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「フットボールブレイニング」のすすめ/レイモンド氏ウェビナーレポート(後編)

サッカーのピリオダイゼーション理論で有名な、レイモンド・フェルハイエン氏が提唱する「フットボールブレイニング」。これはフットボールと脳のトレーニングを掛けあわせた造語で『サッカーというスポーツに必要な思考』を脳と心理学の視点から定義したものだ。後編では、フットボールブレイニングの具体的な方法についてのレクチャーをお届けする。(取材・文/鈴木智之 photo by MSC Academy U12 Green

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■試合中に考えるべき、ただひとつのこと

サッカーの試合でよくあるのが、スコアによって選手のパフォーマンスが異なること。たとえば、先に失点をしてしまうとプレーのテンポが落ち、追加点を許すとさらに低下。しかし、1点返すとチームに勢いが出て、プレーのテンポも再上昇。そこで1点取り、同点に追い付くとイケイケになり、残り10分でもう1点を奪って逆転する。そのような光景を目にしたことがある人も多いだろう。

レイモンド氏は、このような状況下で、選手たちの思考がどのように推移しているかを分析する。

「どちらのチームにも得点が入らず、0-0の状況のとき、選手たちはサッカーのことを考えています。しかし0-1になったところで、"勝つのは難しいのではないか"と考え始めます。さらに0-2になると"負けてしまうのでは"という思考になります。そこで1点を返すと"まだ行けるのではないか"2-2になると"行ける、逆転できる"という思考になります」

点差がついた状態などネガティブな状況下では、ネガティブな思考が起きてしまう。なぜそうなるのか。レイモンド氏は「生理学的に解明されている」と言う。

「ネガティブな考えは、生理学的にもネガティブなものを生み出します。ストレスホルモンが出て、身体の機能が低下し、アクションの頻度が落ちていきます。反対に、試合のスコアがポジティブなときは、思考はポジティブになります。このとき、脳にはアドレナリンやテストステロンなどのポジティブなホルモンが生まれています。そのため試合中、高頻度のアクションを起こすことができるようになるのです」

思考をコントロールするために重要なのが"いかにネガティブな思考をせずに、ポジティブな思考をするか"だ。得点差やレフェリーの判定、相手選手とのいざこざといった"外的要因"を、いかにして脳から排除することができるか。それがフットボールブレイニングのポイントなのだ。

「試合中、選手は何について考えるべきでしょうか。自分がすべきプレー、サッカーのアクションの質について考えるべきでしょうか。それとも点差やレフェリー、相手選手といった外的要因について考えるべきでしょうか? それは選手が選ぶことですが、良いプレーをしたいのであれば、アクションの質について考えるべきです」

■思考をコントロールする4つの視点

外的要因を脳の外に追い出し、思考をアクションの質に向けるためのトレーニング。それがフットボールブレイニングだ。レイモンド氏は「サッカーの思考をどのようにトレーニングしていくか?」について、ベースとなる考え方を挙げる。それが次の4つだ。

(1)サッカーのアクションの質について考える
(2)アクションの頻度について考える
(3)サッカーのアクションの質を維持する
(4)アクションの頻度を維持する

レイモンド氏が4つのポイントについて説明する。

(1)サッカーのアクションの質について考える
「アクションの最中にサッカーに思考が向いていると、アクションの質は100%に近くなりますが、サッカーの思考が外的要因によって妨げられると、アクションの質も低下します。たとえば質の高いパスを出したいのであれば、思考のすべてはパスに向いていなければいけません。そのため、最初に学ぶのはパスについて意識的に考えること。それを繰り返していくうちに、無意識のうちに思考はパスに向いていきます。重要なのは外的要因ではなく"アクションに思考を向けること"です」

(2)アクションの頻度について考える
「アクションの頻度は"アクションとアクションの間の思考"と関係があります。アクションとアクションの間に選手がすべきは、次のアクションについて考えることです。もしチャンスでミスをしたとしても、試合中、失敗に関して考える必要はありません。その後すぐに、次のアクションについて考えることが、次のプレーを成功させるために必要なことなのです。次のアクションに思考を向けることができたなら、アクションとアクションの間の時間は短くなります。結果、アクションの頻度が増えます」

(3)サッカーのアクションの質を維持する
「サッカーの質を維持するために、アクションの最中の思考を維持します。そこで外的要因に意識が向いてしまうと、アクションの質が下がります。そうならないために、アクションについて思考を維持することが必要です」

(4)アクションの頻度を維持する
「次のアクションについて考え、維持し続けることで、プレーテンポを高いまま維持することができます。相手が点を取った、相手が足にタックルをしてきた、チームに退場者が出たなど、ネガティブ思考が湧き上がってくる状況で、いかにして自分の思考をコントロールするか。思考に自分がコントロールされると、ネガティブな状況に影響されてしまいます。トレーニングすべきは、思考をコントロールすることです」

試合中、選手がすべきは自分の思考をコントロールすること。外的要因に惑わされず、絶えず次のアクションについて考え、実行を繰り返していく。育成年代においては、指導者のネガティブな声掛けが"外的要因"になってしまうことがある。練習中ならまだしも、試合中に指導者自身が選手にとっての外的要因になっていないか、省みることが必要だろう。

最後に、レイモンド氏が指導者に向けてメッセージを残してくれた。

「指導の中で、抽象的な言葉を使わないこと。そうした表現はサッカーの中では意味を持ちません。メンタルや精神という抽象的な言葉ではなく、思考という言葉を使うことで、選手個々に責任があることを気づかせます。プレー中、サッカーについて考えるか、外的要因について考えるか。何に意識を向けるかは、選手が考えることです。外的要因ではなく、たとえば攻守の切り替えについて思考を向けることで、この問題は解決されていきます。大切なのはサッカーの言葉で、サッカーの行動の中で説明していくこと。このセミナーが、みなさんの今後の指導に役立つことを望んでいます」

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