08.25.2014
日本の子どもや指導者に "世界"を体験する場を提供したい~『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』実行委員長・浜田満氏インタビュー
写真 U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013より
昨夏に第1回が行われ、大きなインパクトを残した『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』。今年は2年連続の出場となるFCバルセロナを始め、ACミラン、アシオップ・アパチンティなどの名門クラブの参戦が決定。日本からは全日本少年サッカー大会優勝のセレッソ大阪、準優勝の柏レイソル。鹿島アントラーズ、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、名古屋グランパス、川崎フロンターレ、横浜Fマリノス、東京ヴェルディ等のJクラブと東京都U-12選抜が出場。街クラブ代表として、全少ベスト4のレジスタや諏訪FC、AG香我美が登場する。大きな注目を集める『U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ』を企画し、実行委員長を務める株式会社Amazing Sports Lab Japan代表の浜田満氏に大会の見どころを聞いた。(取材・文 鈴木智之)
■今年のバルサも相当強い
――今年も『U-12ジュニアワールドチャレンジ』が始まります。昨年1回目を終えての手応えはいかがでしたか?
浜田:正直、想像していた以上のものがありました。メディアでは多くの特集を組んで頂きましたし、参加したクラブの監督さんからも『体験してわかったことがたくさんありました。指導者だけでなく、子どもたちの熱意も変わってきました』といったメールを頂きました。前回はFCバルセロナのメンバーとして久保建英君が出場していたので、その意味でも注目はされていましたが、会場に来ている人たちは久保君のプレーだけでなく、『バルサのカンテラのサッカーってどんなものなんだろう?』と興味を持ってくれていましたよね。
――今年来日するFCバルセロナの調子はいかがでしょうか?
浜田:チームの完成度としては昨年同様か、それ以上のものがあると思います。日本の参加クラブでは、今年の全日本少年サッカー大会のベスト4に入ったうちの3チーム(C大阪、柏、レジスタ)が参加します。日本のトップレベルの子どもたちと、バルサやミランなど世界の強豪クラブの選手たちがどんな試合をするのか。楽しみですね。
――出場チームのリストを見ているだけで楽しみは尽きませんが、大会を始めようと思ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
浜田:これまで、弊社ではFCバルセロナを始め、海外クラブのコーチを日本に呼び、サッカーキャンプを実施してきました。私自身、年に何度もヨーロッパに行って、FCバルセロナのカンテラではどんなトレーニングをして、選手たちはがどんなプレーをするのか知っています。それを日本の人たちに見てもらいたくて、そのためにはどうすればいいかを考えました。とにかく、百聞は一見にしかずでしょうと。世界のトップレベルの選手たちのプレーを見たら、絶対に何かを感じるはずなんです。日本の子どもたちやコーチの方々に "世界"を体験する場を提供したいというのが、大会を始めたきっかけです。
■12歳で世界のトップレベルと戦う意味
――なぜU-12カテゴリーの大会なのでしょうか?
浜田:僕の中で、日本サッカーのレベルを劇的に向上させるためには、とくにU-12の世代において『サッカーの原理原則』をもっと指導しないといけないと考えています。日本では、『U-12年代までは世界と差はないが、年齢が上がるに連れてフィジカルの差が出るので勝てなくなってしまう』という言説がありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。バルサの子どもたちは、12歳の時点でトップチームと同じようなプレー判断を求められる中でサッカーをしています。もちろん、世界中からタレントを集めている部分もあるので、一概に日本のクラブと比較することはできませんが、日本のジュニア年代の選手の立ち位置が世界の中でどの辺りなのかを認識する場として、U-12のカテゴリーにしました。
――ジュニアサッカーワールドチャレンジは、ジュニア年代に関わる人たちへ向けて『刺激を与える場』という意味合いもあると思います。普段、Jクラブのチームが大差をつけられて負けることはほとんどありません。ですが、昨年は準決勝で柏がリバプールに4対0で敗れ、東京Vはバルセロナに5対0と大差をつけられました。
浜田:日本国内では圧倒的に強いJクラブの子たちが、さらに上のレベルのチーム、選手と戦うことで、もっとうまくなりたいという気持ちに火がつくことは間違いなくあると思います。僕の仕事は、どれだけいい経験を詰める場や、環境を提供するかだと思っていて、トレーニングキャンプを見ていても、普段の生活の中で新しい刺激が入ると、一気に成長することがあるんですね。ワールドチャレンジに出ることで多くの刺激を得て、成長スピードを促進するきっかけになればいいなと思います。
――実際に、参加したクラブの方々の反応はどうでしたか?
浜田:昨年やってみて、ポジティブな反応が多かったです。とくにバルサと対戦したJクラブの監督さんからは、多くのリアクションを頂きましたね。今年も、あるJクラブの監督さんから「子どもたちはバルサと戦うのを楽しみに、毎日練習をしています」というメールが来ました。昨年、日本の選手たちは、最初の試合ではバルサにやられても、次の試合では対策を講じて戦ったりと、大会の中で成長する姿を見ることができました。子どもたち自身も、『世界のトップに行くには、この年代ではこれが必要なんだ』とたくさんのことを感じたと思います。12歳で世界のトップレベルを知るのと、18歳で知るのとでは大きな違いがあると思うんです。早ければ早いほど、時間を前倒しできるのではないでしょうか。12歳で世界を知って、日々の練習から高い意識を持って取組むことで、成長のスピードは変わると思います。今年参加するJクラブの中には、昨年もこの大会に出場した子もいるので、この1年でどう変わったが体感できますよね。
■大会の見どころは?
――大会の見どころはどのあたりでしょうか?
浜田:日本のクラブがバルサ、ミランとどう戦うか。そこが一番の見どころだと思います。生で見ていただければ、必ず何か感じることがあるはずです。また『バルサ、ミランと他のチームとの違いは何だろう?』と考えながら見るのもおもしろいと思います。戦術理解度、球際の激しさ、試合の中でのギアチェンジの仕方、グループリーグと決勝トーナメントの戦い方の違いなど、ポイントはたくさんあります。昨年の決勝戦の、バルサの選手たちの気合の入れ方は半端じゃなかったですよ。試合の合間のオフの時と、試合に入る直前の顔つきは全然違いました。ピッチに入るとスイッチが入る。彼らは小学生のときから、試合に対する集中の仕方を知っているんですよね。個人的には、U-12年代では徹底的に個人技にフォーカスしているミランアカデミーが、どのような戦いを見せるのかにも注目しています。
――全試合入場無料ですし、ぜひ多くの人に見に来てもらいたいですね。
浜田:本当にそう思います。夏休みの最後に熱い戦いが見られると思います。数年後にプロになった選手がいて、「12歳の時にバルサ、ミランと試合をして目標ができた」と言ってくれたらうれしいですよね。僕自身、このような場をたくさん作ることで、日本サッカーがもっと強くなるための手助けができればと思っています。
U-12ジュニアサッカー、ワールドチャレンジ2014公式サイト
大会日程
グループリーグ/8月28日、29日(ヴェルディグラウンド)
準々決勝・順位決定戦/30日(ヴェルディグラウンド)
準決勝・3位決定戦・決勝/31日(味の素フィールド西が丘)
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取材・文 鈴木智之 写真 U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013より