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練習の質を高めるにはサッカーの分析が重要【サッカーのピリオダイゼーション2】

※サカイク転載記事(2012年2月8日掲載)※

コンディショニングコーチとして、オランダ代表や韓国代表など、数々の選手のコンディションを劇的に向上させたレイモンド氏。その手腕は世界トップクラスと言ってもいいでしょう。そんな彼が日本の指導者に、重要な提言を残しています。(取材・文/鈴木智之 写真/サカイク編集部)

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<<韓国代表をW杯ベスト4に導いたトレーニング理論【サッカーのピリオダイゼーション1】

■80%の状態で1週間に6回練習するより、100%で4回の方が選手の質は上がる

「もしチームのコンディションを上げたければ、トレーニングの強度を上げることです。それは練習の数を増やすことではありません。これは特にアジアの選手に必要なことです。なぜなら、多くの選手は1日に3回も4回もトレーニングをしたいと思っているからです」

前編で書いたとおり、選手をオーバーロード(過負荷)状態に持って行き、100%以上のパワーを出させるためには、肉体的な疲労がない状態で臨むことが大切です。レイモンド氏は質の高い練習をするために、『休息』の重要性を説きます。

「2002年のW杯で韓国代表のコンディションがフィットしていたのには、理由があります。それはトレーニングを1日1回に減らしたことです。選手たちは身体が回復する時間を得たことにより、試合に疲労がない状態で臨むことができました。もし1日に2回トレーニングをしたとすると、2回目のトレーニングは疲労が残った状態で始めることになり、トレーニングのテンポは下がります。爆発的なプレーの持続が求められる、ハイレベルなサッカーを実現させるために行なうトレーニングのはずが、テンポの低い状態でのプレーを指導することになってしまうのです」

レイモンド氏は、さらに続けます。

「1日1回のトレーニングをMAXの状態、100%以上の力を出してプレーすることで、いい選手は生まれるものです。1週間に6回、80%の状態でプレーするよりも、1週間に4回、100%の力でトレーニングする方が、選手の質は上げられます。これは韓国代表にとって、大きな変革でした。これを説明し、理解してもらうのにすごく時間がかかりました」

トレーニングの強度を上げ、選手が100%の状態を出し続ける状況を作ること。それこそが、選手をレベルアップさせるための方法だとレイモンド氏は言います。

■持久走は『遅くするため』のトレーニング

日本のユース年代などにおいて、コンディションを高めるためによく行なわれるのが『10km走』などの持久走。レイモンド氏はその手法について、首を横に振ります。

「私はサッカーのコンディショニングトレーニングにおいて、持久走は意味がないと思っています。それどころか、持久走は『遅くなるため』のトレーニングだと考えています。サッカーは爆発的な力が求められるスポーツ。つまり速筋を鍛えることが重要です。持久走をすると、同じテンポで走ることになり、爆発的な力は身に付きません。もし持久走をしなければいけなくなった場合は、ダッシュをしてジョグ、ダッシュをしてジョグ......という走り方をすることで、速筋を鍛えることができます」

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最後にレイモンド氏は、日本の指導者にこんなメッセージをくれました。

「私が韓国代表で指導したときと同じように、日本の指導者が選手たちにこの考えを理解させることは、とても難しいことだと思います。2部練習をやめて、練習を1日1回にすると、選手たちは練習量が少ないんじゃないかと考え、自分でもっとトレーニングをしようとするからです。そこで、コーチはどうして練習の回数を減らすのか、説明する必要があります。これまではたくさんのトレーニングをすることが、いい選手になる方法だと考えられてきました。つまり、量を重視したトレーニングです。しかし、持久力よりも爆発的な力が求められるサッカーは、練習の量よりも質こそが重要なのです。多くのコーチは無意識のうちに、自分が選手時代にしたのと同じようなトレーニングをすべきだと思っています。ですが、重要なのはサッカーを分析すること。20年前にやっていたことをコピーすることが重要なのではありません。コンディショニングは選手の質によって、何をどの程度すべきか、メニューは変わってきます。そのまま真似をするのではなく、まずは自分で考えて分析することから始めてみてください」

コンディショニングは専門的な知識が必要なため、すぐに取り入れることは難しいかもしれません。ですが、練習の質を見直す、サッカーを分析してトレーニングするといったことは、取り入れられるのではないでしょうか。昨年の12月に大阪、東京で開催されたレイモンド氏のセミナーには、Jクラブのコーチを始め多くの育成年代のコーチが参加していました。彼の提案を取り入れ、量より質を追求する指導者が増えることが、日本のサッカーを新たなステージへ導くための、ひとつの方法だと言えるでしょう。

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レイモンド・フェルハイエン(Raymond Verheijen)
1999年にオランダ代表スタッフに抜擢されて以来、ヒディンクや、ライカールト、アドフォカート、ファン・ハールなどの名監督とともに、オランダ代表、韓国代表、ロシア代表、FCバルセロナなど世界各国さまざまなチームでサッカーのピリオダイゼーションを実践してきた。サッカーに特化したピリオダイゼーションの分野における先駆者である。

■「サッカーのテクニックトレーニング」セミナー 8月に富山で開催
ドイツサッカー協会に所属し、全育成世代のテクニックトレーニングの統括など、A代表チームのアドバイザーも務めているマルセル・ルーカセン氏が昨年に引き続き来日し、ワールドフットボールアカデミー・ジャパンと公益社団法人富山県サッカー協会の共催による「サッカーのテクニックトレーニング」セミナーが開催される。

昨夏の開催ではJリーグからアマチュアクラブまで、述べ100名の指導者が受講した人気セミナー。今回はベーシックコース(8月8日)のほかに日本初開催となるアドバンスコース(8月9日・10日)を新設。サッカーの中で活きる本当のテクニックを身に付けるためにはどのようなトレーニングを行なうべきか、より深く、より実践的に学ぶことができる。

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