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足が速くなるための計算式は「ストライド×ピッチ」/サッカー日本代表やプロ野球選手も取り入れる正しい走り方

COACH UNITED ACADEMYでは、3回に分けてサッカーに活きる「走り方メソッド」を紹介する。講師は、武藤嘉紀、槙野智章、宇賀神友弥、小林悠、谷口彰悟といった日本代表経験のあるサッカー選手から、プロ野球の阪神タイガース、オリックス・バッファローズなどで「走り方」の指導をおこなっているプロスプリントコーチの秋本真吾氏。

第1回は「どうすれば速く走れるのか?」という基本理論を解説していく。秋本氏は「専門的な走りの指導を受けたことのないサッカー選手はとても伸びしろを感じる」と言う。(文・北健一郎)

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※写真は秋本氏の指導を受ける武藤選手(1.FSVマインツ05)

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■なぜウサイン・ボルトは速いのか?


100メートル9・58秒の世界記録保持者ウサイン・ボルト。"地球上で最も速い男"はあまりにも有名だが、「なぜ速いのか?」と聞かれて具体的に説明できる人は多くないだろう。

「速さには計算式があります」

プロスプリントコーチの秋本真吾氏は言う。「速さというのは、ストライド(歩幅)とピッチ(回転)の掛け算によって決まります。ストライドが広くなれば1歩あたりで進む距離が伸びて、ピッチが速くなれば速くなればなるほどスピードは上がります」

ボルトの場合、一歩のストライドは最大3メートル、 1秒あたりのピッチは4・3歩と言われている。これをストライド×ピッチの計算式に当てはめてみると、3メートル×4・3歩、つまり1秒間で12〜13メートル進んでいるということになる。

「日本の陸上界では『誰が9秒を出すか』で盛り上がっています。個人的にはサニー・ブラウン選手ではないかと予想しているのですが、その根拠はストライドが広いこと。187cmと大柄で歩幅も大きい。回転数を高めるトレーニングに継続的に取り組んでいけば9秒台に到達する可能性があるでしょう」

足を速くするためには、ストライドを大きくすること、ピッチを速くすること、「この2つの要素しかない」(秋本氏)。では、2つの要素を伸ばすためには、どんなトレーニングをおこなっていけばよいのだろうか。

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■まっすぐな姿勢が全ての基本となる

「全ての基本となるのが『まっすぐな姿勢』を作ることです。まっすぐで、きれいな状態を走る時に作れていないと、歩幅も広がらないし、足の回転も速くなりません」

陸上界のトップ選手はもちろん、サッカーでもクリスティアーノ・ロナウド、アリエン・ロッベン、ガレス・ベイルのような「速い」と言われる選手のプレーを見ると、ダッシュしている時やスピードに乗ってドリブルをしている時に、上体がスッと伸びて、陸上選手のようなフォームになっていることがわかる。

「まっすぐな姿勢になることで、地面に正確に力を伝えることができます。猫背になってしまったり、膝が曲がったりしていると、それができません。スピードが上がってくればくるほど、まっすぐな姿勢を保っていなければぐらついてしまいます」

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■「カカト」ではなく「つま先」から着く

基本姿勢を作ったら、「ストライド(歩幅)を広げる」という作業に入っていく。もしかすると、とにかく遠くに足を着けば良いと考えるかもしれない。だが、秋本氏は「正しい接地をしなければ、歩幅は伸びない」と言う。

「まず考えていきたいのが『歩き』と『走り』の違いです。『歩き』というのは、常に地面にどちらかの足が着いています。『走り』はどちらかの足が空中に浮いている時間がある。つまり『ジャンプを繰り返している』ような状態といえます」

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走り=ジャンプの連続。つまり、ジャンプの動きに、足を速くするためのヒントが隠されている。

「なわとびをする時、無意識のうちに前足部、つま先を地面に着きながらジャンプしているはずです。つま先で接地すると、ふくらはぎにグッと力が入って、アキレス腱も伸ばされます。アキレス腱がバネの役割を果たして、体が弾みます。カカトで地面を蹴っても高く飛べないのは、アキレス腱が伸びないからなのです」

現役時代、秋本氏はスランプに陥ったことがあった。速く走ろうと頑張っているのに、スピードは伸びるどころか、むしろ落ちていく...。そんな時、自分のフォームを冷静に見直していると、あることに気がついた。「つま先ではなく、カカトから接地してしまっていたんです」

遠い場所に、速く行こうと足を伸ばすあまり、カカトから着いてしまう。アキレス腱が伸びないから、ストライドも広がらない。このような間違った走り方は、サッカー選手、野球選手に多く見られるという。

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■余計な力を入れず「楽に走る」

もう一つの要素である「ピッチを高める」ためには、どんなことが必要なのか。

秋本氏がポイントに挙げたのは「楽に走る」ことだった。「速く足を動かそうとすると、体に力みが出ます。余計な力が入った状態では、最初はスピードが出ても、後半に失速してしまいます。」

がむしゃらに足を速く動かせば、フォームが崩れてしまい、効率的に走ることができなくなる。1試合で何度もスプリントを繰り返すサッカーでは、1本あたりのダッシュで疲れると、90分間持たなくなる要因にもなる。

「陸上競技でも速い選手は最後に横を見たり、笑っているように見えたりすることがある。余計な力が入っていないからです。どれだけ動きを効率化させて楽に走れるかというのが重要なポイントになります」

・まっすぐな姿勢を作る
・歩幅を広げる
・足を速く動かす

3つの目的に沿ったトレーニングはCOACH UNITED ACADEMYの動画で確認してもらいたい。
今後COACH UNITED ACADEMYでは、ケガのリスクを軽減させる走り方やポジション別でのスピードアップの方法など秋本氏による走り方メソッドを3回に渡りお届けする予定だ。ジュニアからトップまで幅広い年代の指導に役立つメソッドなのでぜひ参考にしていただきたい。

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【講師】秋本 真吾/
1982年4月7日生まれ、福島県大熊町出身。
2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。アテネ、ロンドンオリンピックの選考会をはじめ、ヘルシンキ、大阪、ベルリン、韓国世界陸上の選考会に出場。オリンピック強化指定選手にも選出。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生最高記録保持者。ハードル選手でありながら100mのベストタイムは10秒44。
2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ所属選手、アメリカンフットボール、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。2013年に地元、福島県「大熊町」のために被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。
2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。

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