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連動した攻撃と素早い攻守の切り替えで全国大会ベスト16。続々とプロを輩出するソレッソ熊本の育成法

2022年末に鹿児島で開催された『JFA 第46回全日本U-12サッカー選手権大会』に、熊本代表として3年連続で出場したのが、ソレッソ熊本U-12だ。

育成力に定評があり、清水エスパルスの松岡大起、サンフレッチェ広島でブレイクし、日本代表にも選ばれた、満田誠がジュニア年代を過ごしたクラブでもある。

U-12を率いる三角将行監督には、以前、COACH UNITED ACADEMYに出演してもらい、技術と判断に働きかけるトレーニングを紹介してもらった。長く選手育成に携わる三角監督に、試合の感想と育成についての話を聞いた。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)

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(グループF、1次ラウンド第1節。ソレッソ熊本(青)vs ケーエフスリー(黄))

小柄な選手が多いながらも、攻守の切り替えの早さで予選リーグ全勝

『全日本U-12サッカー選手権大会』に臨んだソレッソ熊本は、ラウンド16で松本山雅FC U-12と対戦し、PK戦の末に敗退。グループリーグで3連勝を飾り、ラウンド16ではスコアレスドローからのPK戦と、40分の試合の中では一度も負けなかったにも関わらず、大会を去ることになった。

グループリーグ初戦では、新潟代表のケーエフスリーと対戦し、2対1で勝利。足元の技術を駆使して攻めるケーエフスリーに対し、佐藤涼翔の2ゴールで競り勝った。

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(ケーエフスリーで2得点を決めたソレッソ熊本の11番、佐藤涼翔)

初戦を勝利で飾った安堵の中、三角監督は「今年のチームは、全出場チームの中で1、2番ぐらいに小さいんじゃないですかね。相手には大きい子もいたので、いかに全員で攻撃して、全員で守備をするかがポイントになると思っていました」と振り返る。

攻撃では2得点の佐藤を始め、攻守に奮闘した前田蒼真。そしてチームの中心、キャプテンの小柳徹心が存在感を見せ、競った試合をものにした。

「攻守の切り替えのところでタフに行けなかったら、もっとボールを回されていたと思います。そこの集中力だけは、40分間、欠かさないようにと言いました。守備面ではキャプテンの(小柳)徹心を中心に、頑張ってくれました」

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(ソレッソ熊本のキャプテンとして活躍した小柳徹心)

三角監督が「パーソナリティも最高で、チームを鼓舞できる選手」と絶大な信頼を寄せるキャプテンの小柳は、大会を通じて危険な場面に顔を出し、ラウンド16までの4試合で、わずか2失点の堅守を築いた。

小柳を中心にボールを奪い、素早く攻撃に転じるソレッソ熊本。ゴール前では選手が複数関わり、個の力に頼るのではなく、グループでの崩しが魅力的だった。三角監督は言う。

「攻撃の練習のときも、攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えのところまでやります。ゴール前の崩しに関しては、COACH UNITED ACADEMYの動画でも紹介しましたが、『3対3+3サーバー』は、1人にボールを当てて、周囲の選手が関わるアイデアが出やすいトレーニングです」

今大会はラウンド16で敗れはしたが、随所に質の高さを見せた好チームだった。

過去には日本代表にも選ばれた満田誠が在籍

九州の強豪ジュニアとして、存在感を発揮するソレッソ熊本からは、松岡大起、満田誠を始め、ガンバ大阪からファジアーノ岡山へ期限付き移籍中の坂本一彩など、多くの選手が巣立ち、プロで活躍している。

昨年の記事では、三角監督に松岡選手のエピソードを教えてもらったが、「満田もメンタリティはすごかったですよ」と、教え子の様子を語る。

「彼がプロになった理由のひとつに、物怖じしないメンタリティがあると思います。良い意味で王様というか、どんな強い相手にも、ひるまずに立ち向かっていました。彼の学年も全少に出たのですが、あいつの力でベスト8に持ち込んだようなものです」

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(ケーエフスリー戦後、インタビューを受ける三角監督)

三角監督は満田選手の学年を担当したわけではなかったが、コーチとして日々接する中で、「彼に対してはあまり言うことがなかった」と述懐する。

「自分の考えを持っている選手で、指導者が言ったことに対して違うと思ったら、プレーで証明する気持ちというかオーラがありました。(松岡)大起もそうですが、満田みたいなメンタリティの選手はなかなかいないですよ」

三角監督によると、満田選手は子どもの頃、「身体が小さくて、スピードもある方ではなかった」そうだが、「めちゃくちゃボールを追いますし、パンチのあるシュートを持っていました。キックが抜群で、シュートを決める才能は小学生の頃からありました」と片鱗を語る。

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2023年度は、ソレッソ熊本出身の選手6人が、新たにプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせる。

毎年、好チームを作り上げるソレッソ熊本U-12。今後、どんな選手が育つのか。興味は尽きない。

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