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日本の課題?GKに必要な育成年代の「体づくり」と「動きづくり」 / ゴールキーパー専門トレーニング

COACH UNITED ACADEMYでは、MASAKI SPORTS ACADEMYのゴールキーパートレーニングを公開中。日本にはGK専門コーチが少なく、GK指導をできるコーチ自体も、それほど多くはないのが現状だ。果たして、JリーグでGKとしてプレーした経験を持つ平川正城氏が代表を務めるMASAKI SPORTS ACADEMYでは、ゴールキーパーのレベルアップに向けて、どのようなトレーニングを行っているのだろうか? GKトレーニングを知りたい指導者、お子さんがGKをしている保護者の方、必見の内容をお届けする(文・鈴木智之)

平川正城氏のセミナー動画を、
COACH UNITED ACADEMYで公開中!

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■「今」ではなく長い目で見て将来性を見越したトレーニングオーガナイズ

MASAKI SPORTS ACADEMYではGKとして必要な体づくり、動きづくりを行うために、GKトレーニングだけでなく、コーディネーションやムーブメントプレパレーショントレーニングも実施している。同アカデミーの代表を務める平川正城氏が説明する。

「トレーニングの最初、20分から30分は、MSAコーディネーションサーキットという、サッカーボールを使わない独自のトレーニングをします。プロのフィジカルコーチが1年間を3ステージに分けて、シーズンごとにコーディネーション、フィジカル、ムーブメントトレーニングをバランスよく実施することができるメニューです。これらのトレーニングを通じて、選手一人ひとりの運動能力を強化していきます。ここでは、動作が大きいものや、細かく素早く行うもの。スピードにこだわるもの、ゆっくりとした動作を、呼吸を意識しながら行うものなど、様々な観点からトレーニングを実施します」

この日の『MSAコーディネーションサーキット』は、テニスボールをつかんで移動させる動きからスタート。1.5m間隔で縦5個、横4個にマーカーを置き、その上に乗ったテニスボールを手でつかみ、背後のコーンに乗せていく。(詳細は動画参照)

最初はつま先を前に向けて、前後のステップ。次にサイドステップで同じ動きを行う。ここではコーチが「手だけでやらない。しっかりと足を運ぼう」「重心の移動を速くしよう」「すばやく呼吸を整えよう。短い時間で呼吸を戻すのもクニックのひとつだよ」と、動きの細部にまでアドバイスを送っていく。

続いては隣のエリアに移動し、ダイナミックストレッチの一種でもある「ムーブメントプレパレーショントレーニング」に移行。ここではコーチが「大きく一歩を踏み込んで、いい姿勢で」「肩甲骨から開こう」下半身と上半身のバランス、左右両方のバランスを意識しよう」と語り、身体バランスの向上に働きかけていく。

ほかにも、1人用のトランポリンの上に乗り、その場で足を上下に素早く動かすトレーニングや、選手が四つん這いになり、背中を地面と垂直にした状態で前後へと進んでいくものなどを実施。メニュー詳細については動画を御覧頂ければと思うが、トレーニングを通じて、コーチが子ども達の身体に手を添え、正しいフォーム、姿勢で行うようにサポートしているのが印象的だった。イメージ通りに身体が動かない中で、コーチが手を使って支えることで、正しい動きができるように導いていくのだ。

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■キーパースキルだけではなく基礎運動能力も向上していく

ゴールデンエイジと呼ばれる、動きづくりに適したこの年代で、コーディネーショントレーニングをすることは非常に効果的だ。とくにGKは走る、止まる、跳ぶといった基礎動作の向上が、プレーのレベルアップに直結するポジションである。試合中、素早くシュートコースに入り、シュートに対応する構えを作るためには、足や手の運びを素早く正確に行うことが重要で、ジュニア年代で速く、正確な動きを身につけることができれば、年代が上がるに連れて大きなアドバンテージになる。

平川氏はアカデミーで実施しているコーディネーショントレーニングについて、「保護者の方からも『運動会やスポーツテストなど、学校行事で活躍できるようになった』という声も頂いている」と話すが、それを実感できるトレーニングだった。

ACADEMY動画前編の最後は、ボールを使ったGKトレーニングに移行。GK8人が参加し、2人1組になり、8の字ステップ&キャッチにトライ。マーカーを中心に8の字を描くようにステップを踏み、止まったところでパートナーがボールを正面に蹴る。それをキャッチする。

平川氏はトレーニングのポイントについて「大股にならないこと。なるべくマーカーの近くを、小刻みに回ろう。相手がシュートを蹴るときは、止まって対応すること」とレクチャー。トレーニングは浮き玉、お腹の高さ、グラウンダーの3種類のボールで実施し、トレーニング中には「キャッチの瞬間にグッと前に出て、止まれるようにしよう」という声が飛んでいた。選手たちの動き、それにともなうコーチングについては、ぜひ動画を参照頂ければと思う。GKトレーニングだけでなく、コーディネーショントレーニングにおいても、重要なものを学ぶことができるだろう。

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<プロフィール>
 平川正城(ひらかわまさき)
現役時代は湘南ベルマーレ、ザスパ草津(当時)などでプレー。指導者としてY.S.C.C.スクール・ユース・コスモスGKコーチ。FCバルセロナキッズキャンプコーチ。キリンビバレッジサッカーフィールドコーチ。SCHサッカースクールコーチ。ファンルーツアカデミーコーチ。Jフロンテッジフットボールスクールコーチ。横浜すみれSCテクニカルアドバイザー・GKコーチ。ボカ・ジュニアーズジャパンスクールコーチ。NIKEエリートトレーニング・NIKE FC ・NIKE MOST WANTEDコーチなどで多数の選手を指導した。スペインサッカーライセンス「モニトール」取得指導者

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