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大宮アルディージャジュニアが徹底している「3つの意識」 / ポゼッションからゴールへの結び付け方

近年、日本の育成年代において、「ボールはまわせてもゴールに向かえない」といった課題が多く聞こえている。

そこで、COACH UNITED ACADEMYでは、昨年の『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』で、FCバルセロナを相手に好勝負を繰り広げるなど、全国的な強豪として知られる大宮アルディージャジュニアの森田浩史監督に出演してもらい、「ポゼッションからゴールへの結びつけ方」をテーマに大宮ジュニアが取り組む一日のトレーニングを収録した。

前編では、ウォーミングアップから『ゴール』『攻撃方向』『縦パス』の3つを意識したトレーニングを紹介する。(文・鈴木智之)

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■常に「目的」と「狙い」を持って取り組む

トレーニングは4対2のボール回しからスタート。四角形のグリッドを作り、各辺に攻撃側の選手4人が入る。守備側はグリッドの中でディフェンスをし、ボールを奪うことができたら、奪われた選手とその前にパスを出した選手の2人と交代する。ここでは「アンダー3タッチ」「守備側の2人の間を2本通せば貯金ができる(一度奪われてもセーフ)」というルールが設けられた。

森田監督の「ウォーミングアップも兼ねているので、しっかり体を動かそう。常に目的、狙いを持ちながらやろう」という掛け声の下、4対2がスタート。さすが大宮アルディージャの選手だけあって、基礎のレベルが高く、小気味よくパスがつながっていく。

その中で森田監督は細かいポイントを見逃さず「このトレーニングの目的はなに?」と声をかけていく。選手達が「守備側の2人の間を通すこと」と答えると「そうだよね。常にその目的を持ってプレーしよう。自分がボールを受けたときに、DFの間を狙う意識を持ちながら、ダメなときはボールを失わないようにしっかり動かす」と、状況判断の大切さをアドバイスしていた。

守備側の選手には「門(2人の間)を閉じて、ボールに寄せなければ守ることはできるけど、それで奪える? ボールを速く奪って、速く攻撃側に回ろう。これが実際の試合だったら、速く相手からボールを回収して、攻撃時間を増やしたいよね。そのために、守備側は速くボールを奪いに行きましょう」と問いかける一方、攻撃側には「守備側が奪いに来たときにできるギャップ(2人のDFの間)を狙いましょう」と意識付けをしていく。

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■ゴールへ結びつけるための「3つの意識」

続いては『六角形のパス』に移行。ここでは、トレーニングのテーマである『ゴール』『攻撃方向』『縦パス』の3つを意識した設定、コーチングが行われていた。森田監督は言う。

「サッカーは、攻撃の目的である『ゴール』を常に意識してプレーすることが大切です。我々指導者は、子どもたちが状況に合った判断をするために、手助けをすることが重要だと思います」
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ここでは選手が縦長の六角形になるように立ち、右回りにパスを回していく。最初は守備役がいないため、右回りにオートマチックにパスを回して行くのだが、ここで六角形の底辺にいる選手が狙うべきは、六角形の頂点にいる選手への縦パスだ。トレーニングの設定上、底辺の選手から頂点の選手に直接パスをすることはないのだが、常にその意識を持ってパスを回すことが重要になる。

トレーニング前に森田監督は「一番狙いたいのはどこ?」と選手達に問いかけ、相手ゴールに一番近い場所にいる選手(頂点の選手)にパスを出す意識を持ちながら、守備役がいると想定して、縦パスの意識を持ちながら、入れられない状況でボールを動かすことを強調していた。

ここでは縦への意識付けの他に、サイドの選手に対して「前を向く、前にボールを運ぶ意識を持とう」とコーチング。さらにはボールを止める位置、ボールの回転スピード、ワンタッチコントロールなど、技術面でのアドバイスも送っていた。

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続いては守備役を右サイドと左サイドにそれぞれ追加。パスコースを塞がれた状態で斜め前方にいる味方にパスを出し、守備役を動かしてリターンパスを受ける。そうして出来たスペースへパスを通す形へチェンジ。最後は守備役が攻撃側にタイトに寄せていくという設定のもと、一人飛ばして前方へパス、近くにいる味方がサポートをして素早くパスを回すという練習を行った。

ここでのコーチング、選手のプレーの質などは、COACH UNITED ACADEMY動画をご覧頂ければと思う。フォーカスすべきポイントが多い中で、コーチングによって選手の意識が変わるトレーニングとなっている。選手のレベルに合わせて、導入しやすいトレーニングといえるだろう。

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【講師】森田浩史/
現役時代はサガン鳥栖、アルビレックス新潟、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府、V・ファーレン長崎、タイのチョンブリなどでFWとしてプレー。引退後の2011年より指導の道に入り、大宮アルディージャのスクールコーチを経て、2013年よりジュニアコーチ、2016年より監督を務める。