02.13.2024
水戸ホーリーホックU-13が実践!ポジショニングやマークの受け渡しなど守備の基本を習得する練習法
2023年度の「IFAリーグU-13 2023(茨城)」で1部リーグ優勝を果たし、関東リーグ昇格を決めた、水戸ホーリーホックU-13。
今年度からジュニアユースの指導に携わっているのが、長年、三菱養和SCで指導し、相馬勇紀選手(カーザ・ピアAC)や、中村敬斗選手(スタッド・ランス)、瀬古樹選手(川崎フロンターレ)など、多くの選手の指導に関わってきた大槻邦雄氏だ。
大槻氏は現場の指導に加えて、2023年末には「やってみようサッカー (こどもスポーツ練習Q&A) 」を出版するなど、幅広い角度で選手育成に携わっている。
今回は指導経験豊富な大槻氏に、11人制サッカーの入り口の年代となるU-13の選手たちに、ポジショニングやマークの受け渡しなど、守備の基本をどのようにして指導をしていくのかを紹介してもらった。
トレーニングを通じて守備の原理原則をわかりやすく伝え、選手が向上していく様子をお届けしたい。(文・鈴木智之)
グループ・チームで意図的にボールを奪うことを意識する
トレーニングのテーマは「ジュニアユース年代で抑えておきたい守備の原理原則」。大槻コーチは「グループ・チームで意図的にボールを奪うことをテーマとして、トレーニングを紹介していきます」と話し、指導に入っていった。
ウォーミングアップを経て、最初のトレーニングは「2対2」。10m×8m+8mのグリッドで、ハンドパスを使った2対2を実施。攻撃側はライン突破、守備側はボール奪取、もしくはボールホルダーを両手でタッチしたら勝ちとなる。
大槻コーチは「ポイントは、ボールを持っている選手に対して、ファーストDFを決めること。さらには、ボールを持っていない選手がどこにポジションをとるのか。パスが出た後に寄せることができて、背後をとられないポジションをとろう」と説明。
ここで強調したのが「規制→誘導→予測」の流れだ。
まず、ファーストDFはボールホールダーに近寄り、相手の動きを規制する。そして、味方の選手へパスを出させるように誘導。そうすることで、守備側のもうひとりの選手は「こちらにパスが来そうだ」という予測が立つ。
そこで、ボールの移動中に素早く寄せることで、奪うチャンスを作り出すことができる。
大槻コーチは「規制→誘導→予測ができるように、ファーストDFを徹底しよう」と話し、「守備はボールの移動中に寄せること。相手にチャレンジ可能かつ、背後をとられないポジションをとり、ボールの移動中に寄せる」と一連の流れを提示していった。
ほかにも「ボールと相手を同一に見ることのできる体の向きを作ること」の重要性をデモンストレーション。大槻コーチの説明により、選手たちのプレーが変わり始める。
守備時に大切なのが「ボールと相手を同時に見ることのできる体の向き」
2つ目のトレーニングは「2対2+サーバー」。グリッド内にサーバーを追加し、サーバーへパスが入り、3人目の動きでボールを受ければ攻撃側の勝ち。守備はボールを奪えば勝ちとなる(グリッドの設定は1つ前のトレーニングと同じ)。
大槻コーチは「サーバーへのパスコースを閉じて、外へ追い出すイメージを持とう」と説明し、「ボールの移動中に寄せること」「サーバーにパスが入ったらプレスバックして、すぐに戻るところまでがワンセット」とレクチャーしていった。
続いては「3対3+2サーバー」。縦15m×横22mのグリッドで実施。左右にゲートを設置し、そこをドリブルで通過するか、中央のサーバーへパスを入れれば勝ちとなる。
ここでも、ひとつ前のトレーニングと同じように、守備側の選手は、まず中(サーバーへのパスコース)を閉じて、ボールを外に誘導していくことがポイントになる。
大槻コーチは「どういうコーチングができる?」と投げかけ、「サイドでボールが取れるように、仲間同士で声をかけあおう」とアドバイス。
また、攻撃側のサイドの選手が高い位置をとったときに、ボールウォッチャーになると、マークすべき選手が見えなくなってしまう。
そこで「ボールと相手を同時に見ることのできる体の向きを作る」と説明した後、マークの受け渡し方もレクチャーしていった。
動画終盤では、GKコーチのピョン テフィ氏によるトレーニングも収録。実際の試合では、DFはGKと協力してゴールを守ることが重要だ。
そこで、最終ラインの裏に出たボールに対して、GKが前に出てキャッチする「フロントダイビング」や、スルーパスからの1対1の対応など、実戦に近い形のトレーニングを行っていった。
ぜひ、こちらの映像もチェックしてほしい。普段、GKトレーニングに触れることのないコーチにとって、参考になること間違いなしだ。
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【講師】大槻邦雄/
1979年4月29日生まれ。
三菱養和サッカークラブジュニアユース、ユースを経て国士舘大学サッカー部でプレー。卒業後、JFLなどでプレーし、選手生活と並行して国士館大学大学院スポーツシステム研究科を修了。
2006年より三菱養和サッカースクールで指導者としてキャリアをスタートさせ、各年代で全国大会を経験。クラブとしての実績を残すとともに、相馬勇紀(カーザ・ピアAC)、中村敬斗(スタッド・ランス)、瀬古樹(川崎フロンターレ)など、述べ20人のJリーガーの指導に携わった。
現在はJリーグ水戸ホーリーホックでアカデミーの指導にあたっている。保護者も含めた多角的なアプローチで選手を育成するスペシャリストとして定評がある。中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)を持つ。
取材・文 鈴木智之