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「ハンド」はなぜ反則なのか?誰もが知っているルールをサッカーの歴史から考える

サカイクから転載
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 サッカーを知ることはサッカーをより深く考えること。過去にも『なぜファウルをしてはいけないのか』『「オフサイド」はなぜ反則なのか?』と、ルールにまつわるお話しをしてきましたが、今回はサッカーの大前提とも言うべき「ハンド」のルールについて考えます。
 
 

■サッカーの一番大切なルール「手を使ってはいけない」理由

「なぜ手を使ってはダメなの?」
 
 誰でも一度は不思議に思うこのルール。では、最初からサッカーは手を使ってはいけないスポーツだったのでしょうか? 少し難しくなるかもしれませんが、まずは歴史のお勉強から。
 
 サッカーの起源とされるものは世界中にあるのですが、スポーツとしてのサッカーのルールは19世紀の英国で定められたものがベースになっています。
 
 1863年「対抗戦をスムーズに行うために統一ルールを作ろう」という気運が高まって、世界で最初のサッカーのルールが作られました。それ以前はパブリックスクールがその学校ごとにローカルルールを作り、独自の競技としてプレーしていました。それをひとつにまとめてルールを作ったのですが、ここで問題になったのが「手を使ってはいけない」というルールを盛り込むかどうかでした。
 
 結局このルールの第9条に
 どのプレイヤーもボールを手に持って運んではいけない
 
 第11条には
 ボールを投げたり手で他人にパスしてはいけない
 
 12条に
 競技の進行中にグラウンドからボールを拾い上げてはいけない
 
 という条項が加えられ「手を使ってはいけない」ことが明記されました。
 
 実はこれより前はパブリックスクールのひとつ、ハロー校を中心とする「ドリブル派」と同じくラグビー校を中心とする「ランニング派」に分かれていて、「ランニング派」のサッカーはボールを手に持って走ってもいいというルールでした。
 ラグビー校! そうです。このルールを決める話し合いで、ラグビー校を主体とするランニング派は1871年にラグビーユニオンを結成、これが現在のラグビーになったのです。
 
 ラグビーとサッカーは兄弟スポーツと言われますが、本当に同じスポーツから派生してできた血を分けた兄弟だったんですね。
 
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■手ではなく足を使う理由を考える

“手を使うこと”を禁止した「ドリブル派」の言い分はこうでした。
 
 当時のサッカーは現在のものに比べると非常に荒々しかったようで、けが人が絶えず、サッカー自体を禁じる場所や学校も出てきていました。「ランニング派」の学校が主張するように手でボールを保持することを許しては、なかなかボールが奪えず、結果として足をかけたりヒザを蹴ったりするアンフェアなプレーにつながります。一方足でボールを扱うドリブルは不確実性が大きく、攻守の入れ替わりも増え、悪質なプレーもなくなる。
 
 どちらかというとボールを持って突進する選手をなんとか止める少々荒っぽいゲームと認識されていた「ランニング派」はその後、「ボールを持った選手が身体の三点を地面についたらボールを離さなければいけないればいけない」というルール、つまりタックルを発明し、ラグビーとして成立しました。「ドリブル派」は、それよりもはやく、ボールの使用を手よりも器用に扱えない足に限定することでボールの所有権を移りやすくし、紳士のスポーツとなっていったのです。
 
 サッカーで手を使ってはいけない理由は危険なプレーを減らすためだったんですね。
 
 普段は何も考えず「そういうルールだから」と当たり前に考えていることにも、きちんと理由があって、役割があります。「手を使ってはいけない」というルールにもサッカーの歴史やエッセンスが詰まっています。なぜこのルールが真っ先に決められたのか? そこに紳士のスポーツとしてのサッカーの理念が込められているわけです。
 
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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