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大阪府FA主催「OSAKA FOOTBALL MEDICAL CONFERENCE2019」レポート

2019年2月上旬、大阪府サッカー協会による「OSAKA FOOTBALL MEDICAL CONFERENCE2019」が行われた。これは「サッカーの普及と強化を支えるための、スポーツ医科学分野の研究やサポート体制をより発展させるとともに、医科学専門スタッフとの連携をさらに深めること」を目的に開催され、サッカーの指導者や医療従事者、トレーナーを目指す人などが多数参加した。

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最初の講演ではスポーツジャーナリストの中西哲生氏が登壇。「選手のパフォーマンスを最大化する」というテーマで、長友佑都選手や久保建英選手とともに行っている、トレーニングの一例を紹介。「呼吸、姿勢、食べ方の3つが大事」と話すとともに、トップアスリートのメンタル面にも言及。「選手には"自分でうまくなるしかない"と言っています。誰かがなんとかしてくれるわけではありません。私はうまくなる方法は伝えられますが、選手自身がうまくなりたいと思うことが大切」と語り、長友選手のエピソードを紹介した。

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「長友選手に、5年後の自分がいまの自分にアドバイスをするとしたら、なんと言いますか? と尋ねました。すると長友選手は『いまを全力で生きろ。やるべきことをやらないと夢はかなわない。将来、後悔しない自分でいたい』と答えました。私は多くのアスリートにこの質問をしましたが、トップクラスに素晴らしい答えだと思いました」

中西氏は「未来の時間をいま使わない。いまやるべきことはいまやる。先送りすると未来の時間がなくなる。すべてはいまの積み重ね。それが未来。人間力の向上がレベルアップ、スキルアップにつながる」と話し、参加者は真剣な面持ちでうなずいていた。

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2部では大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科の堀部秀二先生が「サッカー選手の膝外傷・障害治療の課題」というテーマで講演。「サッカー選手が怪我をすると、診断をして、治療や手術をします。それからメディカルリハビリ、アスレチックリハビリをして、競技に復帰させます」と流れを説明し、前十字靭帯損傷が起こる状況について、「試合終盤ではなく、試合の前半10分までに損傷する選手がもっとも多い」とデータをもとに解説した。

プレーの種類としては「ドリブル中に方向を変えようとして、全体重が膝にかかって外反」「ドリブル中にボールとは遠い足にタックルを受けて、膝の外側から直接外力が加わる」「ゴールキーパーがボールをキャッチしようとして相手の体にぶつかり、バランスを失い、着地時に膝を外反」といったシチュエーションが紹介され「これらを踏まえて、予防プログラムを考えることが重要」と話した。

その後、カンファレンスに協賛した味の素株式会社からは「アミノ酸」についてのレクチャーが行われた。

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「運動時にエネルギーとして使われるのが、必須アミノ酸の中の『BCAA』(バリン、ロイシン、イソロイシン)です。これらは消化分解が必要ないので、運動中にも摂れるという特徴があります」と紹介。『アミノバイタル® PRO』や『アミノバイタル® GOLD』に含まれている、必須アミノ酸の重要性を説明した。

さらに、スタミナ切れに関係する血糖値の推移についても、アミノ酸摂取の側面からサポートが可能と話し、「アラニン、プロリンというアミノ酸と糖質を組み合わせることで、血糖値が上がりにくく、下がりにくくなります。大学サッカー部で試合の後にYo-Yoテストをしたところ、110m長く走れるという結果が出ました」と、データをもとに有効性を示すと同時に、プロテインについても「筋肉づくりに必要な9種類の必須アミノ酸を、プロテインに独自の組成で配合することで、筋肉増量効果がアップした」と『アミノバイタル® アミノプロテイン』の有用性を示した。

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3部のプログラムでは「肉離れ再考」をテーマに、セレッソ大阪のチームドクターや、アンダーカテゴリーの日本代表帯同ドクターの経験を持つ、医師の杉本武先生と理学療法士でジェフユナイテッド市原・千葉のトレーナーを務める秋吉直樹先生による、スポーツ現場における肉離れについての発表があり、「疲労の蓄積が引き金となり、怪我につながるサイクルがある。運動量の調整をしつつ、リスク因子を変化させることが重要」(秋吉先生)という話があった。

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さらには、大阪府サッカー協会技術委員会・副委員長の高橋宏治氏も交えてディスカッションが行われ、ユースダイレクターという立場から「中学生の、将来性ある選手が足を引きずっている中でプレーを続けていた。大丈夫そうなのでプレーを続けていたら、結果として、筋肉系の怪我で半年サッカーができなくなった。最初に気づいたときに、選手のことを考えて、2週間でも3週間でも、休ませておけば良かった」とエピソードを明かすとともに、参加者に向けて「ドクターやトレーナーさんにお願いしたいのが、選手は『試合に出たい』と言いますが、『治ってからじゃないとだめだよ』と言える気持ちを共有できたらなと思います」と訴えた。

セミナーの合間には協賛ブースに人が集まり、サッカーの技術、フィジカル、メディカルだけでなく、栄養など様々な側面からの情報が寄せられ、参加者は多くの知見を得たようだった。

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