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フットサルゲームに学ぶ局面の理解/主導権を握るトランジションコントロール

COACH UNITED ACADEMY3月後半のテーマは、「フットサルゲームに学ぶ『局面』の理解」。前回に続き、ボンフィンフットボールスクール・ゼネラルマネージャーであり、JFAのフットサルテクニカルダイレクターを務める小西鉄平氏が語る「フットサルの競技力向上」をテーマに、「ゲームを支配するためのトランジションコントロール」を実現するためのトレーニングについて紹介したい。(取材・文/鈴木智之)

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■ボールの取りどころがもたらす試合での決定機

小西氏はフットサルにおいて大切な「攻守の切り替え(トランジション)」を、次のように説明する。「攻めている途中にボールを奪われたとしても、すぐに取り返せば再び攻めることができます。一方で守備側は、ボールを奪うことができたとしても、そこで止まっていると、すぐに取り返されてしまいます。攻撃側も守備側も、重要なのはプレーを途切れずに行うこと。そこで大切になるのが、トランジションコントロールです」

フットサルはコートが狭いため、絶えず攻守が入れ替わる。攻守の切り替えを制するチームが、試合を制するといっても過言ではない。選手はボールを失わないようにプレーし、奪われたらすぐに取り返すことが重要だ。FCバルセロナのように、相手陣内で奪われたボールをすぐに取り返すことができれば、大きなチャンスになる。

COACH UNITED ACADEMYのオンラインセミナーでは「ゲームを支配するためのトランジションコントロール」を実現するための、トレーニングの実例を紹介している。そこでは、まずはウォーミングアップとして「ポートボールゲーム」を行い、続いて「2対1」「2対2」「試合形式の2対2+GK」と4つのパートでトレーニングが進んでいく。

詳細な説明は動画に譲るが、小西氏のトレーニングのオーガナイズは「トレーニングで習得するテーマ」が前提としてあり、そこから逆算してウォーミングアップの内容を決め、トレーニングの終わりに向けて難易度を高め、フットサルの実戦に近づけていくというもの。ウォーミングアップの段階から習得するテーマに基づいているので、選手たちも自然とそちらへ意識を傾けながら、フィジカル面と頭の中の準備を始めていく。

ウォーミングアップで行われた「ポートボールゲーム」は、最初は足ではなく、手を使って実施。不確実な足ではなく、確実性の高い手を使って行い、練習の流れとポイントを理解させてから、メインのトレーニングに移行する形をとっていた。子どもたちに、ルールに慣れる時間と注意すべきポイントを理解させる上では、非常に適切なアプローチである。

ウォーミングアップで行った「ポートボールゲーム」では、ゴール役のコーチが手を上げているときのみパスができる。2人のゴールマンのどちらにパスをしても良い。両手でボール保持者をタッチしたら、攻守が入れ替わるといった、「状況を見て判断し、すばやく実行に移す」という攻守の切り替えに重要なポイントを、ウォーミングアップの中で体感していく。

手で投げるルールの次は、フットサルと同じように足でボールを扱い、GKが手を上げているときだけシュートを打てる。どちらのゴールにシュートを打ってもOK。GKを使ってパスを繋いでも良いといったルール設定で、状況を見てプレーすること、すばやく攻守を切り替えることを意識づけしていく。

そこでも「ボールを奪ったあと、3秒間は両方のコーチの手が絶対に上がっている」というルールを追加することで「ボールを奪ったら、まずはゴールを見てシュートを狙う」という意識づけが行われていた。指導者のコーチングも重要だが、ルールを設定することで、選手たちが自然と習得すべきテーマを意識するようになるのは、理想的なトレーニングの仕方と言えるだろう。

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■否定はせず、「ポジティブなプレー」をピックアップする

小西氏のコーチングを見ていると、まずは良いプレーを褒め、過剰にミスを指摘しないという姿が印象的だった。指導の細部は動画をご覧頂ければと思うが、テーマが「攻守の切り替え」なので、そこにのみ注視してコーチングをしていた。技術的なミスなど、指導者から見てわかりやすいミスは、その都度注意したくなるのだが、それは最小限にとどめていた。また、最初は選手たちに自由にプレーさせ、うまくいかないときはプレーを止めて同じ状況を作り、「どう動けば、局面を打開できるか」を、質問を通じて考えさせていた。

ウォーミングアップの後は、「素早く攻守を切り替えなければいけない」というテーマに基づいたルール設定で2対1や2対2を実施。常に攻守の切り替えが行われる、高い強度でトレーニングが繰り広げられていた。動画では練習メニューやルール設定の妙に加えて、小西氏のコーチング内容や、選手たちがプレーすることで、実際に陥りやすい現象などを見ることができる。トレーニングを通じて「攻守の切り替え」を高めたい指導者にとって、非常に参考になる動画と言えるだろう。

小西鉄平(こにし・てっぺい)
1977年10月9日生まれ。神奈川県出身。県立旭高校卒業後、横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.)でプレー。指導者としてボンフィンフットボールスクールコーチ、FリーグU-23選抜監督、ミャンマー女子フットサル代表監督などを歴任し、現在はボンフィンフットボールスクール・ゼネラルマネージャーを務める。また日本サッカー協会(JFA)のフットサルテクニカルダイレクターとして、トップチームの強化や指導者養成にも携わっている。JFA公認A級コーチジェネラルライセンスおよびJFA公認フットサルB級コーチライセンス保持。

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