03.24.2025
相手にボールを奪われず、前進を目指す! ジュニア年代に必要不可欠な「サッカーの優先順位を整理する」トレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「試合を支配するための判断力と、優先順位を整理するトレーニング」。ジュニア年代に必要不可欠な、いつ、何を見て、どんな基準でプレーを判断するかを整理する方法について、SPORTSBITOサッカーアカデミー代表の鈴木友コーチによるトレーニングを紹介したい。
サッカーの優先順位を整理する上では、攻撃と守備、それぞれの目的を理解することが重要だ。攻撃では「ゴールを奪う」「ボールを取られないように前進していく」、守備では「ゴールを守る」「ボールを奪う」という基本をもとに、それらがどうつながっているかを意識したトレーニングを展開していく。(文・鈴木智之)
見ることと止める場所を意識
神奈川県を中心に活動するSPORTSBITOサッカーアカデミーで代表を務める鈴木コーチは、2010年にJFC FUTUROを設立。2014年に全国大会に出場すると、2017年にはSCH.FCで、神奈川県大会優勝した実績を持つ。数多くのJリーガーも輩出してきた指導者だ。
COACH UNITED ACADEMY動画、前編のテーマは「プレーの優先順位を理解し、前にプレーするために必要なテクニックを身につける」。
最初のウォーミングアップでは「ひし形のパス&コントロール」を実施。前に進むために必要な「見ること」と「ファーストタッチでボールをどこに置くか」を意識させていく。
鈴木コーチは「ディフェンス、中盤、フォワードだったら、どこから見る?」と問いかけ、「ボールを受ける前に、前の人と目を合わせられるように」「ボールを止める場所は外側の足の外」とアドバイスを送る。さらに「ファーストタッチで前を覗こう」「見ることと、止める場所を少し意識して」と声をかけていった。
また「パスが弱かったら移動中にも見れるといい」と話すとともに、コントロールの質にも言及し、「この距離は右でも左でも正確にボールを蹴れるように」と、プレーの正確さを追求していった。

ボールを取られないで前を目指す
続くトレーニングは「2対2+2サーバー」。実際の試合に近い形で、相手をつけた攻守のやり取りを通じて、優先順位を整理していく。
ルールとしては、サーバーからサーバーにパスがつながると1点。サーバー同士のパスもOKで、ボールを取られたら守備から攻撃に切り替わる。
鈴木コーチは「攻撃は相手にボールを取られないで前を目指す」と基本原則を示し、選手たちに「一番はどこから見る?」と問いかけ「攻撃側がどこに立てば相手は困る?」とデモンストレーション。
途中でバックパス禁止のルールを追加し、難易度をアップ。選手たちに「前を覗いた時にどこに味方・相手がいるか」を常に意識するように促し、認知・判断の精度を求めていく。
ゴールを守りながらボールを奪う
また、鈴木コーチは攻撃だけでなく、守備の優先順位についても整理。「守備の目的は何?」と問いかけ、「ゴールを守りながら、ボールを奪う」という基本概念を共有していく。
「守備もゴールを守るだけじゃなくて、守りながら奪えるチャンスを逃さない」「ボールの移動中に寄せに行けたらいい」とアドバイス。さらに「2人でつながって守るよ」といった声掛けを通じて、味方との関係性を意識したポジショニングについても指導していった。
トレーニングの後半では「ワンタッチでサーバーにボールを入れたら2ポイント」というルールを追加。より実践的な状況での判断力を養っていく。
鈴木コーチは常に「いつ見る?」「何を見る?」と問いかけ、「ボールを持ってから考えると、相手に寄られて選択肢が減っちゃうぞ」と、ボールを受ける前に状況を把握することの重要性を強調していた。
以上でトレーニングは終了。詳細は「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
鈴木コーチは「ウォーミングアップでは、前に進むために必要な見ることと、ファーストタッチのボールの置き場所のトレーニングを行い、2対2+2サーバーでは相手をつけた攻守のやり取りを通じて、優先順位を整理するトレーニングを行いました」と総括した。
後編では、前編で確認したサッカーの優先順位の整理を、より試合に近い形でトレーニングしていく。
【講師】鈴木友/
サッカー激戦区の神奈川でまちクラブJFC FUTUROを創設。わずか5年で県大会優勝に導き全国ベスト8へ。SCH.FCでも市・県大会優勝。選手時代はアルゼンチン1部リーグでプレー。現在はSPORTSBITOサッカーアカデミー代表のほか、全国各地でクリニックや講演などひろく活躍している。日本サッカー協会公認B級ライセンスを保持、横浜市トレセンスタッフもつとめる。
取材・文 鈴木智之