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年齢による特性を意識した高学年への効果的な声がけ / ジュニア期の年代に応じたトレーニングとコーチング

NPO法人ゼロスポーツコミニケーション理事・森谷智之氏の講義後編は『お父さんコーチ応援セミナー』と題し、U10からU12(小学4年~6年)の子どもたちの、年代によって異なる反応を知るとともに、コーチがどのように声掛けをしていけば良いかを語ってもらった。(文・鈴木智之)

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■トレーニングの内容を選手に理解させる


森谷氏は最初にU7~U9、U10~U12の子どもたちを指導するにあたって、前提としてコーチが理解しておきたいことを挙げる。

「まず、コーチが頭に入れておきたいのは『選手がトレーニングの内容を理解しているか』ということです。さらに、飲水時間が適切にとれているか。グランドでの危険回避がしっかりできているか。怪我をした選手への対処はどうするか。体調の悪い選手はいないかといった、子どもたちの安全面には常に気をつけておきたいところです」

サッカーのコーチングの前に、安全管理をしっかりと行うこと。当然のことゆえに忘れてしまいがちなこの点については、常に意識しておきたい。その上で、本題である『U10~U12の選手たちの、年齢によって異なる反応』について、森谷氏は次のように述べる。

「子どもは10歳になると、自分中心の考えから、徐々に周りを意識し始めるようになります。コーチや周りの子どもの言動に対して、理解をし始めるようになるのです。しかし、自分から行動を起こすというよりは、コーチや保護者に言われて気づくといったように、気が利くという所までは至りません。 次に11歳になると、自分だけでなく周りへの意識が働き始めます。周りの言動に対して、理解を示しながら行動をしようとします。しかし、実際に行動に移すことができるかどうかは、状況によって異なります。これが、12歳になると自分と周りをしっかり認識して行動できるようになります。周囲の言動に対して、状況を理解して自分から行動に移すことができるので、いわゆる『気が利く』行動もできるようになってきます」

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■年齢によって声掛けの「内容」が変わる


10歳、11歳、12歳の考え方、周囲の言動に対する反応を整理したところで、ここからはトレーニングの際に、コーチは年齢による特性にもとづいて、どのように声掛けをすればいいかを教えてもらった。

動画後編では、3つのトレーニングを例にあげて説明していく。1つ目がウォーミングアップとしておこなう「手つなぎオニ」。最初に2人のオニからスタートし、タッチされた人はオニになり、手を繋いで他の人にタッチをする。つかまった人がオニになるので、オニが3人、4人と増えていくというものだ。

「U10のチームの選手と手つなぎオニをするときですが、10歳は周りを見ながら、味方や相手の位置やスペースを意識することができます。そしてU11(11歳)になると、周りを意識して、ピッチ全体を観察することができます。さらに12歳になると、常に周りを意識しながら、次の動きを予測できるようになります」

そのため、年齢によって声掛けの内容が変わってくる。森谷氏が説明する。

「手つなぎオニもサッカーも同じ、チームスポーツです。味方との共同作業が重要なので、オニには『どうすれば早く捕まえることができるか』を問いかけます。10歳以下の場合は、手を繋いだオニ同士が、それぞれ自分の行きたい方向に進むこともありますが、10歳以上になると、お互いに声をかけて相手を追い込んでいく工夫ができるようになります」

また、オニではなく、逃げる側の子どもたちには、どこに逃げればオニに捕まらないかという視点で「人(オニ)」「スペース」というサッカーに必要なものを見るように声をかけていく。

「どこに逃げれば捕まりにくいか。ピッチの端なのか真ん中なのか、考えながら逃げることを促す声掛けをしてみてください。たとえば、片方の鬼から逃げるのに一生懸命で、もう片方の鬼に意識が行っていないときは『どうして捕まっちゃうんだろうね』と声をかけることで、子どもたちに考えるきっかけを与えます。もし考えてもわからないのであれば『周りは見えている?』と声をかけることで気づかせる。選手の状況を見て声をかけると同時に、良い動きをした子には、大きな声で褒めることも大切です」

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ウォーミングアップの手つなぎオニの次は『3対3+GK』そして、実戦に近い設定で『5対5+GK』とオーガナイズが移り変わっていく。ここでの具体的な声掛けはCOACH UNITED ACADEMY動画を参照していただければと思うが、森谷氏による『ゴールに向かってプレーしているか』『ボールを持っている選手に対して、守備側が寄せきれていないときにどうコーチングをするか』といった、サッカーのプレーにフォーカスした声掛けの内容が紹介されている。また、競技経験のないコーチに対しても、様々な視点からのコーチングポイントが提示されているので、あらゆる立場のコーチの参考になるだろう。

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<プロフィール>
森谷 智之/
NPO法人ゼロスポーツコミュニケーション理事を務め、今までにイングランドサッカー協会 Level1 coach,Level2 Medical coach、オランダサッカー協会 Basic coach、など海外のライセンスを持つほか、日本サッカー協会公認C級指導者、日本サッカー協会キッズリーダー(U8)日本コーディネーショントレーニング協会ブロンズライセンスなど数多くの資格を取得し、現在は都内ジュニアチームコーチを指導しながら、ラジオ クリスタルシャワー コンシェルジュ(レインボータウンFM )なども務めている。
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