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YouTubeの練習動画からは指導の本質は見えてこない / 霜田正浩氏が語る「指導者が追求すべき本質」とは

今回のCOACH UNITED ACADEMYは、2人の指導者による対談をお届けしたい。元・日本サッカー協会ナショナルチームダイレクターの霜田正浩氏と現・日本サッカー協会フットサルテクニカルダイレクターの小西鉄平氏だ。前後編にわたって行われた対談では、気心知れた間柄だからこそできる、踏み込んだ話が繰り広げられた。(文・鈴木智之)

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■世界レベルで活躍する指導者は何が違う?


対談のテーマは「指導者が追求すべき本質」。2016年3月まで、日本サッカー協会の技術委員長として、そして12月までナショナルチームダイレクターとして日本代表の強化に携わった霜田氏は「まず、自分はどんな指導者になりたいかを意識していることが重要」と語り、次のように続ける。

「指導者は選手がいないと成り立たない仕事です。そのためには、まず"選手ありき"という考えを持つことが大切だと思います。その上で、自分が指導している選手に、今後どうなって欲しいか、どう成長してほしいかを考えること。そして、どんなチームを作りたいかという理想をもとに、コンセプトを持たなければいけないと思います」

霜田氏は京都サンガのアカデミーで育成年代を指導し、FC東京、ジェフ千葉ではヘッドコーチとして、Jリーガーの指導にあたった経験を持つ。その後、日本代表の技術委員として日本サッカー協会に入り、一時的に年代別代表の監督を務めるなど、経歴は多岐にわたる。

「日本サッカー協会の技術委員時代には、代表チームを含めて、短期的な目標を持ったチームを指導することが多くありました。毎日が勝負という環境の中で心がけていたのは、彼らの持っているポテンシャルをどれだけ引き出すことができるかです。その中で重要なのは、選手を知ること。この選手はどんなキャラクター、性格の持ち主で、どういう声かけをすれば乗ってくれるのか、あるいは落ち込んでしまうのか。これは育成年代の選手を指導するときにも言えることですが、その選手の将来像を知るためにも、今の状況をしっかりと見極めることが大切だと思います」

小西氏は霜田氏の意見にうなずくとともに、育成年代の指導に長く携わってきた経験を元に「私も選手を知る事が大切だと思い、日々接していました」と同意する。

そして、ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチといった世界レベルで活躍する指導者は何が違うのか?という点に話がおよんだ。

「おそらく彼らが持っているトレーニングメニューや戦術論は、そう難しいものではないかもしれない。しかし、一流の指導者に共通する点というのは、『自分が定めた方針を迷わず貫く姿勢』だと思います。代表監督ともなれば、多くのことで迷い悩むと思います。しかし、それを絶対に選手や周りには見せない」

自分のミッションを達成するために、選手やチームをどうしていきたいかを元に困難に打ち勝つ姿勢なのだと言う。

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■指導者は「なぜ?」を追求すべし

さらにトークは進んでいき、「トレーニング論」に言及。指導者はトレーニングを構築するに当たって、どのような考え、心構えで臨むべきなのか。霜田氏はこう提言する。

「いまは指導の仕方にしても、多くの情報があります。海外のトレーニングでさえ、YouTubeを見れば知ることができます。しかし、ここが重要なのですが、『何のために、そのトレーニングをするのか』という理由は、YouTubeの練習動画だけを見ていてはわかりません。指導者がトレーニングを構築するに当たって重要な"なぜ"の部分が見えてこないんですね」

さらに、こう続ける。

「指導者は『選手にこうなって欲しいから、このトレーニングをする』ということから、逆算して考えなければいけません。たとえば、3対2の練習で何を身につけさせたいのか。どう突破するのか、どうボールを奪うのかという理由を伝えないと、ただやるだけになってしまいます。指導者はトレーニングをするにあたって『なぜその練習をやるのか』という背景を持っていること。そして、伝える術を持っていなければいけないと思います」

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続いて小西氏からは、日本サッカー協会のフットサルテクニカルダイレクターとして、「フットサルがサッカーに通じる部分」について重要な提言があった。そこでは「フットサルをする中で、スペースをどのように作り、どう使うのか。また、スペースを埋める部分なども、サッカーとの共通点」と語り、「フットサルのコートはサッカーに比べて小さいが、サッカーのゴール前の崩しの部分で、スペースや時間が限られた状態は、フットサルに似ている」という話があった。

この記事で紹介した部分は、対談の一角に過ぎない。霜田氏の「11対11の全体があって、そこから部分を抽出することが大事」という話から始まるトレーニング論など、指導者にとって学びになる対談の全容を、ぜひ動画でご覧頂ければと思う。

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<プロフィール>
霜田 正浩/
東京都出身。都立高島高卒業後、三浦知良(横浜FC)らと共にブラジルへサッカー留学。その後、フジタ工業(現・湘南ベルマーレ)や横河電機などでプレー。引退後は京都サンガのアカデミー、FC東京、ジェフ千葉でヘッドコーチを務める。2004年、JFA公認指導者S級ライセンス取得。2010年に日本サッカー協会の技術委員に就任し、14年9月~16年12月まで技術委員長やナショナルチームダイレクターを歴任。ザッケローニ、アギーレ、ハリルホジッチと交渉し、日本代表監督として招聘した。

小西 鉄平/
神奈川県出身。県立旭高校卒業後、横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.)でプレー。指導者としてボンフィンフットボールスクールコーチ、FリーグU-23選抜監督、ミャンマー女子フットサル代表監督などを歴任し、現在はボンフィンフットボールスクール・ゼネラルマネージャーを務める。また日本サッカー協会(JFA)のフットサルテクニカルダイレクターとして、代表チームの強化や指導者養成にも携わっている。JFA公認A級コーチジェネラルライセンスおよびJFA公認フットサルB級コーチライセンス保持。

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