02.26.2024
DFの体の向きや目線を意識する。駆け引きをしながら相手の逆をとる力を身に付けるトレーニング
2022、2023年度の全日本U-12サッカー選手権・千葉県大会で、ベスト4に進出したWings。OBは数々のプロを輩出しつつ、関東リーグやプレミアリーグに所属しているチームにも毎年輩出している。
チームとしては相手の逆をとること、個人の良さを伸ばすことに意識を向けており、選手一人ひとりの個性を伸ばすことを重視している。
そこで今回は相手と駆け引きをし、逆をとるために必要なポイントを、U-12のコーチを務める、高橋慎一氏に実践してもらった。
激戦区・千葉で上位を争うチームでは、どのような指導のもと、個を伸ばしていくのだろうか?(文・鈴木智之)
駆け引きをしながら、相手をしっかり見る。そして相手の動きを予測する
駆け引きを上達させる「相手の逆をとる」トレーニング。動画前編では「駆け引きに必要な基本技術の習得」をテーマに、ドリブルや4対2、1対1+サーバーを行っていく。
トレーニング前、高橋コーチは「相手の逆をとるためには、駆け引きをしながら、相手をしっかり見ること。相手の動きを予想することが大切です」と話し、「ボールを受ける位置やボールの置き所、体の向き、目線、足首などを上手に使いながら、ゴールを目指すことがポイントになります」と説明する。
最初のトレーニング「フリードリブル&コントロール」では「選手自身のチャレンジが大切になるので、そのチャレンジを促すよう、コーチングにも気をつけて取り組んでいきます」と、指導をする上での心構えを提示。
設定としては、グリッド内で各自ボールを持ち、自由にドリブルをしていく。高橋コーチは「自分のイメージの中でドリブルをしよう」「相手がいるイメージで、上半身を揺さぶるなど、駆け引きをしてドリブルをしよう」とアドバイス。
続いて「体の向きや目線を意識しながら、逆をとること」を、デモンストレーションを交えながら説明していく。
「スピードは意識しなくていいけど、ボールの置所は意識しよう。相手がいるイメージの中で、ボールをどこに置くか。足首でボールの位置クッと変えられるといい」
その後、「7人がドリブルし、6人が動きながらボールをもらう」というルールにチェンジ。ここでもドリブルの選手は「足首を使いながらボールを触り、相手の逆をとること」の重要性に触れていく。
オフ・ザ・ボールでは、動きながらボールをもらうときに、ただ動くのではなく、「自分から近寄ったり離れたりする事」と、コントロールで相手の逆をとれるようにイメージする事」を重要視。
「体の向きを意識しながら、足首やステップワークで逆を取れるようにしよう」とコーチングを行っていった。
ゴールを狙える位置にボールを置くと複数の選択肢が持てる
2つ目のトレーニングは、12m四方のグリッドで行う「4対2」。いわゆるロンドのトレーニングだが、パスだけでなく、ドリブル突破を推奨する。
高橋コーチは「ただボールを動かすのではなく、対角線上へのドリブル突破を意識してほしい。前提はボールを大切にし、失わないこと。フリーになったら、自分から仕掛けよう」と声をかけていた。
ここでは、ボールを受けたときの体の向きや、目線でフェイントをかけながら、相手が食いついてきたらパスorドリブルなど、複数の選択肢を持つことの重要性を強調。
周囲との関わりの中で、相手と駆け引きをすることに意識を向けていった。
前編最後のトレーニングは「1対1+サーバー」。15m四方のグリッドで実施し、攻撃側はゴールを目指し、守備側は奪ったボールをサーバーへパスすると攻守交代となる。
ここで高橋コーチが強調したのが「(目的である)ゴールを目指してボールをコントロールすること」。
「受けたボールを、ゴールを狙える位置に置く。そのコントロールを意識しよう。ゴールを目指すために、そのトラップを大事にしないといけない」と話し、「守備がゴールを守ろうとしたら、カットインすることもできる。このトラップがすべて。ゴールを意識しながらプレーしよう」と伝えると、次々に良いプレーが出始めていた。
高橋コーチは「前編では、フリードリブルや4対2、1対1で相手との駆け引きや、複数の選択肢を持ちながら、相手を見て決断するトレーニングを行いました」と振り返った。
「最初のフリードリブルでイメージをつけて、4対2では、目的に対してボールを受ける位置を考えることや、積極的なチャレンジに取り組みました。1対1ではコントロールで相手をはがすことや、駆け引きから突破するところがポイントになります」
後編では、グループでのトレーニングに移行し、複数の選択肢を持ちながらゴールに向かうプレーを指導していく。
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【講師】高橋慎一/
東京スポーツレクリエーション専門学校で指導者の勉強をしながら南葛SCで指導者としての活動をスタート。卒業後はFCリベレオでU-13,U-15の監督を務めてクラブ史上初の高円宮杯関東大会に出場。現在はWingsでU-12の監督を務め「JFA全日本U-12サッカー選手権大会千葉県大会」を2年連続でベスト4入りを果たす。「選手1人1人の良さを伸ばす事」を重視しWings U-15へ内部昇格や関東のJクラブへ選手を輩出している。
取材・文 鈴木智之