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G.Wは復習しよう! 中西哲生さんの「フォーム」論

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 COACH UNITED編集部です。ゴールデンウィーク特別企画として、これまでの振り返り記事をアップさせていただきます。
 
 本日は、大好評を博しているアーセナルサッカースクール市川代表・幸野健一氏による対談企画「幸野健一のフットボール研鑽(けんさん)」から2本、そして中西哲生氏の独白記事を2本ピックアップ! ご自身も長いプロ経験を持ち、かつ現在は「ティーチングプロ」としての活動を行ない代表選手を指導している中西さんの発言の数々は、目からウロコです。ゴールデンウィークの間に、ぜひ復習してしまいましょう。


■「良いディフェンスは両利き」中西哲生×幸野健一(前編)

中西 「TPOをわきまえたプレーをしろ」ということです。彼に教わることで、このプレーはよくないんだ、これはいいんだということを肌で感じることができました。本当にたくさんのことを教わったのですが、ひとつ例を挙げると、左サイドバックで出場した時のボールの持ち方。これは長友選手にも伝えたことですが、左サイドにいる右利きのサイドバックは、自陣では右足でボールを持つことが多くなります。タッチライン際に立ち、右足でボールを持った状態で、相手に目の前に立たれると、縦と斜めにパスが出しにくくなります。そうなると、選択肢は横パスかバックパスしかない。

 ストイコビッチには「なぜ右足でボールを持つのか。右で持ったら前にパス出せないだろう」と言われました。そこで彼は「左足でボールを持って、肩を開け」と。肩を開いた状態でボールを持てば、相手の選手が目の前に立ったとしても、右斜め前方にパスを出す事ができますし、右斜め前に立たれた場合は、縦にパスが出せるわけです。必ず肩を開いて、相手に縦を意識させる。サッカーは『相手に縦を意識させて、斜めに進むスポーツ』なんです。それをストイコビッチは教えてくれました。

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https://coachunited.jp/column/000103.html

■変えられないものを変えようとするな!中西哲生×幸野健一(後編)

中西 論理立てて会話をしていくことは大切だと思います。育成年代の指導に関しては、ストイコビッチが『自分のクリエイティビティを消さなかった指導者に感謝したい』と言っていたことが印象に残っています。

 彼は子供の頃、身体が小さかったのでパワーがありませんでした。でも、どこに出せばチャンスになるか、パスコースは見えていたんです。たとえば、Aの位置にいる選手にパスを出せば100%通る。Bの位置にいる選手は80%の確率で通る。Cの位置にいる選手に届く確率は50%だけど、通ればゴールになる。そこでストイコビッチは、迷わずCの選手にパスを出すのですが、通らないこともあるわけです。

 でも、コーチは怒らなかった。何を言ったかというと、「見ているところは良いから、そこに通すための技術を身につけなさい」と。「パワーはそのうちついてくるから、心配するな」と言ってくれたそうです。決して「なぜそこに出すんだ! フリーの味方に出せ!」とは怒らなかった。ストイコビッチが持つクリエイティビティを尊重したんです。僕も子どもたちを指導することはありますが、どこを見ているかを常に気にしています。パスは通らなかったけど、そこに出す技術がないのか、それともパワーがないのか。もしかしたら、勇気がなかったのかもしれない。そこを見極めて、適切な言葉をかけてあげたいと思っています。
 
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https://coachunited.jp/column/000104.html

■「軸足を使ってボールを運べ、身体から離すな」。中西哲生が語る長友佑都

 また、長友は身体からボールが離れるドリブルをしていました。これは、彼が持っていた大きな課題でした。ボールを持って、蹴って、追いつくというドリブルをしてしまうと、ボールが自分の身体から離れてしまい、追いつくまで時間がかかります。また、ドリブルから行なう次のプレーはパスかシュートくらいしかありません。ドリブルのままゴールを決められるのはクリスティアーノ・ロナウドかメッシぐらいでしょう(笑)。
 
 つまり、ドリブルだけでは目的を達成できない。ドリブルは、手段でしかないわけです。手段である以上、次をパスするにせよシュートするにせよ、自分がボールに追いついた瞬間しかキックできないような持ち方では、最良のプレーができません。
 
 理想は、受け手のタイミングでボールを出せること、そしていつでも出せること。さらに、最後の最後で判断を変えられること。もし最後の段階でアクシデントがあって、蹴った瞬間に相手のポジションが良ければ、ボールを奪われる可能性がある。いつも言っているのは、「最後の最後で判断を変えられるように、そのために身体からボールを離さないように」ということです。

https://coachunited.jp/column/000106.html

■1時間10分で練習を切り上げたっていい。中西哲生が語るアーセン・ベンゲル

 ベンゲルの練習で一番驚いたのは、1時間10分ぐらいで「ハイ終わり!」って切り上げた日ですね。ビックリしました。でも内容を見ると、練習中、1人も待っている選手がいないんです。全員動いているんですよ、すごく効率的に。そういうオーガナイズがきっちりされていて、ストレスを感じませんでしたし、短い時間に集中して練習できていました。
 
 面白かったのは、ある夏の日のこと。練習が始まってすぐ、ある選手に「今日は帰れ」といって帰らせたんです。「今日は練習するな、明日来い」と。むろん、懲罰的な意味ではありません。コンディションを見て「疲れてるな」と判断したんです。まあ、選手はすごくビビってましたけどね、「どうすればいいの?」って(笑)。

https://coachunited.jp/column/000105.html

<了>