02.26.2021
元ブラジル代表・エジミウソン氏に聞く「個を持った選手」とはどのような選手なのか?
3月25~26日に開催する「ブラジル FC SKA Brasil オンラインスタディツアー」に先立ち、育成組織を立ち上げた日韓ワールドカップ優勝メンバーでもあり元FCバルセロナのエジミウソン・モラエス氏にインタビュー。
育成組織を立ちあげた理由、「個を持った選手」というのはどのような選手なのか?などを伺いました。
-育成組織「FC SKA Brasil」を立ち上げた思いなどを教えてください。
私は選手引退後から選手の育成に興味を持っていました。
自分の経験や知識を伝える事もそうですが、世界で活躍する為に必要な技術、フィジカル、メンタル、そして私達ブラジル人の特徴である即興性を育成年代から段階的に落とし込み賢く違いを生み出す選手を輩出すること。
そしてサッカーを通じて独立した善き人間を育てるという目的でこのクラブを設立しました。
-ブラジルが2002年ワールドカップから思うような成績を残せていません。
ブラジルサッカーの成長をどのように感じていますか?
ブラジルは常に世界のサッカー界をリードしてきました。
特にブラジル代表として1994年のワールドカップ優勝から2006年まではロマーリオ・ロナウド、ロナウジーニョ、リバウド・カカー、ロベルト・カルロスなど才能溢れるタレント性のある選手が沢山いました。
そういう意味でいうとこれだけの選手を輩出し、ワールドカップでも素晴らしい成績を残したという点ではブラジルの黄金時代だったと思います。
2002年W杯優勝以降良い成績を残せてない理由はブラジル国内の育成が上手く行ってない理由です。
クラブは完成度の高い選手をしっかり育成するよりもお金を求め、若く有望な選手を早い段階でヨーロッパのクラブに移籍させてしまいます。
国内でしっかり経験を積んでない10代の選手がいきなりヨーロッパで活躍するのは至難の技です。
だからこそ国内クラブチームは原点に戻り育成からしっかり見直す必要があると思います。
-FC SKA Brasilでは「個を持った選手」の育成を目的とされていますが、具体的に「個を持った選手」はどのような選手像を目指していますか?
ブラジルの強みは個人の技術、テクニック、創造性です。1対1では圧倒的な強さを発揮します。
個の技術でチームを優位に出来る、局面で違いを生み出し決定的な仕事が出来るそういう選手の育成を目指しています。
-「FC SKA Method」では5構成を伺っております。
「育成年代において備えるべき能力・技術の体系」「年代別(7歳~20歳)に付与すべき能力・技術」ついて、日本人指導者が一番興味を持つ内容だと思っています。この2つについて具体的な内容は、オンラインスタディツアーでお話いただきたいと思っていますが、簡単に説明をしていただくことはできますでしょうか?
まず私達が育成する選手達は全て商品です。商品価値を高める為にはその商品にどのくらいの価値があるか知る必要があります。
価値とは選手が持っている長所=才能です。その長所を最大限伸ばす事が商品価値を高める事に直結します。
才能ある選手達を育成する上で私達のFC SKA メソッドでは、
7~10歳までを個人技術の習得に特化し、
11歳からチームとして必要な個人技術・戦術が入ってきて
13歳からゲームモデルに沿ってグループ戦術、チーム戦術の習得を目指しています。
育成に必要な要素を個人技術からチーム戦術まで年代別に構成されているのがFC SKA メソッドの特徴です。
-「FC SKA Method」の基盤となるのが「クラブの価値」だと考えています。「クラブの価値」を元に選手との関わり方について伺います。FC SKA Brasilでは沢山の選手が在籍しています。育成年代で多感な時期の選手をサポートする上で大事にしていることはなんですか?
私達のクラブでは選手をサポートするクラブスタッフが20名近く働いています。
彼らはクラブのアイデンティティーを理解し体現し伝える事が出来ます。
多感な時期を過ごす育成年代の選手達をサポートする上で大事な事はピッチ内外で常にクラブの価値を伝え信頼関係を築けるスタッフがいることです。
クラブアイデンティティーを理解し体現できるスタッフが常に対話をして選手が抱える不安や問題に向きあい解決する。それこそがクラブのアイデンティティーであり、選手、スタッフとの絆がクラブの価値を高める事にも繋がっていくのです。
-ブラジルサッカーの「創造性」、「即興性」とMethod「ゲームモデル」というのは相反する言葉にも聞こえます。
ゲームモデルという基盤があるからこそ「創造性」「即興性」が活かされると思っていますが、エジミウソン氏はどのように考えていますか?
ゲームモデルとはゴールに向かうまでの効率性を高めるものです。
目指すゲームモデルをピッチ内の11人が役割を理解し体現出来ればゴールを奪うチャンスは着実に増えます。
その中で常に優位に立つ為の個の打開力を有するチームは更にゴールへのチャンスが増えます。
メッシはバルセロナのゲームモデルであるポジションサッカーを理解しているからこそ、必要なタイミングでゴール前に現れ圧倒的は個の能力を発揮します。
ゲームモデルの中でも違いを生み出す為の即興性や個の仕掛けは常に駆け引きの中で行われているものですので私の考えではゲームモデルと個の即興性は共存しているものであり、現代サッカーが更に進化しているからこそゴール前では違いを生み出せる選手の価値が高まっていると思います。
-エジミウソン氏は、日本でも沢山の活動をされていました。
日本サッカーの印象、エジミウソン氏が感じる日本サッカーの課題を教えてください。
私は何度も日本を訪れていますが、長期で滞在しているわけではないので今後の日本のサッカーの課題に対して明確な事は言えません。
しかし日本サッカーはJリーグがスタートして30年弱ですが着実にレベルアップしてきました。
アジアではトップチームですしW杯でも常連チームです。
ここまで駆け上がるスピードは真面目で目標に対してハードワークできる日本人の国民性ではないでしょうか。
これは素晴らしい日本の強みです。
その国の国民性や文化がサッカーにも反映されますので進んできた方向性は間違ってないと思います。
-今回、オンラインスタディツアーでは、日本から多くの指導者が参加予定となります。参加する指導者の方へメッセージをお願いします。
沢山の指導者の方々とオンラインツアーで会える事を楽しみにしています。
私も含め皆さんも常に学ぶ姿勢を持つことが大事です。
オンラインツアーで皆さんが私達のクラブを知る事で指導者としての新しい知識や経験を日本サッカー界発展に為に役立てる事を願っています。
■オンラインスタディツアー概要
\ブラジルオンラインスタディツアーの詳細はコチラ/
参加対象:サッカー指導者の方(特に小学校~高校生年代を指導されている方におすすめ)
開催日 :2021年3月25(木)~26日(金)
開催時間:20:30~23:00/両日とも
参加方法:配信方法zoomにて配信を行います。
参加費 :11,000円(税込み)
お申込方法:専用フォームよりお申込ください。
>>お申込フォーム
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