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「選手が楽しんで走っていた」。流通経済大の強さを支えた走力とコンディショニングの秘訣とは?

水戸ホーリーホックの初代監督を務めた中野雄二監督が就任した1998年以降、輩出してきたプロサッカー選手の数は、100人以上。今や大学サッカー屈指の強豪として知られるのが、流通経済大学だ。現行のリーグ制度で初の2部リーグを経験した昨年度は、「やるからには、2部の記録を作ろうって思っていた」(中野監督)との言葉通り、リーグ史上最多となる65得点をマークし、優勝を達成。11月に行われたアミノバイタル®カップ2020では、1部の強豪を次々となぎ倒し、初優勝を果たした。

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写真提供:関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子

1年での1部復帰とトーナメント優勝の原動力は、走力

強さを支えたのは、他を圧倒する走力だ。日々のトレーニングからGPSをつけ、走行距離、ダッシュ本数、最大速度などを計測し、オフザボールの意識を高めてきたこともあり、1試合の走行距離は全員が12km以上は走る上に、スプリントの回数も多い。後方の選手がボールホルダーを積極的に追い越していく攻撃と前線からのアグレッシブな守備が相手の脅威となった。大学サッカー日本一を決める「atarimaeni CUP」でも中1日で3連戦を行うにも関わらず、タフなプレーを続け、関係者を驚かせた。

しかし、コロナ禍で過ごした昨年一年間は、「感染しないよう意識するのが精いっぱいで、コンディションどころではなかった」(中野監督)。緊急事態宣言が出てからは学校施設内でランニングをするなど、身体を動かすだけで精一杯。活動再開後を見据えたトレーニングではなく、感染防止のため、親や友だち、彼女と会えない選手の精神的なストレス解消が目的の簡単なトレーニングばかりだった。

 リーグ戦が始まってからも例年とは勝手が違う。感染拡大を防止するため、前期の11試合は1部、2部ともに流通経済大が所有する3つのグラウンドで開催。準備・運営・後片付けを行うのは、全て流通経済大の部員だった。Aチームの選手も例外ではなく、日曜日に試合に出場する選手も前日にはボールボーイや試合映像を配信するためのスタッフとして汗を流した。コーチ陣からは「試合前日に作業すれば、次の日に動けない」との声も挙がったが、中野総監督は「これも良い経験。そんなことで勝てないなんて言い訳はしたくない」と3か月近い大変な時期を乗り越えた。

 そうした状況下でも、試合のパフォーマンスを落とさなかったのは大きく分けて4つの要素が大きい。まず1つ目は、日頃の生活習慣の影響だ。流通経済大は全部員に対し、疲労を貯めないよう7,8時間の睡眠と共に、必ず寮で栄養バランスを考えられた朝食と夕食を食べるよう徹底している。コロナ禍以前から続けてきた取り組みではあるが、「例年はプロになりたいと口にしても、行動は学生ライフをエンジョイしている選手が少なくなかった。でも、当たり前にやってきた練習と試合ができなくなり、サッカーとの向き合い方を本気で考えるようになった」(中野監督)。

2つ目は、中野監督のトレーニングに対する意識の変化だ。「以前は若いんだから、毎日厳しいトレーニングをした方が良いと考えていた」(中野監督)が、数年前からは1週間のトレーニングスケジュールで、強度の強弱をつけるようになった。オフ空けの火曜日は必ず部員全員が同じグラウンドでフィジカルトレーニングを実施。昨年は三密を避けるため、グループを細分化しての実施となったが、普段所属するチームのカテゴリーをミックしたメンバーで取り組むのが特徴だ。200人以上いる部員が全員の顔と名前を覚え会話するのが一番の狙いだが、「トップチームの選手はさすがに1年生の後ろを走るわけにはいかないという意識が働く」(中野監督)メリットもあるという。

その他の曜日では、ボールに対するアプローチのスピードやオフザボールの動きを求め体力アップに励んでいるが、試合前日などには心身ともにリラックスさせるため、厳しい指摘をしないよう心掛けている。「今までの選手たちは『中野監督がいると常に緊張して練習しないといけない』と思って育った選手が多いけど、今の時代はそれだけではいけない。選手と普通の会話をする機会が増えました」と笑うのは中野監督。筋肉を思い切り使う日と休ませる日を繰り返すことで筋線維が太くなる以外にも、万全のコンディションで試合に挑めるメリットもある。

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上手い選手がハードワークする重要性

3つ目は、昨年一年間コーチを務めた曺貴裁氏(チョウ・キジェ/現・京都サンガF.C.監督)の存在だ。ヨーロッパの試合映像を見せてから練習を行うなど、選手のやる気を引き出せる術は卓越しており、MF伊藤敦樹(今シーズンから浦和レッズに加入)も「曺さんが来てから、プロの基準で指導してもらえているのは大きい」と指導の効果を口にしていた。中野監督も選手の変化について、こう口にする。「曺さんが指摘することは僕が指摘しても、なかなか変えられなかった部分。『世界でも当たり前のことができないと、プロに行ってもコンスタントに試合に出られないよ』と言い続けてきたけど、なかなか理解させるのが大変だった。僕も流通経済大に来て22年目になるけど、あれだけ楽しんで走っている選手たちはいなかった。どちらかと言うと言われたことをやらされている感じが強く、苦しいことを率先してはやらなかった。でも、今の選手たちは走ることで生まれる優位性を十分理解していた」。

「昔はスキルが高くなかったけど、俗に言う根性論というか、『絶対に負けたくない』といったハードワークができる選手が多かった。今の子たちはスキルの平均値は上がっている。ただ、戦術的に相手を上回る意識が強く、汗をかくのを嫌う傾向がある。今の選手たちがハードワークの部分を身につけたら鬼に金棒」。中野監督の言葉通り、元々技術力には定評がある選手たちがハードワークできるようになれば、そう簡単には負けない。

 4つ目は、流通経済大のコンディションを支えるアミノバイタル®プロの存在だ。日常生活やトレーニングから高い意識を持ってサッカーと向き合っていても、試合の日にコンディションが悪ければ意味がない。以前の中野監督は「連戦だろうが、『勝ちたいならやるしかないだろう』という根性論ばかりだった」が、「主役は選手。アスリートにとってプラスになることはドンドン採用した方が良い」との考えをより強く意識した10年ほど前からアミノバイタル®プロを始めとした味の素の商品を活動に取り入れた。

 ウォーミングアップの前にはアミノバイタル® パーフェクトエネルギー®のゼリーを、ハーフタイムにはアミノバイタル®プロの粉末タイプを摂取。試合後もアミノバイタル®GOLDのゼリーを摂取させてから、アミノバイタル®プロの粉末とバナナを摂取している。「最後まで練習でやってきたことを出せるようになった。人間の心理的に、『これを飲めば大丈夫、頑張れる』といった安心感もある。試合を見た人に『連戦や延長戦ででもよく頑張れるよね』と言って貰えるのは、味の素(株)のおかげだと思う」。

今では、関東大学リーグの1部、2部だけでなく、その下にある都県リーグでアミノバイタル®プロを採用するチームが少なくない。流通経済大を筆頭とした関東の大学チームが高いコンディショニングの意識を保ち、多くのプロ選手を輩出できる理由の一つかもしれない。


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