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試合で活きる技術をどう習得させるか? / 川崎フロンターレU-10が徹底する「ボールの置き所と運び方」

近年、ジュニア年代の各大会で好成績を残しているのが、川崎フロンターレだ。ダノンネーションズカップ、JA全農杯チビリンピックを始めとする大会で上位進出を果たすとともに、トップチームや年代別代表に選手を送り込むなど、確かな実績を残している。COACH UNITED ACADEMYでは、前回の動画セミナーで好評を博した川崎フロンターレU-12のトレーニングに続き、U-10のトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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■左右様々な場所で「速く」「細かく」扱う


アカデミーダイレクターを務める後藤静臣氏は、U-10の指導ポイントについて「試合で使える技術、それを表現するために必要な、自由なボールの扱い方をテーマに据えています」と語る。

トレーニングは、グラウンドに集まってきた選手から、個別のウォーミングアップでスタート。インステップ、インサイド、アウトサイド、太もも、頭など様々な部位を使ったリフティングや縄跳びで身体を温めた後、コーンドリブルへと移行していく。

まずは、等間隔に並べられたコーンの間を選手達がドリブルで進んでいく。ここで、指導をする玉置晴一U-12コーチから「なるべくボールを見ないでやろう。大事なのは、ボールを扱っていることを意識しないでドリブルをすること。ボールを見ていなくても、ボールに意識が行っていたら同じことだよ」というアドバイスが飛んでいた。

さらには、速く足を動かすこと、足の様々な部位でボールを扱うことに加え「リラックスしてやろう、あわてない」と声掛けをしていたのが印象的だった。

続くレベル2では、スピードに意識を向けてドリブルを実施。玉置コーチからは「失敗してもいいから、速く、細かくボールに触ろう」という指示があり、選手達は左右両足をリズミカルに動かしながら、コーンの間を駆け抜けていく。

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■ボールの位置だけでなく「体の向き」も重要


レベル3は、コーンの位置を変えて、進行方向に制限がつけられる。それまではコーンの間を真っ直ぐ抜けていく形だったが、ここからは斜め前方にあるコーンを目指してドリブルをし、アウトサイドでボールをコントロールするというルールが設けられた。

選手達は斜め前にあるコーンを目指して、コーンに近い方の足のアウトサイドでボールを押し出して進んでいく。コーンに到達したところで、コーンの周囲をアウトサイドドリブルで周り、今度は反対サイドの斜め前方にあるコーンを目指して、逆側の足のアウトサイドでドリブルをしていく。

右アウトサイドでドリブルをし、コーンを回る動きを2回。左アウトサイドのドリブルも同様に2回。計4つのコーンを回り、最後は真っ直ぐスピードに乗ったドリブルで戻っていく。

この練習で玉置コーチが繰り返し伝えていたのが、「身体は正面を向きながら、斜めにドリブルをしていくこと」だった。その理由を玉置コーチは、次のように説明する。

「なぜ、身体が正面を向いた状態で、斜め前のコーンへ進んでいくのか。それは試合中、相手をかわすときに必要な身体の向きだからだよ。試合中はゴールを意識した身体の向きを作ることが大切で、コーンの方向(ドリブルで進む方向)に身体を正対させてしまうと、ボールを奪いに来た相手選手に動きが読まれやすくなるし、相手の逆をつくために方向転換するときに時間がかかってしまうよ」

冒頭で後藤ダイレクターが語ったように、川崎フロンターレアカデミーのトレーニングテーマのひとつに「試合で活きる技術の習得」がある。その観点から考えると、玉置コーチの指示の内容は非常に的確でわかりやすいものだった。

ほかにも「ボールを置く位置で相手と駆け引きをする」「ボールを押し出すようにドリブルをし、逆足を軸にする」といったコーチングがされていた。ドリブル練習の後は、1対1のトレーニングを実施。ここではドリブル練習で意識したポイントを、対人プレーの中で磨いていくことを目的に行われた。指導の細かいニュアンス、選手達のプレーの変化については、ぜひCOACH UNITED ACADEMYの動画をご覧頂ければと思う。きっと、多くの発見があるはずだ。

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<プロフィール>
後藤 静臣/
1966年生まれ、福岡県出身。福岡大学卒業後、富士通サッカー部(日本サッカーリーグ)に入部。その後、東芝サッカー部(日本サッカーリーグ)、コンサドーレ札幌、大分トリニータでプレーし、98年に現役を引退。大分トリニータU-18コーチを経て、2001年より川崎フロンターレでスクールやアカデミーのU-12及びU-15で監督などを務める。

玉置 晴一/
1982年生まれ、愛媛県今治市出身。今治工高を卒業後、川崎フロンターレに加入。 精度の高いパスを繰り出すレフティーとして活躍したが、ケガの影響もあり3年で現役引退。 2005年にスクールの担当コーチとして復帰後、U-12コーチ、U-10監督などを務める。

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