07.04.2024
U8年代が楽しみながらドリブルの基本技術を高める!ドリル練習も対戦形式や声のかけ方で子供達を惹きつける
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
今回から「サッカーを始めたばかりの子ども達が、楽しみながらボールスキルを磨く練習法」をテーマに、エスフォルソフットボールスクール・トップコーチの犬丸圭吾氏によるトレーニングをお届けしたい。
サッカーを始めたばかりの子どもに「ドリブルをどのように教えればいいのか?」と悩んでいるビギナーコーチは少なくない。なかでも低学年の子は集中力が低く、すぐに飽きてしまうといった傾向がある。
これまで多くの子どもを指導してきた、ジュニア指導のスペシャリストである、犬丸コーチは、どのようなトレーニング・コーチングで、サッカーを始めたばかりの子たちを、上達に導くのだろうか?(文・鈴木智之)
相手を観て・駆け引きする楽しさを知る
最初の動画のテーマは「鬼ごっこで観ながら動く、ボールを扱う」。
犬丸コーチは「楽しくトレーニングするなかで、ボール感覚や相手を観ること、判断力や駆け引きにアプローチしていきます」と話し、トレーニングに入っていった。
まずは「2人組での鬼ごっこ」から。2人1組になり、じゃんけんで勝ったほうが逃げ、負けたほうが追いかける。2つあるコーンの間を周りながら行い、(コーン間の通過はなし)鬼がタッチしたら、タッチされた方が3秒数えて、鬼になるというルールだ。
犬丸コーチは「ダッシュしよう」など、大きな声をかけて盛り上げ「逃げる人は何が大事?」と問いかける。
そこで「早く走る」「ステップワーク」「フェイント」などの返事が出てきたので、大きくうなずくと「下を向いて走るのではなく、相手を観よう。逃げる人は、鬼を観てフェイントをかけてみよう」とヒントを与えていく。
「相手を観ることで、駆け引きができる。これはサッカーにもつながるよ」
次は鬼も逃げるほうも、ケンケン(片足ジャンプ)で行う。時間は15秒程度。その次はサイドステップ(身体は横向き)と、飽きさせないよう、次々にやることを変えていった。
ここでは「早くサイドステップをすること」「顔を上げて、相手を観ること」に言及した後、1人1個ボールを使ったドリブル鬼ごっこに移行。
犬丸コーチはデモンストレーションを交えながら「ボールが足から遠いところにあったらどうなる?」と問いかけ、「ドリブルできない」「試合だと相手に取られてしまう」といった答えを導き出していく。
そこで「足がボールの遠くにあると、素早く曲がることができないので、足の近くにあった方が良いね」「ボールを触りながら、顔を上げることが大事だよ」など、ポイントをわかりやすく説明していった。
出来たが楽しい!ドリブルドリルトレーニング
2つ目のトレーニング。テーマは「基本となるドリブルのボール扱い」。ここでは足の様々な部位を使いながら、8の字ドリブル、Uの字ドリブルに取り組んでいく。
まずは2つのコーンを目標に、8の字を描くようにドリブル。足のどの部位を使ってもOKで、自由にドリブルをしていく。
次は右足だけでドリブル。犬丸コーチは「インサイド、アウトサイドを使うんだけど、曲がるときはたくさんボールに触ろう」と声をかけ、左足でも同じように実施。
さらに、アウトサイドで曲がるときは「足の小指でボールに触って、回ることを意識しよう」とデモンストレーション。続いて、インサイドで回るときは「足の親指」でボールに触って回ることを教えていた。
次は両足のインサイドを使い、ダブルタッチの要領でドリブルを行う。
ここでは「つま先を内側に入れて、両方の親指でボールを触ろう」「戻ってくるときに余裕がある人は、次の順番の人の顔を見てごらん」と声をかけ、ポイントを提示。簡潔にわかりやすいコーチングは参考になる。
続いて、「コーンの間を通るときは、足の裏でボールを押し出す」というルールにチェンジ。インサイド、アウトサイドだけでなく、足の裏でもボールを触る感覚を身につけさせていく。
次はUの字ドリブル。2つのコーンの周りを、Uの字を描くようにドリブルで往復する。
8の字に比べてコーンの距離が離れているので、前に進むときは、足から少しだけボールを離し、スピードに乗っていきたい。
犬丸コーチは「得意な方の足でボールに触って、曲がるときは両足を使おう。前に進むときは、利き足の小指に当てることを意識しよう」とデモンストレーションを交えながら説明。
トレーニング全体を通して、大きな声でわかりやすく、アドバイスを送る姿が印象的だった。また、わかりやすくデモンストレーションすることで、子どもたちの理解も深まっていた。このあたりの様子は、ぜひCOACH UNITED ACADEMYで確認してほしい。
トレーニングメニューだけでなく、トレーニング全体の雰囲気、声掛けのトーンなど、動画を見ることで、学ぶことができる要素はたくさんあるはずだ。
【講師】犬丸圭吾/
中学3年畤、ブラジル留学を経験。当時、流通経済大学付属高校の監督であった本田 裕一郎監督の一声で流通経済大学大学付属高校へ進学。主将で初の全国高校サッカー選手権大会に出場。流通経済大学に進学後、関東大学サッカーリーグ優勝、総理大臣杯優勝。
地域リーグで5年間プレーし、引退後は栃木SCのアカデミーコーチとして指導キャリアをスタート。レディースコーチ時は全日本女子ユースU-15大会第3位、普及活動では、約500人を超える子供達を指導。
3年間、栃木SCアカデミーコーチを務め、2018年よりエスフォルソフットボールスクールトップコーチに就任。幼児・小学生を対象としたサッカースクール、幼稚園巡回指導、6年間で約3000人を超える子供達に携わり現在もサッカーの普及に尽力している。
取材・文 鈴木智之