03.03.2025
東京の強豪ジュニアが実践！ 味方との連携を意識し、フィニッシュに繋げるトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より、「ゴールへの道筋を描く、攻撃の基本」をテーマに、東京BIGスポーツJr.FCの高橋和也監督によるトレーニングを紹介中。前編では、シュートドリルやゴール前での攻防を通じて、判断を伴う、シュート技術の習得にアプローチした。
後編では「フィニッシュに繋げる連携プレー」をテーマに、より実践的なトレーニングを通じて、サッカーの最大の目的である「ゴールを奪う」ための技術や判断を高めていく。（文・鈴木智之）
ライン突破を意識したトレーニング
後編最初のトレーニングは「３対３＋ターゲット（ラインゴール）」。20m×25m程度のグリッドで実施し、攻撃方向のラインを通過すれば１点。ライン中央にいるターゲットを経由してラインを通過すれば、２点となる。
高橋監督は「縦パスを入れた方が、相手のラインを突破しやすい。自分とボールだけの関係ではなく、オフの選手が一番前のターゲットと繋がることが大事」と説明。「ゴールに近い選手を観て、他の２人もその選手と繋がっておこう」とアドバイスを送っていた。
続いて、５点勝負にすることで意欲を高めるとともに、２点に繋がる、ターゲットを使った突破に意識を向けさせていった。
ボール保持者が前向きなら、まず背後を狙う
次のトレーニングでは、より試合に近い状況での「５対４＋GK」を実施。攻撃側５人、守備側４人＋GKという設定で、オフサイドラインを設けた実践的な内容となった。
高橋監督はプレーを見ながら「ボール保持者が前向きなら、まず背後を狙う」「相手の背中を狙うと、相手が下がるのでサイドが空く。そうすると３対２ができてチャンスが生まれる」とアドバイス。
「大事なのはボール保持者の状況を観ること。それに対して周りの選手がどう動くか。お互いを観ながらプレーしよう」と声をかけ、味方が動いて空けたスペースに、ドリブルで進入したプレーを称賛。「ゴールに近い選手から探して、相手が嫌がるプレーをしよう」とプレー選択の基準を示していく。
トレーニング中は「パスを出して終わらないよ」「どうやってゴールに向かう？」など、シンクロしながら声をかけ続け、選手たちの意識を高めていった。
また効果的なポジショニングについても言及。「前４人が横１列になるよりは、（選手の位置関係に）段差があった方がスペースが生まれやすい」とアドバイス。
ボールだけを観て動くのではなく、味方選手がどこにいるのか、相手（敵）はどこにいるかを観て、意図的にポジションをとり続ける習慣は、ジュニア年代から身につけておきたい要素だ。
判断基準を共有してゴールを目指す
高橋監督はトレーニング終了後、「サッカーの醍醐味である、得点を奪う部分を中心に、段階的にトレーニングを行いました」と話し、次のように続けた。
「サッカーの３ラインの中で、前編では１ライン（フォワード）、後編では２ライン（フォワード、ミッドフィルダー）、最終的には３ライン（フォワード、ミッドフィルダー、ディフェンス、ゴールキーパー）と発展させていきました」
ジュニア年代の場合、最初から３ラインなどの大人数でトレーニングすると、プレー機会が少なくなるだけでなく、狙いとした現象が起こりにくくなる。そのため、段階に応じた人数調整やグリッドサイズの設定など、選手たちのプレーを観ながら、調整していくことが求められる。
その上で高橋監督は「ジュニア年代なので、形から教えるのではなく、個人にフォーカスし、個人個人の判断する基準を共有して、ゴールを目指していければと考えています」と総括した。
トレーニングで示したように、個人の判断基準が繋がることで、グループでの崩しへと発展していく。個人で局面を打開するための判断、シュートテクニックに加えて、選手同士の繋がりをもとに、グループでの動きの質を高めたい指導者は、ぜひこの「COACH UNITED ACADEMY」の動画を観て、トレーニングの参考にしていただければと思う。
【講師】高橋和也／
東京都出身。高校生の頃に国立市の小学生チームで指導者のキャリアをスタートし、高校卒業後から東京BIGで本格的に指導を開始。2017年から監督となり、笑顔あふれる楽しいチーム作りを目指し指導を行う。現在は自チームでの指導にとどまらず、トレセンスタッフや技術副委員⾧など幅広く活動している。JFA公認B級指導者ライセンス、JFA公認フットサルC級ライセンス保有。
取材・文 鈴木智之
