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12歳で戦術を学ぶのは、早すぎるのか? FA公認コーチが語る育成論

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 12歳の頃、皆さんは何を考えていただろうか? 学年でいえば、小学校6年生。私は、様々なことに興味、関心を持っていた記憶がある。知らないことが多い分、知的好奇心は今以上に持っていた。だからこそ、私は12歳が成長段階として大きく伸びる年齢だと考える。

 サッカーでもそれは同じ。すべてがそうとは言い切れないが、プレーの質、スタイルといった部分はこの年齢で何を学んだかがその後のカギとなると考えている。

 さて、ここである問題を提起したい。その問題とは「戦術は12歳できちんと教えるべきことかどうか」についてだ。サッカーにおいて戦術は重要な要素であり、勝敗を左右する。そんな戦術を12歳やそこらの少年、少女に学ばせるべきかどうか? 皆さんはどう考えるだろうか。今回、私はそれについて書いていきたい。

■戦術とはなにか?
 まずは、私なりの戦術とは何かを少しばかり書かせてもらいたい。

 サッカーは、元をたどればラグビーから分裂したスポーツである。手を使い、身体をぶつけ合うラグビー派から異なる考えを持ち出した集団が作り出したスポーツ、それがサッカーだ。そんな中で、「強い個が存在するチームに対し、どう戦うのか?」。それが戦術の始まりである。ルールこそきちんとあったものの、戦術は定まっていなかった。正確には、なかった時代には今以上に個人能力が生きていた。そんな状況を解決する為に戦術が生まれ、波及していった。今では各国、あるいは各チームがそれぞれの戦い方を持っている。

 私が昨年末まで留学のため滞在していたイングランドでは、古くから中盤にボックス型の陣形を用いサイドから中央に位置する選手に当てるシンプルかつイングランド人ならではの強靭な体格を活かした戦術を扱ってきた。今でこそプレミアリーグが国際化し、各国の人間が指揮を執り始めたことで様々な戦い方を目にするが、いまだにイングランド人指揮官が指揮するチームは上記のような戦い方をするチームが多い。

 私は、状況や場面を解決、打破していく為に戦術が存在しているものだと考えている。そう考えた時に重要なポイントが2つある。"個人"と"チーム"という2つだ。

 メッシやC・ロナウド、イブラヒモビッチといった素晴らしい個人スキルを持ち合わせた人材がいれば彼らが戦術のようなもので、個人で問題解決に至る。ただ、サッカーというスポーツにおいてはそれでも解決が難しい場面が存在する。そんな時にはピッチにいる11人で工夫し、解決をする。この個人戦術とチーム戦術。私はこの2ポイントをよりきちんと理解し、兼ね備えていて、試合中に発揮できる選手が11人いるチームは強いと考える。

■まずは個人戦術を
 ただ、12歳前後の子どもにこれらを一気に植え付けることはしなくても良いと私は思っている。

 12歳は冒頭でも述べたように非常に伸びる年代と言われている。"ゴールデンエイジ"とも呼ばれる12歳前後の年代は神経発達が進み、安定することで、レディネスと呼ばれる動作などを覚える為の準備態勢が整い、脳や神経が可塑性という常に機能的に変化しているという柔らかさを持ち合わせている為に教えたことを即座に習得可能という年代。だからこそ、きちんと順序立てた指導が必要だ。

 個人戦術の部分をまずはきちんと教える必要がある。

 ゴールデンエイジ、分かりやすく言えば、覚えが良い年代の時期には個人の力を引き上げることが重要。だからこそ教えたいのは、チームでのどうこうよりも個人だろう。もちろんそこに注視しすぎることはよくないがこの年齢は個人のレベルアップを図るには最適なタイミングと言える。

 教えたいのはまず基礎的な部分とその基礎をさらに伸ばすことだ。

 例えば、Body Shapeと呼ばれる身体の向き。これは状況を判断していく上で欠かせないことでシュート、ボールの扱いなどに関係してくる要素。これが出来ていない子どもは意外と多い。いわゆる上手い子との差はここが出来ているかにあるのかもしれない。

 それをトライさせた後は優先順位。これはボールを保持している時も、保持していない時もやらなくてはいけないことだ。攻撃をしている時で言えば保持者は1番目に相手DFの背後を伺い、次に前方方向へのパスを出すチャレンジ、そして最後に相手から遠い足にパスを出すということ、守備をしている場合は最初にポジショニング、次にアプローチ、最後にインターセプトや相手を振り向かせないことなどをさせるチャレンジといった順番で教える。

 これらを練習メニューの中に加えて教えることでトラップの際のコントロール術やシュートなどのテクニックスキルの上達にも繋がる。

 また、イングランドではRespectと題して、教える際のコーチ陣、または我が子を見つめる保護者のサポートの仕方も教えている。

 上記では「12歳はレディネスが整い、安定......」と書いたが、とはいえ12歳。精神的には未熟な面が多々ある。ミスを犯した時に頭ごなしにそのミスについて追及すれば成長に歯止めをかけ、最悪の場合はサッカーを嫌いになってしまう恐れは大いにある。そうではなく、ミスした場面を再現したり「どうしてそうなってしまったのか、どうすれば良かったのか」をきちんとプレーで示して、丁寧に教えることが次の発展に繋がっていく。

 イングランドでは講習会の中で父親あるいは監督と子どもたちを使って、「良い監督、コーチ、保護者はRespectを持っている」といったことを学ばせる為のビデオを流してコーチを目指す人たちへ教えている。

 私の問題の提議に対する答えは「戦術は教えるべき。ただし、きちんとした順序立てが伴った上で」というものだ。中学生、その先の高校生を前にし、大人への階段を着実かつ急激に上り始める12歳の子どもたちは、個人差はあれど覚えが早い。だからこそ彼らには個人の力を伸ばすための基礎をきちんと指導したい。「4-3-3の時はこうだから、こう動きなさい」といった指導はその先でいくらでも学べる知識よりも基礎技術といったものが身に付きやすいこの年代には基礎とプラスαの個人の力を引き出す戦術指導が良いのではと思う。

 そして、きちんと良いプレーには"Good"と言う指導が大切である。

羽澄凜太郎(はずみ・りんたろう)
1993年1月25日東京都多摩市出身の21歳。野球少年であった小学6年の時に当時"銀河系軍団"の名を引っさげて来日していたレアル・マドリードの面々を目の当たりにして以来、サッカーの虜に。2013年夏にイギリス・ロンドンに留学。FA Coaching Licenseを取得。また、留学中には様々な指導者、サッカー関係者に取材をするなどの活動もしている。各国の、様々な世代のサッカーを追いかけ、様々な視点からサッカーの謎を紐解き、魅力を伝えている。

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