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『ワールドチャレンジ』が撒いた種は花開くか/FOOTBALL LEADERSワークショップレポート 前編

指導者の学び・交流の場として積極的な交流が行なわれている『FOOTBALL LEADERS』(以下、FL)。初夏の陽気を思わせる4月下旬、渋谷区の会場に40名程の指導者が集まり、月例のワークショップが開催された。今回は『U-12ジュニアサッカー ワールドチャレンジ』(以下、ワールドチャレンジ)をテーマに、大会取材者や参加クラブ指導者の目から見た開催の意義について語られた内容をご紹介する。(取材・文/鈴木智之 写真/FOOTBALL LEADERS)

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■バルサとの対戦で見つけた「世界を測るモノサシ」

『ワールドチャレンジ』は2年前に第1回が開催され、久保建英君を擁するFCバルセロナの出場で話題を集めた大会で、毎年夏休みに日本のJクラブと街クラブ、選抜チームに加え、海外のクラブが参加して行なわれるビッグイベントである。U-12カテゴリーの日本の子どもたちが、FCバルセロナを含む海外勢とどのような戦いを見せるのかに注目が集まる大会だ。

ワークショップのスピーカーは大塚一樹氏。一昨年の第1回、昨年の第2回と続けてワールドチャレンジを取材しているスポーツライターで、同大会後に出場したチームへの取材も行なっており、「大会を一過性のものにするのではなく、継続的に考えていくことが重要」という考えのもと、今回のワークショップ参加に至った。

大塚氏はワールドチャレンジが子どもたちに与える影響をテーマに取材しており、FL神奈川の代表を務める鈴木浩二氏が指導していた元石川SCの子どもたちに、「ワールドチャレンジを見て何を感じたのか」を聞いたレポート記事も寄稿している。

元石川SCでは鈴木コーチのもと、「考えてサッカーをプレーする」ことに取り組んでおり、日本代表の試合を見て「なぜゴールが決まったのか」「なぜ失点したのか」などのテーマを設け、子どもたちにスカウティングレポートを書かせていたという。その成果もあり「サッカーを見て、考える力」を身につけた選手たちは、ワールドチャレンジを見てさまざまな感想を持っていた。

鈴木コーチは「ワールドチャレンジは子どもだけでなく、指導者の勉強の場でもあります。指導者も選手も"バルサ、すごかったね"で終わらせてはもったいない。ワールドチャレンジを見たことで、成長につながるようにしたかったんです」と振り返る。

大塚氏は、ワールドチャレンジに街クラブ枠で出場した諏訪FC(長野)への取材も行なっている。日本から出場したクラブはある程度実力が拮抗しているが、"街クラブ枠"で出場した諏訪FCはそうではない。実際、抽選で選ばれた諏訪FCはFCバルセロナと対戦し、0対9で大敗を喫してしまったのだ。結果だけを見るとショックに打ちひしがれてもおかしくはないが、大塚氏が監督や選手たちを取材する中で、彼・彼女たちの中にポジティブな変化が芽生えたことを感じたという。

「諏訪FCを取材させてもらったのですが、監督さんからは"選手の意識が変わった"という話を聞くことができました。FCバルセロナと対戦することで、良いチームとはどういうものかというビジョンができたようです。諏訪FCには女子選手がいたのですが、彼女はFCバルセロナと対戦したことでサッカーに取り組む意識が高まり、自分からJFAアカデミーに入りたいと言い出したそうです」

大塚氏は諏訪FCの子どもたちに芽生えた変化を、"ワールドチャレンジが撒いた種"と表現する。これこそがワールドチャレンジ開催の効果であり、FCバルセロナが日本の子どもたちにもたらした好影響と言えるだろう。

■「フェアプレーは素晴らしい、技術も優れている。だが...」

諏訪FCが出場した第2回大会も衝撃的だったが、インパクトという意味では第1回のほうが大きかった。久保建英君を筆頭に、タレントを揃えた"黄金世代"と呼ばれたチームは日本のクラブを圧倒。東京ヴェルディやセレッソ大阪など、ジュニア年代の強豪と呼ばれるチームを相手に力の差を見せつけた。日本の子どもたちはFCバルセロナの鋭い寄せでボールを奪われると、ピッチを広く使ったパスワークに対応できず、次々にゴールを奪われていった。

FCバルセロナのマルセロ・サンス監督は、日本の子どもたちの印象について次のようにコメントしている。「フェアプレーが素晴らしい。プレーがうまくいってもいかなくても、チームの状態が良くても悪くても、最後まで諦めずに頑張ることができる」。

大塚氏は「これは社交辞令ではなく本当にそうで、どんな試合になっても集中が切れることはない。そして、技術が優れていると褒めていました。ただし、そのあとに一言、付け加えていたことがあります」と話す。サンス監督は次のように語っていたという。

「攻撃のときに比べて、守備の技術。ディフェンス時の球際が、ヨーロッパのクラブと比べて緩いことが気になりました。距離を詰めるのに時間がかかるため、こちらが攻撃の準備をする余裕がありました」

大塚氏は「これはハリルホジッチ監督も言っていることで、日本サッカーに共通する課題だと思う」と語る。

ワールドチャレンジのFCバルセロナは高い個の能力と、チームとしてボールを動かす戦術に長けた集団であり、個と組織の絶妙なバランスをもとに、強烈な攻撃を繰り出していた。しかしそのベースとなる部分は、相手からボールを奪う守備である。激しい寄せで相手からボールを奪い、素早い攻守の切り替えでゴールに迫る。獰猛にボールを奪いに来る姿に、日本の選手たちは戸惑いを隠すことができなかった。

ピッチ内外で日本の選手・指導者、メディアおよびサッカー関係者に大きなインパクトを残したFCバルセロナ。後編では現場で指導・育成に関わる方々の証言を元に、「何が日本の子どもたちと違うのか」について考察していきたい。 

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