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速く走る3つの秘訣は「姿勢」「腕振り」「接地」/サッカー日本代表やプロ野球選手も取り入れる正しい走り方

COACH UNITED ACADEMYでは、3回に分けてサッカーに活きる「走り方メソッド」を紹介する。講師は、武藤嘉紀、槙野智章、宇賀神友弥、小林悠、谷口彰悟といった日本代表経験のあるサッカー選手から、プロ野球の阪神タイガース、オリックス・バッファローズなどで「走り方」の指導をおこなっているプロスプリントコーチの秋本真吾氏。第3回では、「走り方メソッド」を落とし込むための具体的なトレーニングを、秋本氏がモデルとなって実践していく。(文 北健一郎)

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■いきなり走るのはダメ

「まずは、きれいな姿勢をつくるところから始めてください」

秋本氏の走り方トレーニングで最初におこなうのは、これまでの講義でも繰り返し強調してきた「姿勢づくり」だった。頭のてっぺんから、足の先まで1本の串が通っているような状態----。それが速く走るためのベースの姿勢となる。

とはいえ、言葉だけ「きれいな姿勢をつくろう」と言っても、子供たちにはイメージしづらい。そこで秋本氏がやってもらうのが「壁立ち」だ。身長を測る時のように、壁に背中をつけたまま立ってもらう。

ポイントは頭の後ろ、背中、カカトの3つが壁にくっついていること。壁立ちをすることで、まっすぐな姿勢がどういう状態なのかをイメージしやすくなる。

「人間の体では頭が一番重たいので、どうしても頭が先に行きがちになります」

人間の頭の重さは、体重比で約10%と言われる。つまり、体重50kgの人だと、頭の重さは約5kgにもなる。頭の位置がずれると、背中が曲がってしまうので、まっすぐな姿勢になりづらい。

秋本氏がトレーニングの注意点として挙げたのが「いきなり走らないこと」。壁立ちでまっすぐな姿勢を作ったら、まずはゆっくりと、フォームを保ちながら歩いていく。

「はじめからランニングをしてしまうと、姿勢が崩れやすくなってしまうので、まっすぐな姿勢をつくった状態から、徐々にランニング、スプリントにつなげる意識を持ってください。きれいなグラデーションを描くように、徐々にスピードを上げていくというイメージです」

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■「肩振り」にならないように

正しい姿勢をつくったら、続いては正しい腕の振り方を身に付けるトレーニングをしていく。つま先による反発力に加えて、腕を振ることで推進力が生まれる。

速く走るためには「腕をしっかり振ること」これは常識といってもいいだろう。ただ、がむしゃらに腕を振るのは、かえって逆効果になることも。

「これまで指導したサッカー選手で非常に多かったのが、腕を振る時に肩が大きく動いたり、肩に力が入ったままで動かしたりすることです」

肩が大きく動く「肩振り」になってしまうと、1回の腕振りで余計なパワーを使ってしまうので、効率の悪い走り方になってしまう。速く走るためには「コンパクトに、速く動かす」正しい腕振りを身につけることが重要になる。

秋本氏は「肘を上げるのではなく、後ろに引くイメージ」で伝えるという。「肘を後ろに引くと、腕が後ろまで振れるようになります。このとき、肩が動いたり、下を向いたりしないように気をつけましょう」

もう一つ、秋本氏がポイントに挙げたのが手の力の入れ具合だった。手に力が入っていると、肩にも力が入ってしまうので、腕を振る時の可動域が狭くなってしまう。

「手の形はグーでもパーでも良いのですが、手に力が入らないように気をつけてください」

COACH UNITED ACADEMY動画では、言葉では表現しづらい「リラックスした状態での走り方」を秋本氏が実践している。正しいイメージを持つためにチェックすることをオススメする。

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■その場ジャンプで接地場所をつかむ

秋本氏がトレーニングで心がけているのは、「なぜやるのか?」を説明してあげることだという。自分が何をやっているのか、何のためにやっているのかを、しっかり理解していなければ、十分な効果は得られない。

足を着く場所のトレーニングをする前にも、秋本氏は改めて「なぜやるか?」を説明する。

「足を伸ばして、体から離れた位置に着くと、カカトからの接地になってしまい、うまく力が入りません。できるだけ、体から近い位置に、つま先あたりで接地することで反発力が生まれて、飛び跳ねるような走りができるようになります」

秋本氏がトレーニングでおこなったのが「その場ジャンプ」。まっすぐに立った状態から、その場で5回ジャンプするという、極めてシンプルなものだが、どこで足を着けば、高く飛べるかを感覚的につかませる。

その場ジャンプをした後は、ジャンプで着いた場所で接地するイメージで走っていく。こうすることで、ただのダッシュが明確な狙いを持ったトレーニングになって、走り方の改善につながる。

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ここまで、まっすぐな姿勢・腕の振り方・足の着く場所のトレーニングを紹介してきたが、COACH UNITED ACADEMY動画では、マーカーを用いた歩幅を広げるためのマーカー走や2人1組でおこなう初速を高めるための牽引走なども、秋本氏が実践している。具体的な動き方や、トレーニングのポイントについては、ぜひ動画で確認してもらいたい。

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【講師】秋本 真吾/
1982年4月7日生まれ、福島県大熊町出身。
2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。アテネ、ロンドンオリンピックの選考会をはじめ、ヘルシンキ、大阪、ベルリン、韓国世界陸上の選考会に出場。オリンピック強化指定選手にも選出。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生最高記録保持者。ハードル選手でありながら100mのベストタイムは10秒44。
2013年からスプリントコーチとしてプロ野球球団、Jリーグクラブ所属選手、アメリカンフットボール、ラグビーなど多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。2013年に地元、福島県「大熊町」のために被災地支援団体「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、大熊町の子供たちへのスポーツ支援、キャリア支援を行う。
2015年にNIKE RUNNING EXPERT / NIKE RUNNING COACHに就任。

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