TOP > コラム > 1対1で積極的に仕掛ける選手を育成!相手を意図的に動かし、突破のコースを作るボールの持ち方・運び方!

1対1で積極的に仕掛ける選手を育成!相手を意図的に動かし、突破のコースを作るボールの持ち方・運び方!

COACH UNITED ACADEMYでは、指導経験の浅いコーチに向けて、U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

前回より、1対1のトレーニングが特徴的なマルバサッカースクールの山本汐音氏に「低学年で習得したいボールの持ち方・運び方」のトレーニングを公開している。

山本コーチはマルバサッカースクールの出身で、フットサルリーグのマルバ水戸FCでキャプテンを務めるなど、マルバのスタイルを熟知する指導者だ。

動画では「突破するコースを作る1対1の練習法」「相手の逆を突く、タイミングを外す1対1」をテーマに、ドリブル突破のトレーニングを行っていく。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

yamamoto.png

<< 前回の記事を読む 

相手が守っていない場所にボールを運ぶ1対1の練習法

低学年で身につけておきたい、意図を持ってボールを運ぶ技術。トレーニングでは「突破するコースを作る1対1の練習法」を通じて、ドリブルの判断と技術を高めていく。

トレーニングは「1対1 2ゲート」。攻撃側がボールを持ち、守備側と1対1を行う。コーンでできたゲートが2つあるので、攻撃側はどちらかのゲートをドリブルで通過し、シュートを打つ。守備側はボールを奪ったら、ラインをドリブルで突破するというルールだ。

yamamoto_000.png

山本コーチは「ポイントとしては、相手を観て、相手が守ってない場所にボールを運び、かわすこと。また、ゴールを決めることが目的なので、そこを忘れずにやりましょう」と説明する。

子どもたちがプレーする様子を見た後、「相手を観ながら、相手が守っていない場所に行けるように」とアドバイスをするとともに、ボールと体を離さないことの重要性も指摘。

yamamoto_001.png

「ボールと体が一緒に行かないと、相手に取られちゃうかもしれないよ」と語りかけていく。トレーニング設定はシンプルだが、褒めることとアドバイスすることを使い分け、子ども目線でわかりやすく、優しいトーンで伝えている。その辺りも注目して、動画を見てみてほしい。

相手を意図的に動かして突破するコースを作るドリブル

続いてのテーマは「相手の逆を突く、タイミングを外す1対1」。設定としては1つ前のトレーニングと同じだが、突破するためのコーンの位置が変わり、幅が広くなる。

yamamoto_002.png

「ポイントとしては、どちらかの門を通過するために、ドリブルをしながら片方のスペースに矢印を作り、相手がどう反応したかを観ること。最初はボールなしの鬼ごっこ形式で、どちらかの門を突破、ディフェンスの方はタッチするといった形式もOKです」

山本コーチは「この1対1は、さっきの1対1と何が違う?」と問いかけ、相手の動きを観ること、矢印を出すこと、相手の動きに応じて進行方向を変えることなどをアドバイスしていく。

「まっすぐ相手に向かっていき、どちらに進むかを選ぶ方法もあるし、片方のコーンに進む矢印を向けると相手が動くので、その動きを観て反対側に行く方法もあるよ」

yamamoto_003.png

ポイントは、攻撃側が進みたい方向へ矢印を出し、相手がそれに反応したときに、どちらに進むのか。その判断とボールコントロール技術だ。

山本コーチはボールコントロールや判断を失敗した子に対して、アドバイスをしつつ、立て続けにプレーさせることで、ミスを放置しないようにしていた。その辺りのコーチングの仕方も参考になるだろう。

トレーニングの経過とともに「相手が素早く来るときもあるから、避ける準備、ボールを素早く触る準備をしよう」など具体的な助言を交え、わかりやすく説明していく。

yamamoto_004.png

山本コーチの指導からは、シンプルな設定でデモンストレーションをしながら、簡潔に説明するという、低学年を指導する際に心がけたい指導のスタンスが見てとれる。

ともすれば、できないことを指摘しがちだが、この年代はできないのが当たり前だ。そこで、どうすればできるかといった考え方やプレーのヒントを与えることで、ステップバイステップで、できるように導いていく様子が、動画に収録されている。

最後に山本コーチは、COACH UNITED ACADEMY読者に向けて、1対1を指導する際のポイントを教えてくれた。

「1対1の場面でポイントになるのが、相手を観て感じて、やってみることです。自分が起こした動作(ドリブル・ステップ・フェイント等)に対して、相手がどう反応したか、どこが空いたのかを確認して、進行方向を選ぶこと。それは試合にもつながるポイントであり、ドリブルやパス、シュートも同じです」

yamamoto_005.png

さらに、こう続ける。

「自分がやろうとしたこと、狙ったことに対して、相手がどうなったか。それを感じることで、他の選択を選ぶ判断が身につきます。そのためには、たくさんのチャレンジと失敗が必要ですが、その経験の数がプレーの選択肢につながります」

1対1のトレーニングに定評のあるマルバが、低学年の子に対して、どのようなコーチングをしているのか。その一端を知りたい方は、ぜひ動画で全容を確認してほしい。

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

【講師】山本汐音/
malvaサッカースクール水戸校のスクール卒業生でもあり、小学生時代はバーモントカップ全日本少年フットサル大会 全国優勝。
スクール生から現在はmalvaサッカースクールコーチManagerとして、ジュニア年代の指導に携わる。
選手としても日本フットサル最高峰リーグ、Fリーグにてマルバ水戸FCのキャプテンを努める。