションズカップ世界大会で準優勝した、ヴァンフォーレ甲府U-12。ジュニア創設7年目という短期間でチームを強豪へと導いたのが、今季からアカデミーダイレクターを務める西川陽介氏だ。西川氏はオランダで指導の勉強をし、UEFA B級ライセンスを取得するなど、育成大国オランダの哲学と日本のスタイルを融合させ、ヴァンフォーレ甲府U-12を強豪へと育て上げた。

西川氏は、「相手がいる中で生きる技術を、3年間で習得してもらいたい。練習では、プレッシャーを受けながらプレーする、相手をかわす、ボールを動かすというサッカーの基本となる技術を高めています」と話す。

ダノンネーションズカップ世界大会ではその成果もあって、オランダやフランス、ドイツといった身長差が十数センチもあるチームと互角以上の戦いを見せた。

今回のCOACH UNITED ACADEMYでは、ハイプレッシャーの中でもボールロストしない「判断」と「技術」の習得について、ヴァンフォーレ甲府U-12のトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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■W-UPから一つひとつのプレーを徹底させる


最初のトレーニングは対面パス。複数人が入り乱れてパスを回す設定の中(詳細はCOACH UNITED ACADEMYの動画を参照)、西川氏は「パスを出したら必ず移動しよう」「ただなんとなくプレーしない。試合と同じことをしないとダメだよ」と、ボール止める、蹴る、移動するといった基本の部分を、意識的に行うよう声をかけていく。

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時折プレーを止めて、ボールの止め方、ボールを置く場所、キックの仕方などを丁寧に指導。選手達に「一つひとつのプレー、練習を無駄にしてほしくない」という気持ちが伝わってくる。

また、マーカーを目安に複数の選手が動くため、選手同士が重なり、パスコースがない状況もある。そこを西川氏は見逃さずにコーチングしていく。

「このオーガナイズの中で、見なければいけないものがあるよね? 人がいて、ボールが出せないときにどうするのか。前に運ぶこともひとつ。パスが出せるところはチャレンジして通そう。パスの出し手も受け手も、周りを観よう。ボールの質を決めるのは自分たちだよ。こだわってやろう。ただ何となくやらず、ファーストタッチでボールを置く場所を変えよう」

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■頭も使い「一瞬の判断」の質を高めていく


次の練習は、パスを出した選手がボールに近づいてサポートに行き、リターンパスを受け、その選手が蹴りやすいところにパスを落とす。次にそのパスを受けた選手は、前方にいる選手に渡すというもの。

ここでも、ただボールを蹴るのではなく、球質、ボールの置所、パスコースなどの判断を重視。蹴ったボールが他の選手に当たってしまう場面では「試合だったら、パスコースがないところに蹴っているのと一緒。パスコースがなかったら、自分で動いて作ろう。技術も大事だけど、頭の方も大事だよ」と、常に認知・判断に問いかけていく。

続いては、味方にパスを当てて落としたときに、外に開いて斜めの体の向きを作って、前方へ出すという形にチェンジ。パスの出し手、受け手ともに相手のことを考えた球質、ポジショニングが重要になり、より実際の試合に近づいていく。ここではある選手がワンツーで突破していくプレーをしていたのを西川氏が見て「良いプレーだね。ワンツーでの突破もありにしよう」と臨機応変に変更していた。

このように、西川氏はトレーニング中、選手のプレーにシンクロしながらルールや設定を変えるなどして、絶妙なタイミングでコーチングをしていた。その内容については、動画で確認して頂ければと思う。

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前編の動画では、ここで紹介したもの以外に「コンビネーションを使ったパス&コントロール」「球際の守備、ボールの置所にこだわった4対1」など、判断と技術の習得が同時に行われるメニューが収録されているので、ぜひ参考にしてほしい。

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<プロフィール>
西川 陽介/
1977年生まれ、東京都出身。日本体育大学を卒業後、オランダへ渡りUEFA B級ライセンスを取得。オランダのFCユトレヒトなどでコーチを経験した後、日本に戻り、ヴァンフォーレ甲府ユースコーチ、ジュニアユースコーチなどを経て、ヴァンフォーレ甲府U-12監督を7年間務める。2016年のダノンネーションズカップでは、国内予選を勝ち抜き世界大会へ出場。決勝でドイツ代表のドルトムントに敗れるも世界2位にチームを導いた。今季より、ヴァンフォーレ甲府のアカデミーダイレクターに就任。

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