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誰もが一度は蹴ってみたい「無回転ブレ球」を徹底解剖!

※サカイク転載記事(2012年4月11日掲載)※

前回は縦に落ちる「インサイドドライブ」ついて解説しましたが、今回は揺れる魔球「無回転ブレ球」についてキックのポイントを紹介します。スター選手のキックに憧れて誰もが一度は練習したことがあるのではないでしょうか? ここでポイントを掴んでぜひマスターしてください。(取材・文/北健一郎)

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■インステップの無回転ブレ球

C.ロナウドや本田圭佑など、ブレ球の使い手に見られる蹴り方。足の甲の内側の平らな部分で、ボールの中心をまっすぐ押し出すことでほとんど回転のない不規則で予測不可能な軌道となります。力と技が融合した"魔球"ですね。

◎ボール&足のインパクトポイントについて

「足の甲の内側の平らな部分で蹴る」
インパクトには基本的に足の甲の内側の平らな部分を使う。しかし、厳密には選手によって微妙に異なるポイントで、ボールの"芯"をとらえているようだ。共通するのはボールの中心をつぶすイメージで力強く押し出すこと。どこで蹴れば無回転になるか、何度も蹴って試そう。

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◎キックの動作解説

(1)アプローチ
前方のボールへほぼ真後ろから助走を開始する。前傾姿勢を保ったままボールへの距離を詰める。

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(2)バックスイング
軸足は、ボールから10~20cmぐらい離した位置に置く。蹴り足をまっすぐ後ろに振り上げて......。

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(3)インパクト
蹴り足の甲の内側にある平らな部分で、ボールの中心をインパクト。インパクト時にボールを強く押し出す。

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(4)フォロースルー
ほぼ回転していないボールは空気中の抵抗を受けて、不規則な軌道を描きながら、ゴール方向へ。

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【正面・斜めからのアングル】

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◎このキックの名手

C.ロナウド(ポルトガル)
ジュニーニョ.P(ブラジル)
本田圭佑(日本)

◎このキックの要素と特徴

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◎このキックを使用する状況

「ゴール中央付近のフリーキックで狙う」
流れの中でシュートとして放たれる場合もあるが、基本的にはボールをセットしたフリーキックで使われる。特にゴール中央付近からのキックは絶大な威力を発揮する。正面に向かうと見えたボールが不規則に揺れながら、GKを無視して決まるシーンは圧巻だ。

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◎キック博士 浅井武のワンポイント解説

「通常のキックより接触時間を長くする」
ブレ球のインパクトは力学的には「並進運動」と呼ぶもの。足首を立てて硬くした足先の重心をぶらさず、地面と平行にしばらく押し出す動きが必要です。ボールとの接触時間を長くするイメージを持ちましょう。

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浅井 武(あさい・たけし)
筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。工学博士。研究分野はスポーツバイオメカニクス、スポーツ工学。日本人スポーツ研究者としては、はじめて国際物理科学雑誌『Physics World』に論文が掲載。モーションアナリストとして、また名門・筑波大サッカー部の総監督(当時。現在は顧問)として多方面で活躍するキック研究の第一人者。