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初志貫徹か、修正か

COACH UNITED編集部です。今回は、Garycurneen.comから「BUILDING A PHILOSOPHY VERSUS THE QUICK FIX」と題された記事の翻訳をお届けします。(文/GARY CURNEEN 訳/永田到 写真/ING Nederland)

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■信念を貫く名将たち

哲学の確立か、それとも軌道修正か。チーム低迷時のマネジメントはどうあるべきか。

プレミアリーグ序盤、ファン・ハール新監督率いるマンチェスター・ユナイテッドの低迷は大きな議論を呼びました。それは、監督は自身の持つ哲学を植えつけるべきなのか、それとも選手たちがこれまで慣れ親しんできた既存のシステムに戻して軌道修正を図るべきなのか、というものでした。

理屈上は、哲学やプレースタイルを選手たちに植えつける方が監督にとっては簡単だと言えます。バルセロナのように、プレーして観客を沸かせるんだ、と選手たちに宣言することは別に難しいことではありません。ただ、試合でコテンパンにやられてしまったとき、その哲学が本物なのか否かが問われることになります。試合がうまくいかないと、選手たちは監督の方法論に対して、心の中で疑念を抱き始めます。選手たちにこのような疑念を持たれることは、監督にとって何よりも避けたい問題なのです。そのため試合を行う前には、監督はその取り組みやアプローチに対して、絶対的な自信を持っておくことが大切です。ブレンダン・ロジャースもファン・ハールもグァルディオラも、それからマルティネスやアンドレ・ビアス・ボアスも、哲学が批判されたとき、必ずそれぞれ原理に立ち戻ります。仮にそれで孤立を招くことになったとしてもです。

選手間で同じイメージを共有するために、戦術面の強化が必須なのは確かですが、監督の業務はフィールドの外にも及びます。選手との関係性構築を、モウリーニョ監督は自身の哲学の最重要ポイントであると捉えています。実際に彼は「チームが低迷している時、選手とのいい関係性こそが規律とバランスをチームにもたらしてくれる」と言って、良好な関係性を構築することに力を入れています。選手と強固な関係性を築けていれば、監督を邪魔するような悪影響をもたらす意見が芽生えることもありません。

■「求める」には忍耐が必要

忍耐というのもまたキーポイントになってきます。選手間における戦術の浸透に時間がかかることを責め立てるのも間違っています。(知識習得にあたって)精神的な負荷が大きくなると、選手自身の自制も効きづらくなってきます。その結果、監督が言葉を発すれば発するほど、選手のパフォーマンスレベルは逆に低下してしまいます。そしてこれこそが、今のファン・ハール監督指揮下のマンチェスター・ユナイテッドに巻き起こっていることです。ファン・ハールはこんなことを公言しています。「監督として、選手たちにはたくさんの情報を提供していく必要がある。きっと多すぎるとは思うよ。例えば私が初めての空港に行くとしよう。そこからマンチェスターへ向かうとする。車を停める駐車場はどこか。どのターミナルで、受付でどれくらいの行列ができているのか。どこから搭乗するのか。こういう全ての情報を私に伝えてもらわないと困る。一つや二つくらいは向こうに行ってから知るというのならいいが。選手との関係性においても同じだ。これこそ私の指揮下の選手たちに求められるスタンスだ」ファン・ハール監督は、自身のシステムを長年に渡り磨き上げ、世界のトップレベルで実践してきたことを理由に、自身の手法に従うことと課題の解決に取り組むことを、選手に対して常に求め続けてしまっているのです。


私の指導している大学のチームでも、似たような課題は抱えています。既に確立されたシステムの中で、チームのカルチャーを変えるというチャレンジに試行錯誤しました。私たちの練習は試合と同じものだという考えのもとでプレーし、常にこの形でいいのかという意識を持ち続けさせるようにしました。選手がゲームの中で必要な刺激を得ることができなければ、適切なスキルの獲得もできなくなってしまいます。フィードバックの中身もチームに決定的な重要性を持っています。選手たちは、自分たちの目で見えないものを自分たちで変えていく、ということができません。そこで、項目ごとに整備した試合分析資料を用いて選手それぞれの役割や責任に基づいたミーティングを行い、練習を改善していきます。

指導者は、選手たちにかける期待に見合った質のコーチングをしていかなければなりません。私たちの仕事は技術的なことや身体的なことに限られるのではなく、プレーにおける精神面にも及ぶのです。チャレンジに直面する選手たちに対して、指導者がしっかりとサポートできていれば、選手というのは常にポジティブな反応を見せてくれるものなのです。

ビッグクラブであっても、街のクラブであっても、一瞬でチームを上向きにする方法はありません。まず初めに着実な土台を築き、一から少しずつ取り組んでいかなければなりません。肝心なのは、効果的な取り組みを続けていくことです。機能するシステムというのは、指導者の意図を選手がうまく汲み取り、彼らが常に「何をすべきか」を把握でき、それを実行できるキャパシティを備えていて、「絶対に実現させる」とコミットメントすることで実現するものなのです。

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