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どの年代でも使える!「鬼ごっこ」でビルドアップのグループ戦術と基本動作を学ぶ

育成年代において「チームとしてボールを動かすことはできるようになったが、なかなか前進することができない」というお悩みを持つ指導者は多いだろう。

そこで今回は「ボールを前に運びやすくする、相手の引き付け方」をテーマに、蹴和サッカースクール代表の上田原剛コーチにトレーニングを実践してもらった。

COACH UNITED ACADEMYでおなじみの上田原コーチは、実践的なトレーニングメニュー、的確なコーチングと雰囲気づくりで選手を成長に導いていく、育成のスペシャリストだ。

サッカーの試合中、後方からビルドアップするためには、局面で数的優位を作り、空いている選手へパスを通すことで、相手のラインを攻略していくことがポイントだ。

そのために必要な事柄を「鬼ごっこ」など、取り組みやすいトレーニングを通じて習得していく。

前編のテーマは「相手を引き付ける、基本動作の習得」。はたして、育成のスペシャリストは、どのようなトレーニング、コーチングで選手を成長に導いていくのだろうか?(文・鈴木智之)

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いかにして、相手選手を引き付けるか

まずは「7対2(7対3)鬼ごっこ」から。12m×12mのグリッドに鬼が2人、攻撃側の選手が7人入り、ボールを2個使って、7対2(7対3)の鬼ごっこを行う。

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1つのグループはハンドパス、もう1つのグループは足でボールを扱う。どちらのグループがハンドパス、足で扱うという決まりはないので、プレーの途中に切り替えても良いが、常にハンドパスの組、足で扱う組がいるようにする。(攻撃側のひとりの選手が手でボールを持ちながら、足でボールに触るのはなし)。

鬼は両方のグループの間を移動しながら、ボールにタッチすることを目指す。ハンドパスのときは、地面にボールを落としても鬼となる。攻撃側は鬼にボールを奪われず、7人で協力してパスを15本つなぐことを目指す。

上田原コーチは、プレーを観ながら「奥のスペースを観ながら、攻撃の選手1人で鬼2人を引き付ける方向に進んでいくことで、他の選手がフリーになり、余裕ができる」とアドバイス。

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そうすることで「実際の試合だったら、スペースと時間を味方に与えることができるので、なるべく鬼を引き付けてボールをはなそう」と声をかけていく。

次に「鬼が来ていないのにパスをすると、次にボールを受けた人にプレッシャーがかかってしまう」と説明し、「それはなしにしよう。もし2対2の状況になってしまったら、3人目の選手がサポートに入ってパスコースを作る」と、数的優位の状況を、自ら作り出すことの重要性を説いていった。

途中から鬼を3人にし「パス10本で勝ち」に、ルールをチェンジ。

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ここでは「ボールを受ける位置を工夫して、ボールを持っていない状況でも、鬼を引き付けるように」とアドバイスし、「どこにボールを運べば、3人目の選手を引き付けることができるか。それを考えながらドリブルすることが大事」とアドバイスを送っていく。

「攻撃の選手は、ボールを貰う前に、鬼の一番奥にいる選手が、どこにいるのかを観よう。勝負するのは、目の前の人ではありません」「2対1は慌てない。2対2になったらサポートに入って、3対2を作ろう」

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楽しみながら、学ぶことができる練習

続いては「スポーツ鬼ごっこ 4対4」を実施。縦45m×横30mのグリッドを作り、四隅に安全地帯を設置。時間内に、相手陣内にある、お宝を多くゲットしたチームが勝ちとなる。

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ルールとしては「自陣にいるときは相手にタッチされない」「相手陣内(攻撃方向)のコーナーにある、安全地帯の中に入った選手はタッチされない」「相手にタッチされたら外に出て、相手チームの安全地帯から復活する」「お宝があるコーンの周りにエリアを作り、その中に自陣チームの選手は入ることができない(待ち伏せはなし)」というもの。

ここでは、1つ目のトレーニングで行った、目の前の相手との駆け引きや、数的優位を作ることなどを、より広いスペースとルールの中で取り組んでいく。

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上田原コーチは、最初にプレーさせた後、作戦タイムをとり、選手同士で話し合いを実施。これにより、相互理解を深めていく。

お宝獲得という目的があり、安全地帯を活用しながら、相手を引き付けたり、味方を助けたりといったプレーが出てくるので、楽しみながら学ぶことのできる設定になっている。

トレーニングの設定とアドバイスにより、選手たちのプレーが向上する様子は、動画を通して確認していただければと思う。

認知や判断にアプローチすることができ、どの年代でも活用できるトレーニングなので、ぜひ日頃の活動でチャレンジしてみてほしい。

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【講師】上田原剛/
15 歳の時にジーコにスカウトされ、鹿島アントラーズユースへ入団。その後大学を経て、Centro de Futebol Zico( 通称CFZ/ ブラジルにあるジーコのサッカーチーム) にて指導者のキャリアをスタート。帰国後は、15年間鹿島アントラーズのアカデミーにて指導。2021 年に蹴和サッカースクールを立ち上げ、同時に指導者向け講習会もスタート。これまでに関わった子どもたち、選手たちは約10万人、そのうち現在16名の選手が国内外でプロとして活躍している。