01.06.2025
個とグループの連動で局面を打開し、ゴールを奪う!ジュニア年代から取り組める、得点力向上トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回よりGrant FC(東京都日野市)でコーチを務める、岡本豊コーチによる「フィニッシュ~シュートの意識と得点力を高めるトレーニング」を公開中。
Grant FCは個々のストロングポイントを武器に、個とグループの連動・連携で局面を打開し、ゴールを奪いに行くスタイルを掲げている。
動画後編では、実践形式に近づけた「2対2+2対2+2GK」、「5対5+2GK」を通じて、フィニッシュへの意識、シュートへ持ち込むための連携を高めていく。(文・鈴木智之)
数的優位を作り、シュートに持ち込む
後編最初のトレーニングは「2対2+2対2+2GK」。設定としては、フットサルコート2面分(幅30メートル)のスペースを活用し、より実戦に近い形でシュート力を高めていく。
中盤には自由にプレーできるフリーゾーンを設定し、DFはゾーン間の移動ができず、各ゾーンに2人までしか入ることができない。一方、攻撃側は自由に動くことができるので、この設定を活かして、いかに数的優位を作り出せるかがポイントだ。
岡本コーチは選手たちに「何が作れそう?」と問いかけ「攻撃側は数的優位を作ることができる」とアドバイス。「素早く数的優位を作り、ゴールを意識して、前線にボールを持ち込もう」と、相手ゴールを目指すことを強調。
数的優位の作り方として「ドリブルで前のゾーンに進入する」「前の選手にパスを出して、リターンをもらう」という方法を提示し、「そうすることで3対2ができる。どんどんシュートにチャレンジしていこう」と声をかけていた。
攻撃の選手は前向きの状態で、ゴールを目指す態勢を作ることがポイントになる。シュート(ゴール)を目的としたゲームなので、積極的にボールを前に運び、シュートシーンを作り出すよう促していった。
岡本コーチのコーチング後、良いプレーが連続で見られるので、その様子は「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
攻撃の優先順位を意識してプレーする
トレーニングの締めくくりは、フットサルコート2面を使用した「5対5+2GK」。オフサイドラインを設けることで、より実戦に近い環境でのトレーニングとなる。
岡本コーチは「数的同数の状況では、マークとの駆け引きが重要。攻撃の優先順位を意識して、まずシュートを狙おう」と、先程のトレーニングに続き、シュートへの意識を高めていく。
「ゴールを意識した中で、パスとドリブルを使い分けてボールを前に進めていこう。そして相手陣地に入ったら、どんどんシュートを狙っていこう」
フィールドプレイヤーは5人なので、3-2のフォーメーションを維持しながら、ときにはGKを使ってボールを回し、数的優位を作りたい。
ここで岡本コーチが強調したのが、ポジショニングについて。パスを出した後のサポートについて言及し、中盤でボールを持った選手に、周囲がどのように関わることで、シュートまで持ち込むことができるのかを丁寧に説明していた。
「中央を突破したいなら、サイドの幅を取ってDFを広げよう。そこから中央に持ち込むイメージを持つ。1つ相手を外せば、シュート圏内だよ」とコーチング。ポジショニングを重視し、ピッチを広く使いながらゴールを狙う意識にアプローチしていった。
岡本コーチの「ゴールから逆算しよう。パスを出して止まるのではなく、コンビネーションや3人目の意識を持って、全員がシュートに関わる意識を持ってアクションしよう」という言葉は、ゴールを奪うために、忘れてはいけない部分である。
成功体験の積み重ねを大切に指導
以上でトレーニングは終了。後編では、前編で実施したトレーニングでのシュートイメージをもとに、実践に近いゲーム形式の中で、 ゴールへ向かってボールを運びながら、シュートの判断、実行へと繋げるトレーニングを行った。
今回紹介したトレーニングについて、岡本コーチは「8人制を主としているジュニア年代では、ポジションに関わらず、ピッチ上の選手たち、誰にでもシュートチャンスがあります。Grant FCでは、常にゴールを意識してプレーに関わり、積極的なシュートチャレンジから生まれる、成功体験の積み重ねを大切にしています」と振り返った。
日々の試合やトレーニングの中で、シュートへの意識が低いと感じたときには、今回のトレーニングを参考にしていただければと思う。きっと、改善へのヒントが得られるはずだ。
【講師】岡本豊/
千葉県出身で幼少期からサッカーを始め、専門学生時代までプレーを続ける。幼児保育・体育の専門学校を卒業後、私立幼稚園に幼稚園教諭として勤務し、園児や小学生を対象にサッカー指導者としてのキャリアをスタート。2016年よりGrant Football Clubのヘッドコーチとして指導にあたっている。JFA公認 C級コーチライセンス所有。ジュニア時代に指導に携わったクラブ出身のOB選手に原大智(J1 京都パープルサンガ)等がいる。
取材・文 鈴木智之