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高校サッカー名門校の始動「桐光学園」前編

高校選手権準優勝1回、ベスト4が1回、インターハイ準優勝1回を誇り、中村俊輔(現・横浜Fマリノス)を筆頭に多くのJリーガーを輩出している名門・桐光学園。昨年度の選手権でベスト4に輝いたものの、今年度は神奈川県予選準々決勝で、全国大会ベスト4に食い込んだ日大藤沢に敗れ、悔し涙を飲んだ。新チームで巻き返しを図る桐光学園のリスタートをレポートする。(文・写真/安藤隆人)

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■まずは徹底的な課題点と修正点の洗い出し

高校選手権県予選敗退からの巻き返しを図る桐光学園は、新チームが立ち上げ早々にインフルエンザに見舞われ、メンバー全員が揃わない中でのスタートとなった。だが鈴木勝大監督は明確なコンセプトのもと、不測の事態を乗り切って土台作りを推し進めている。蔓延した流行り病も治まり、部員全員が練習に参加できるようになった1月末、鈴木監督に新チーム立ち上げについての考え方を聞いた。

「大事にしているのは、規律の見直しと徹底です。グラウンドの中での規律はもちろん、外での規律という意味でも昨年の反省を生かし、スタッフ側から選手に対するアプローチの改善を進めています。具体的には、グラウンドの中では守備意識を高めて徹底すること。そしてグラウンド外での規律も含め、特にチームに変化があった部分で規律を徹底するよう促しています」。

まず昨年のチームをベースに、これまで重ねてきた経験もふまえてスタッフ全員でミーティングを行い、課題点・修正点を洗い出す。それらをピッチの内外で選手たちに示すことで共通理解を促し、実際の行動に移していく。ここで一番重要になるのが、課題点と修正点の洗い出しを徹底的にやること。ここを間違えると、コンセプトが大きくブレてしまうからだ。

「課題点・修正の洗い出しは、基本的に監督である私の仕事だと思っています。前年のチームで1年間書き溜めたノートからさまざまな事柄を抽出し、まずはできなかったことにフォーカスして改善しにいきます。その結果として私が導き出した戦術やルールなどを細分化し、いったんコーチ陣に落とし込む。その上でじっくり議論するのが私のやり方です」。

鈴木監督の指導スタイルは、ノートをフル活用することだ。ノートには2種類あり、『思ったことを何でも書いておくノート』と『細分化したノート』に分けられる。前者はその名の通り、トレーニングや試合のある瞬間に起こった出来事、思ったこと、考えたことを書き記すノート。後者は戦術的な部分やチーム内での規律を細かく記しており、ピッチ内では攻撃と守備のコンセプト、ピッチ外では生活態度やルールの徹底など、実に細部に渡る。

「昨年の蓄積もあるので、10段階で言えば3か4くらいからの見直しでも大丈夫だとは思いますが、もしその3~4が浸透していなかったら、いくら積み上げても意味がありません。ですから新チームに切り替わると、ルールなどの細部をもう1回初心に帰ってゼロから説明していきます。フィジカル面にしても、合宿の現地集合に象徴されるように、ゼロから見直しすることで新たなスタートを切っているのだということを、スタッフ、選手一同が意識することが大事だと思っています」。

■新しいことよりも、本来大事にすべきこと

その上で、今年のポイントとなるのがアプローチスピードだ。「アプローチに行くまでの切り替えスピードが、一昨年と比べると昨年は低かった。そこで今年のチームについては、トランジションの早さと相手に判断を与えないアプローチを徹底してやっています」。

昨年のチームは守備時にボールホルダーを囲い込むスピードが遅く、カウンターを食らうシーンが多かった。選手権予選の日大藤沢戦も、最後の最後でカウンターから失点して敗れている。まずは奪うポイントの共通理解や、ファーストディフェンダーをサポートする周囲のポジショニング、そして奪われてからの守備への切り替えの早さなど、カウンターを未然に防ぐ意識を植え付けている。一方ピッチ外では、「新しいことというよりも、本来大事にすべきなのに見落としていたようなことを伝えていかないといけません。合宿では約束を守ることや時間を守ることから始めて、ベースとなる生活スタイルの構築を考えてやっています」。

選手権予選のあと、プリンスリーグ関東を戦い、チームが立ち上がったのが2014年12月下旬から。選手権の出場を逃し、例年より1ヶ月早く立ち上がった分、鈴木監督は洗い出した課題点・修正点の改善や、グラウンド内外での規律を植え付ける作業と平行して、『着実なビルドアップ』もテーマに掲げて取り組んだ。「今年の立ち上がりは前からボールを追いかけていく中で、フィジカル的に五分のボールに競り負けているシーンも見られました。そこを勝てる筋力強化・アプローチ強化と、より前方で奪うためのビルドアップを意識していますね」。

新チームの立ち上げまもない時期でありながら、メンバーへの指導は細部におよび、具体的な指針を示して丁寧に土台作りを始めた鈴木監督。裏を返せば、それだけ今年のチームに期待を寄せていることが分かる。それもそのはず、昨年のチームは2年生レギュラーが多く、1年生も楽しみな個性派がこぞって入学してきた。新チームはその彼らが1つ学年を上げてさらにスケールアップしており、昨年以上の戦力を備えたチームに成長する可能性が高いのだ。後編では期待の新チームについて、より具体的に迫りたい。

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