02.06.2025
U6の子供達が楽しく夢中になれるトレーニングの仕掛け!飽きやすいドリル練習も集中して取り組める練習法
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
今回のテーマは「サッカーを始めたばかりの子が、楽しく夢中になれるトレーニングの仕掛け」。対象はU-6の子どもたちだ。未就学児の中には、単調な基本練習に飽きてしまい、集中力が続かない場面が見られる。また、この年代では楽しさを感じられない練習は、スキル向上の機会を逃すだけでなく、サッカーそのものへの興味を失わせてしまう可能性もある。
そこで今回は、エルマルカサッカースクール代表の山本雅史氏に、子どもたちが楽しみながら、基本スキルを習得できるトレーニング方法をテーマに実践してもらった。
ジュニア年代の育成に定評のある指導者は、未就学の子どもに対し、どのようなトレーニング、コーチングで、基本スキルと集中力の向上に働きかけていくのだろうか。また、どのようにして、技術指導と楽しさを両立させているのだろうか?(文・鈴木智之)
集中力を上げるトレーニングの導入
最初の動画テーマは「リアクションゲームで集中力を上げる」。山本氏は「未就学児の子どもたちは、いきなりドリブル、パスなど難しいトレーニングを多く取り入れてしまうと、飽きてしまったり、集中力が切れてしまうことが多い」と話し、子どもたちが自然と夢中になれる仕掛けづくりを重視している。
トレーニングでは「リアクションゲーム」を実施。ルールは、コーチが「頭」「お腹」などの体の部位を言うと、選手はその場所に触れる。次に、コーンの上に置かれた色のマーカーを、指示された色に応じて競争形式で取る。
さらに、サッカーに必要なステップワークも組み込み、「右」「左」の指示で横方向への移動を実践。これにより単純な反応動作から、サッカーの実戦で必要となる動きへと、自然な流れで発展させていく。
山本コーチは練習の中で、「すね当て」「ヘディング」「インサイド」といったサッカー用語を意図的に取り入れ、専門用語を覚えられるよう工夫。また、「話を聞けている人は誰かな?」「コーチが話をするときはどうやって聞くんだっけ?」と問いかけることで、基本的な態度も育んでいく。練習の最後には勝ち残り形式を導入し、子どもたちの競争心に刺激を入れていった。

ドリル練習の飽きも仕掛け1つで改善できる
2つ目の動画テーマは「自ら進んで行うドリブルドリル」。ここでは「ドリブル宝石探し」と題したゲーム形式のトレーニングを実施。単調なドリブル練習ではなく、宝探しの要素を加えることで、子どもたちが夢中になれる内容にしている。
山本コーチは「年中さん年長さんは飽きやすい部分があるので、宝石探しをしながら、ボールにたくさん触るトレーニングを行います」と説明。
具体的なルールとしては、並べられたコーンをドリブルやスライド(横移動)でかわし、リングの中にボールを置いて、コーンの中にある宝石を取り、元の位置に戻ってドリブルでゴールを目指す。チーム対抗戦形式で実施し、宝石の大きさによって得点が変わる仕組みだ。
山本コーチは「ドリブルはどんなイメージでやるんだっけ?」と問いかけ、「運ぶイメージ」という答えを導き出す。「運ぶイメージなのでしっかり止めて、蹴らないようにしましょう」とアドバイス。
さらに「新幹線のように」「忍者のように」など、子どもたちがイメージしやすい言葉を用いて指導。また、「ゆっくりやったほうがいい?」「速くやったほうがいい?」といった問いかけを通じて、子どもたち自身に考えさせる機会も設けていた。
山本コーチは、常に子どもの目線に立った声かけを心がけ、ポジティブな言葉を使うことで、安心して挑戦できる環境を作り出していた。また、失敗を恐れずにチャレンジできる雰囲気づくりも徹底されている。
今回の動画は、未就学児に必要な基本スキルを、楽しみながら効果的に習得できるトレーニング方法が収録されている。特に、子どもの目線に立った声かけや、ポジティブな言葉を使ったコーチング、そして遊び感覚を取り入れた練習構成など、参考になるポイントが多数含まれている。
ビギナーコーチの方々は、ぜひこれらのトレーニングを参考に、子どもたちが夢中になって取り組める練習環境づくりに、活かしていただければと思う。
【講師】山本雅史/
埼玉スタジアム2002サッカースクールで長年指導し、専門学校講師やスポーツ幼児園コンサルタントなどを経験。各年代の監督・ヘッドコーチを歴任し、
現在は、///自己肯定感を高める///をコンセプトとした【エルマルカサッカースクール】の代表として活動している。
→2022年度U-16サッカー 日本代表2名輩出。
また、(一社)日本凸凹支援スポーツ協会の代表理事として、発達障がい児たちにサッカー教室を通じてスポーツ療育『ジャッジをしない個育て』を行っている。
取材・文 鈴木智之