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様々なリフティングの組み合わせで磨ける技術とコーディネーション能力!遊びの中で自然と上手くなる練習法

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」ユーザーにアンケートをとると「U8年代のリフティングやコーディネーショントレーニングについて知りたい」という声が多かった。

そこで前回より、国内外でサッカー・フットサル選手として活動した、If Levante Futebol Clube 代表の中村洋平氏による「コーディネーションとリフティングを同時に磨くトレーニング」を紹介中。

中村コーチは、サッカー、フットサル、ビーチサッカーと多種のフットボールに精通しており、ジュニアの指導歴も長い。今回、実践してもらった「サッカーを楽しみながら上手くなるトレーニング」は、指導経験の浅いコーチにとって、参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)

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遊びの中で自然とリフティングとコーディネーション能力を高める

トレーニングのテーマは「U8年代でコーディネーションとリフティングを同時に磨くトレーニング」。動画では「グループリフティング」を行った。設定としては、3人組を作り、ボールを1つ使用。ルールは以下の通り。

(1)ワンバウンドでリフティングをする(以下、同じ)
(2)ボールを出す人の名前を呼んでパスをする
(3)右足でパスが来たら、次の選手は左足でパスをする
(4)前の人が1回なら2回、2回なら3回とリフティングをする数を増やしてパスをする
(5)ボールの大きさを変えて、数を増やすリフティングにトライ。何回まで増やせたかを競う(制限時間は2分)

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中村コーチは、子どもたちの様子を見ながら「足を交互に使おう」など、難易度を調整していく。

また「1~3までの数字をパスするときに言い、言われた人はその回数、ワンバウンドリフティングをして、次の人へ、数字を言ってパスをする」というルールを追加するなどして、子どもたちを飽きさせないようにしていた。

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これらのトレーニングは、ボールと自分との関係だけでなく、常に周囲を観ながらボールをコントロール(リフティング)する要素が入っているところもポイントだ。

中村コーチは「一緒にやっている仲間は、自分の他に2人いる。仲間をちゃんと見ながらやろう」と声をかけ、周囲を観て、調和しながらプレーすることの大切さを伝えていた。

飽きさせない、夢中にすることが大切なリフティング練習

続いてのテーマは「複数条件で行うリフティング」。中村コーチは「このトレーニングでは、ゴールを設定し、リフティングをしながらトレーニングします。選手たちの反応速度やアクションに積極性を出して、ゴールの喜びを共有していきましょう」と話し、実践に移っていった。

「複合リフティング」

(1)バウンドリフティング
(2)コーチが言った番号に合わせてプレー(1:シュート、2:近くの仲間とボール交換、3:ボールの下をくぐる)
(3)左右の足を交互に使う
(4)シュートはヘディング
(5)体の色々な部位を使う(シュートは直前でボールに触った足の逆足を使う)
(6)2人1組でコーチが言った番号に合わせてプレー(1:シュート、2:他のグループとボール交換、3:地面にタッチ)

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設定としては、グリッドに4つのミニゴールを設置し、その中をワンバウンドリフティングしながら移動する(1)。ここでは「ぶつからないように周りを見よう」とアドバイス。

次に(2)~(5)にトライし、最後は2人1組で(6)を実施。

ここでも中村コーチは、周囲を観ることを中心に声をかけ、「一緒にやっている人のことが観えている?」「自分がどこにいるか教えてあげてね」などのわかりやすい声掛けで、ボールだけを見るのではなく、周囲を観ることをうながしていく。

また、ゴールを置き、シュートの要素を追加したことで、子どもたちが楽しそうにシュートを打つ場面が見られた。リフティングやボールコントロールだけでなく、サッカーの楽しみであるシュートを打たせることの重要性が見てとれる。

トレーニングの締めくくりとして、1人1個ボールを持ち、何回リフティングできるかを実施。中村コーチは「リフティングの最高回数を更新できるかな?」とチャレンジさせ、「いままで一番多くできた人?」と聞くと、半数以上の手が挙がっていた。

中村コーチは「ボールを変えながらやってごらん。そうするとあっという間に出来るようになるよ」とアドバイスし、トレーニングを締めくくった。

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前回の記事から通算し、全4回の動画を通じて、子どもたちのボールコントロール技術が上達していく様子が収録されている。中村コーチの雰囲気づくりも含めて、練習というかしこまったものではなく、遊びの中で自然と上手くなっていく形だ。この雰囲気づくりも、ぜひ参考にしてほしい。

最後に、中村コーチのメッセージを紹介したい。

「U8年代のコーディネーショントレーニングでは、脳と認知力を鍛えることを大切にしています。その上で、より楽しく、飽きさせず、夢中にさせることが大切だと考えています。こうやったらどうなるかな? というワクワクした遊びの延長に、チャレンジ精神が生まれます。子どもたちの好奇心をくすぐって、やってみたい!という気持ちを育てていきましょう」

今回のトレーニングは狭いコートでも実施できるので、取り組みやすい内容になっている。ぜひ参考にし、子どもたちの技術力アップに役立てていただければと思う。

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【講師】中村洋平/
18歳でIf Levanteを設立し1999年~2011年までは国内外で選手として活動。2011年にIf Levante Futebol Clubeに戻りフットボールを伝える活動と文化の創出を開始する。
独自の理論で指導者として活動を始める。If Levante Futebol Clubeでは、3歳~50歳くらいまでの選手が活動し、全ての選手がサッカー/フットサル/ビーチサッカーの活動を行っている。
日本サッカー協会公認B級コーチ、日本サッカー協会フットサル公認A級コーチ、スペインサッカー協会レベル1、AFCフットサルフジカル・フィットネスレベル1。