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なぜうまい?南米選手の個人技(前編)

南米出身のメッシやネイマール――。今やにわかサッカーファンでも凄さがわかるほどのスーパースターだ。そんな彼らがDFと対峙したとき、観客の興奮も一気にヒートアップする。「試合の流れ」もさることながら「彼らの個人技」に魅せられたときの感動は、その他大勢の選手を凌ぐことだろう。彼ら自身の身体能力の高さは当然のこととして、なぜあそこまで個人スキルが高く、試合中に余すことなくパフォーマンスを発揮できるのか。そしてそれはどのように培われてきたのか。個人技の妙味を体得している選手が多い、南米の地のサッカー事情を紐解いていく。(文/隈崎大樹 写真/ASCOM Prefeitura de Votuporanga

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■「寝ている時間以外はボールを蹴る」それが南米

私が南米に着いてすぐに思ったのは「この国はサッカーパラダイスだ!」という感動だ。町を歩けば、至るところで子どもばかりか、時には大人でさえもボールを蹴って楽しそうにしている。話には聞いていたが、実際に目にしてみてワクワクと嬉しくてたまらない気持ちになったものだ。

ブラックミュージックのレベルの高さについて「母親のお腹の中にいるときから聴いていたから」などと表現されるが、あながち嘘ではないだろう。この国の子どもたちは、サッカーボールと共に生活がある。南米サッカーの強さを語るとするなら、ボールと接する時間の長さが大きく関係しているように思う。サッカー文化が根づいた環境にある南米では、毎日浴びるほどサッカーができるのだ。

町を歩いていると、至るところで芝生に木の棒が刺さっている風景を目にする。これは簡易的なサッカーゴール。適当な時間になると子どもから大人まで、誰が来ようがお構いなしで、人数が集まればすぐに試合スタート。人々は暗くなるまでひたすらボールを追い続けるのだ。しばらく南米で暮らしているうちに、私も仲間に誘われるようになった。

そんなある日、クラブチームでたっぷり練習をし、自宅へ帰る途中で知り合いの子どもと出会った。「KUMA(私のニックネーム)! 帰って来たんなら、高架下のフットサル場へ行こうぜ!」。私はたっぷり練習をしてきてヘトヘトだと伝えると「じゃあKUMAはこの後の時間、サッカー以外に何をして遊ぶつもりなんだ?」と聞き返された。

翻って日本では、サッカー以外のスポーツも人気があるし、その他のレジャーや習い事も充実している。つまり遊びの選択肢が多い。それゆえサッカーをしたくても、友達は別の遊びを選択してしまって都合が合わない可能性が高い。しかし南米では、誰もが迷わずサッカーなのだ。

それは大人になっても変わらない。友人から「KUMA、○時×分に高架下のフットサル場だ」と突然メールが来る。駆けつけるとすでにおじさん達が念入りにアップをしており「遅ぇぞ、早く準備しろ!」とせかされる始末。年齢も職業も違うのに、みんなが心から真剣にプレーをしているのは実に面白い光景で、試合が終わった後のアサード(南米のBBQ)も楽しみのひとつだ。

つまり南米人は、人生の中でサッカーと接している時間が、日本人とくらべて圧倒的に多いのだ。具体的にどのくらいの時間なのかは把握できないが、私が目にした風景がそれを物語っていると思う。日本の子どもたちが、自由に真剣にサッカーをするためにはやはり、サッカーが生活に溶け込まなければならない。環境と文化がもっと変わらなければならないと感じた。

■選手は幼い頃、どのように個人技を身に付けているのか?

私が南米のパラグアイでサッカーをしていたとき、子どもたちがスキルを磨く場所として2つの場所があると感じた。それぞれの役割ははっきりと分かれるが、選手の"活きた個人技"は、その両方の環境で育まれている。

環境とは「クラブ」と「クラブ外」の2つ。

「クラブ」はもちろん育成のための環境だが、監督やコーチがオーガナイズする"設定された状況下"でプレーをしなければならない。選手はサッカーの試合で実際に起こり得るシチュエーションで、一番効果的なプレーをすることが求められる。その一方で「クラブ外」とは、子どもたちがクラブのトレーニング施設以外のところでサッカーをしていることを指す。近所の空き地や公園など、ボールを蹴ることができるスペースを見つけては、子どもたちは即席のサッカー場を作ってサッカーをする。当然そこには指導者がいないため、自由なシチュエーションの中で、誰にも咎められないサッカーを身に付けるのだ。

スペイン語で「jugar(フガール)」と「trabajar(トラバハール)」という言葉がある。「フガール」はプレーする・遊ぶという意味で、「トラバハール」は仕事をするという意味。サッカーの会話ではどちらもよく使われる単語だ。「私が面白い!」と思ったのは、クラブ外でサッカーをするとき、友達は「サッカーして遊ぼうよ!」という風に「フガール」をよく使う。反対にクラブでコーチが選手に伝えるときは「(直訳すると)働け! 働け!」という風に「トラバハール」がよく使われるのだ。つまり、言葉を使い分けてサッカーをするほど、子どもたちはサッカーの在り方を理解しているということだ。クラブでは"仕事として"戦術的なサッカーを磨き、クラブ外では"遊びとして"パフォーマンスを磨く。

私は通訳も含め、さまざまなチームでコーチの経験があるが、そのような意識は日本の子どもたちにはないように思う。サッカーという仕事、サッカーという遊び。その意識を併せ持つだけでも、身につけるべきものが何かを理解できるようになるのかもしれない。

後編:なぜうまい?南米選手の個人技>>

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