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JFAフットサル指導者養成チューター出演!数的不均衡では攻守において何を考えどう攻撃・守備をするのか?

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

今回のテーマは「数的不均衡での立ち振る舞いを整理し、トランジション局面を制する」。サッカー経験の浅い子どもの中には、数的優位、不利を認識できず、その結果、プレーがうまくいかない場面が散見される。

そこで今回はP.S.T.C. LONDRINAテクニカルダイレクターの阿久津貴志氏に、数的不均衡の状況で攻撃、守備ともに何を考え、どう攻め・守るのかをテーマにトレーニングを実施してもらった。

フットサル界で長年活動するベテラン指導者は、低年齢の子どもに対し、どのようなトレーニング、コーチングで、認知や判断に働きかけていくのだろうか?(文・鈴木智之)

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攻撃はパスラインを作る、守備は消しながらボールを奪う

最初の動画テーマは「パスラインを作る・消す」。「2対1」の攻防を通じて、攻撃側はパスラインをどのように作り、 守備側はそれをどう阻止するかにチャレンジする。

ルールとして、攻撃はパス2本を通したらシュートに持ち込むことができる(シュートはワンタッチのみ)。守備側はボールを奪ったら、左右どちらかのゴールを目指し、攻撃側は守備側にボールを奪われたら、どちらかの選手が素早く守備に切り替える。

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阿久津コーチは選手たちのプレーを観ながら、パスを出しあぐねている選手に注目。「なんでパスが出せない?」と問いかける。そこで「ボール保持者がボールを動かしていないので、守備はそこにいるだけでパスラインを切ることができる」と指摘。

この状況では、ボールを保持している攻撃側がドリブルでボールを動かすことにより、守備側も動かざるを得ないので、結果としてパスラインができる。

阿久津コーチは「そこが重要だよ。自分がボールを動かせば、相手が動く。すると、それをフェイントにできる」とアドバイス。直後のプレーでは、コーチングによって良いプレーが見られるので、ぜひ動画で確認してほしい。

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また、守備の選手には「1対1にしたい」とアドバイス。そこで大切なのが、ボール保持者のパスラインを切りながら、相手に寄せること。そうすることで、1対1の状況を作ることができる。

そのために必要なこととして「ボール保持者の目線を観る」「体の向きからパスコースを予測する」といったポイントを提示。「相手に寄せられる状態であれば思い切って寄せて、1対1の状況を作って奪いに行く」「相手が慌てているのであれば、寄せに行く」とアドバイスしていた。

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子どもたちに問いかけ、答えを導くコーチングにも注目しながら、動画を観て参考にしてほしい。

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数的不利の状況で仲間と連携してゴールを守る守備

2つ目の動画テーマは「数的不利でもゴールを守り切る守備」。ここでは「2対2+1 セパレート」を実施。

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阿久津コーチは「今回は『利き足』をテーマにしています。守備側はボール保持者の利き足の方から誘導していき、2対2の同数を作りに行きます。攻撃側は幅や深さをとり、2対2にさせないようにしながら、局面を打開していきます」と説明。

ルールとしては、GKからスタートし、攻撃側は前方のサーバーへパスを通す。その瞬間、攻撃方向が変わり、3対2がスタート。攻撃側はゴールへシュートを目指し、守備側は攻撃方向が変わる前にボールを奪ったら、ゴールへシュート。攻撃方向が変わった後にボールを奪ったら、ライン突破を目指す。

阿久津コーチは守備の選手に対し、「何対何にしたい?」と問いかけ「同数にしよう」とアドバイス。攻撃3対守備2の状況で、サイドの選手を使われないようにパスラインを切りながら、2対2の状況に持ち込み、ボール保持者にプレスをかけることの重要性を説明していた。

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また、守備側は相手のプレーを限定するように動くことが重要だ。そのためにも、相手の利き足の方からプレッシャーをかけることがポイントになる。

さらに守備側も互いに幅をとり、守備1対攻撃2の状況を作る。そして利き足側からプレッシャーをかけ、1対2の状況を1対1にするよう誘導して奪いに行く。これは1つ前のトレーニングで取り組んだ内容の延長線上にあるテーマだ。

阿久津コーチは局面での守備対応に関して「攻撃側がドリブルで運んで近づいてきたときは、相手と同じスピードではなく、少し遅いスピードで下がることで、入れ替われることなく、相手と出会える」とデモンストレーション。このあたりは動画で確認してほしい。

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以上で前編のトレーニングは終了。今回の動画は、ジュニア年代で身につけておきたい、守備のコースの限定の仕方、カバーリング、距離の詰め方など、重要な要素が詰まったトレーニングが収録されている。

個人戦術に加えて、グループ、チームで共有しておきたいポイントが多数なので、ぜひ繰り返し動画を観て、トレーニングの参考にしていただければと思う。

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【講師】阿久津 貴志/
中学時代は神奈川県寒川町旭が丘中学校の部活に所属。
その後、帝京高校、国士舘大学を経てアルビレックス新潟トレーニー、東京佐川SCでサッカーキャリアを終えた後、フットサル選手に転向しエスポルチ藤沢→P.S.T.C. LONDRINA-湘南ベルマーレフットサルクラブ所属でFリーグ開幕から3年間プレーし引退
フットサル選手に転向と同時に指導者キャリアをスタートし、P.S.T.C. LONDRINAで24年間、育成年代を指導
現在は、P.S.T.C. LONDRINAテクニカルダイレクター、湘南ベルマーレフットサルクラブリクールートダイレクター兼GKコーチ、JFAフットサル指導者養成チューターと多岐に渡り指導現場に関わっている。

〈保有ライセンス〉
JFA公認サッカーB級ライセンス
JFA公認フットサルA級ライセンス
AFC Level 1